第2話
「要するに康介はまゆと一華に家族サービスをしないで、愛人に家族サービスをしていたということでしょ?わざわざ保育園を休ませて、子どもが好きそうな遊園地かどっかに女と一緒に遊びに出掛けたんでしょ。自分が働いていれるのも毎日早起きして朝御飯と弁当を作ってくれるまゆのおかげでもあるのにね、何を勘違いしているんだか。ごめん、まゆさんには悪いけど、私、康介にすごく腹が立ってる。この写真私のスマホに送信してくれない?」
「別にいいですけど……」
「これだけでは証拠にはならない。私の知り合いに探偵をやっている人がいるから、まゆさえ良ければ頼んであげようか?」
「探偵ですか?頼むお金がないです」
「慰謝料で払えばいいのよ。康介と女に請求するのよ。テレビでやってたわよ」
「テレビ?」
「ほら、うちの美咲と一華ちゃんが好きなあの番組。浮気調査専門の凄腕女性探偵、雫石ミサト。実は彼女、私の知り合いなのよ。大学の同期なのよ」
毎週木曜日に放送しているバラエティー番組を一華は欠かさず見ている。実際に起きた事件をもとにクイズ形式で絶体絶命のピンチをどうやって突破したか答えていくというものだ。
そういえば一ヶ月前だ。
不倫調査を専門にする実在する凄腕女性探偵のことが放送されたとき、
「パパなら絶対にバレないように不倫するけどな」
康介はソファーにふんずりかえり一華にそう豪語していた。
「バかだよな。本当にバかだ」
ゲラゲラと笑っていた。
まさかその凄腕女性探偵が彼女の知り合いだったとは。世間は広いようで狭いとはまさにその通りだ。
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