第6話チュートリアル終了


俺は、すぐにセーブせずに、神楽さんのお母さんがいる部屋を少し開けて、お母さんの無事を確認後、セーブした。


この部屋にゾンビがいることを、神楽さんに伝えた。


それじゃ、作戦決行。俺は、扉を開けた。


合図を彼女に送った。


神楽さんが、テレビをつけ、大音量で流す。


良し、大音量でゾンビがこっちに来る。

完璧だ。そう思った矢先…神楽さんのお母さんがタンスを開けた。


ゾンビがテレビの方に行くのをやめ、神楽さんのお母さんに向かって行った。


気になって開けたのだろうか?

助けが来たと思った?


なんてことだ…隠れてて欲しかったが…ああ…お母さんがゾンビに喰われて行く。




俺は目を背け…ロードボタンをすぐさま押した。



神楽のお母さんは、顔が憔悴してる様だった。ゾンビがすぐ近くにいる、恐怖…それが、精神的に不安定を呼び、油断したのかもしれない。


それが冷静な判断力を阻害したのだろう。お母さんを責める事は酷だ。


俺はそう思った。


「この部屋にゾンビがいる。」前回同様、彼女にそう伝えた。


「神楽さんこの作戦使えない。別の方法考えるよ。」


「なんで? 良い方法だと思うけど?」

彼女が不思議そうな表情で聞いた。



あなたのお母さんが危険とは言えなかった。セーブ&ロードの力を教えないと、いけないからだ。


「やっぱり大音量は、リスク高いかなと思ってさ。他のゾンビが怖いからさ。」



「なら、私良い作戦思いついちゃった。」

得意気に神楽さんは言った。


「ふふ、消化器を使ってゾンビに噴射するの。ゾンビが驚いた隙にワイヤーで転ばせるの。そうして、包丁でぐさっと。どう?」


「でも、消化器がゾンビに通用するかな?」


「効かなくても、びっくりすると思うよ。

事前にマスクしてさ、ワイヤー2人で引っ張って、足に引っ掛けて、転ばせる。

もし、消化器意味なかったら、一旦引いて考えれば良いし。」



「なるほど。ただ、転ばせるとこまで良いとして、それでもゾンビが危険なのは変わりないからね。」



倒せるだろうか? 


「大丈夫。前から転ばせるんだから、起き上がる前にやれば良いんだよ。」


「包丁じゃなくて、消化器で殴るとかでもいいかも?」


なるほど、消化器で殴るのか。   



「うん、重たいから、2人で持って思いっきり殴ればどうかな?」


俺は消化器をゾンビの頭に噴射した。

白い粉がゾンビの顔を隠す様にまとわりついた。


効果はあったか分からない。けど、ゾンビの動きは止まった。


恐怖で、手が震えて、ワイヤーを上手く握れなかったが、神楽さんを見て、1人じゃないと、気が楽になり、ワイヤーをしっかりと握れた。


ワイヤーを2人で掴んでゾンビの足目掛けて、ぶつけた。


ゾンビは、前のめりになり、ドンと、衝撃音が部屋に響いた。


やった! 上手くゾンビをうつ伏せにした。

 

すぐさま、俺と神楽さんで消化器を持ち、2人て見合って、頷いた。


3…2…1、ゴー。ゾンビの頭目掛けて、思いっきり消化器を振り上げ、ぶつけた。


重たい金属の塊が、ゾンビの頭を、ぐしゃりと押し潰した。


ゾンビの血が、赤い血ではなく、濁った黒い血が、あたり一面に広がった。


ゾンビの動きが止まったが、ゾンビの恐ろしさで、俺は安堵出来ず、不安だったので、もう一回やろうと、俺は言い、もう一度念を押してやった。



その時…ゾンビを2体倒した事によりレベルアップしました。と自分にしか見えない、モニターに表示された。


スキル、アイテムBOXを獲得しました。


レベルが上がった事により、チュートリアルが終了しました。


その為セーブ機能が制限により、1日一回の仕様に変更されます。


そう表示されていた。


アイテムBOXは、いいが…セーブ機能が制限だと? 俺のチートスキルが…下方修正された。


と言うか…完全にゲームだな。一体…俺の身に何が起きてるんだろう?

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