第14話絶望感からのアイデア

俺達は、色々見て回ったけれど、ゾンビは、見当たらなかった。ふっと俺は、写真立てに気がついた。



家族幸せそうな写真だ。この家庭がみんなゾンビに…そう思うと涙が流れた。俺の家族もやられたんだ。ちくしょう。


…感傷に浸ってる場合じゃないか。今は、ゾンビを探さなきゃ。俺は写真立てを置いて、他に探してないところがないか、考えた。


だが、思い当たらず、それとは別に、違和感に気がついた。



…ん?! おかしいな。女の子がこの写真立てに写ってない。


女の子も載せたやつ立ててやれよと思った。

もしかしたら、どっちかの連れ子で、邪険にされてたとか?


もしそうなら、俺が優しくしてあげないと。

…ゾンビ探しは、辞めにして、俺は、キッチンに戻った。


「何もなかったです。ゾンビのゾの字も見当たらない。」


「ゾの字も…はは。都丸さんありがとう。都丸さんに何もなくて良かった。」

望ちゃんが安心したと言う表情をした。



「そうね。何事もなくて良かった。それにしても一体どこに消えたのかしら?」

腕を組んで神楽さんが悩んでいた。


「とりあえずご飯にしましょう。これからのことも食べた後にね?」


食事中俺は思考を巡らした。


これからのことか。ここでしばらく籠城するか、それとも外に出るか?


出るのは不可能に近い気がする。一階は、ゾンビだらけ。アイテムBOX使って俺だけ上手く降りる…生きてる人は入れられないんだったか。


何かしらの救助が来ればなぁ。

このままだと、食糧が底をつけば、餓死してしまう。…セーブ&ロードがあっても、この厳しい状況は、打破できない。


ここは日本だ。銃を持ったスーパーヒーローが来るわけもない。


絶望感に苛まれながら、3人を見た。

そうだ…俺は…この3人を助けなきゃいけない。自分の命を賭けても。


考えるしかない。助かる方法を…ついこの前まで、ゾンビになって復讐しようとしてた自分と偉い違いだな。


何かないのか…ある! 方法が…大音量のラジオとテレビを使えば、そちらに気を引かれてる隙に逃げられるかもしれない。


その為には、他の部屋に侵入する必要があるな。


もっとも侵入出来たら食糧もまだ持ち堪えるか。

ドアをぶち壊すか?


「あの、ここにいても食糧が無くなったり、病気になった時に薬がないと大変なので、脱出したいと思う。その作戦思いついたので聞いて貰えますか?」

俺は食事を終えて、気合を入れて2人を交互に見た。


「うん、だけどここにいるのも安全だよ? 無理するとゾンビにされちゃうし。」


そう言って望ちゃんは続けて言う。


「でも…都丸さんを信じて、私は従うよ。都丸さんいなかったら、私達ゾンビになってたと思うから。」

彼女が頷き、握り拳で手を挙げた。


「ありがとう望ちゃん。俺の作戦は、ラジオとテレビを集めて、それをマンション2階から落として、その音にゾンビが群がってる時に脱出するんだ。」


セーブ&ロードがある俺なら、無茶ができる。例え失敗してもロードすれば良い。

それでまた作戦をやり直す。大きなアドバンテージだ。


部屋の侵入も失敗すればロードすれば良い。正直2人に話した方が、良いのか…悩むとこだ。話せばスムーズにやれる。


ただ、やはり2人が誰かに話したら、危険だ。


「神楽さん、脱出する時車の運転お願いします。歩きだと無理があると思うので。」


「分かったわ。怖いけど、あなたに賭けてみる。」

神楽さんが声を震わせて言う。


「ありがとうございます。作戦実行すると決めたら、また声を掛けます。」

明日、セーブしたら、実行しよう。


「ねぇ〜お兄ちゃん遊んで〜。約束したよね。」女の子が俺の手を掴んで甘えて来た。


「ああ、目一杯遊ぼう。ところで名前聞いてなかったね。俺都丸政樹だよ。君の名前は?」


「私望月朱莉。朱莉で良いよ、政樹。」

呼び捨てかい。まったく、最近の子は。って俺も最近の子だったな。


「遊んできます。」俺は2人に左手で手を振った。

俺は女の子の手を握って、子供部屋に向かった。

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