第2話チート能力の確認、騙された召喚、戦争はさせません!城から全てを摂取する。異世界では誰も自分を見れない為、ボッチ生活だったが、従属を増やして魔物退治。

憑依シタロウ(男) 12歳 称号=異世界勇者 職業=僧侶 状態=死者? 加護=聖光神ヒカリの加護 魔蛇神ニョロの加護 LV=0 HP=0/50  精神p=400/400 

MP=10000/10000  力=30 魔力=350  精神力=300 知力=100 敏捷=20 防御力=10  運=70

スキル=飛行、隠姿、壁抜け、闇目、回復、念力、言語理解、(白、光、聖神、時空、黒、付与)魔法、身体強化魔法、アイテムボックス(収納無限、時間停止)、呪詛魔法無効、即死魔法無効、精神魔法無効、物理攻撃無効、光魔法耐性、黒魔法耐性、恐怖耐性、毒耐性、物理攻撃耐性

固有スキル=神眼(鑑定、神光、能力封印)、 死霊術(憑依、支配、ネクロマンサー·······)

エクストラスキル=魔法倉庫、不死

とあり結構なチート能力である。

一般の人がどの程度なのか分からないが色々と突っ込みどころ満載である。

エッえー状態が死者?と成ってますが私死んでいませんから。だから“?”が付いているんですかね?。

ウッソーHPが0ということは、生き返ったら直ぐに死ぬという事ですかね。

ヒャア12歳と在りますね、イヤイヤ私58歳なんですがと思うが先程の剣に写った自分を思い出して嬉しくてニヤけてしまう。

あの頃はモテたなぁ、イケメンって言われてたからな。

えっ職業僧侶、イヤイヤ私サラリーマンですから、聖光神ヒカリ様の加護が付いてますね有り難いことです。

この蛇神ニョロの加護というのがこちらの世界に召喚させたというヤツか余計なことをしやがって。

スキルは幽体離脱中にできる力はこちらでも使えるみたいですね助かります。

スキルに言語理解があるからこちらの言葉が分かるんですね。

魔法?、魔法が使えるんですかワクワクしますね。小さい時からの夢でしたから嬉しいです。楽しみだなー。

ん?身体強化魔法? ( )の魔法とは違うんですかね?( )は属性魔法とありますね。

私の属性ということでしょうか?でも身体のない私には意味がないのでは?、他人に使うんでしょうか?。

アレ?この黒魔法というのは聖神魔法や光魔法、白魔法と相反する魔法じゃないですかね?異世界ではこれが普通なんですかね?

耐性とか無効とかのスキルが多いですね~助かります。ん?物理攻撃無効があるのに明らかにその下の物理攻撃耐性があるのは何故でしょうか?。

アイテムボックスですか、どうやって使うんでしょう。そう思って見ているとステータス画面に補足が出てくる(生き物以外を触りながら収納と思うだけで収納され、中にあるアイテムボックスから出したいものを出ろと思うだけで出したいだけ出る)まるで、ゲームをしている感じだなと思ってしまう。

固有スキルに神眼がありますね。

その中に鑑定があり、後ろに立つ光る剣を持つ騎士に”鑑定“というと、ステータスが表示され色々書かれている騎士団長のザードスと出てくる。

神眼の神光を見ると使うことで敵の魔法が無効化し変身解除や隠蔽、透明化や分身等も無効化し、能力封印で敵のスキル及び力や能力を封印出来るようだ。

多分だがこれも聖光伸ヒカリ様のお力に違いない。有難いことです。

同じ固有スキルに死霊術という気味悪いのがありますな。見ていると各能力が補足説明で出てくる。

憑依=(意識のない相手に取り憑き、相手の記憶を視て知識やスキルを使う事ができる)

金縛り=(相手を動けなくする)

蘇り=(死んだばかりの死者に乗り移りすることで蘇生出来るが腐蝕者は除外。)

闇空間=(部屋や周囲を暗くする)

支配=(自分より弱い人に取り憑き支配)

ネクロマンサー=(死者、ゴーストを操る、死者死霊召喚)

ドレイン=(相手のHP、Mpを吸い取る)

死霊倉庫=(召喚や従属した霊等をMpを使用せずに何時でも出し入れでき、中に居る者は主の声を聴き、主の緊急時自らの意志で出入り可能)

ゴーストテイマー=(死者、死んだ魔物をテイマー出来る。互いが必要と思った時発動し従属した人とは念波での会話が出来る。)

死霊治療、心霊治療=(死霊治療は死者を治し、心霊治療は生者を治す事ができ、匕ールでは治せない身体の中の癌や出来物、矢尻等の異物も取り除き治す。)

デバフ=(死霊覇気を飛ばすことで相手のステータスを大幅に下げる)

呪食い=(呪いを食い取払い、分解、消滅、相手に倍返しで呪い返しができる)

呪詛=(呪うことができる)

死霊昇華=(死者、死霊を冥界へと送る)

死霊浄化、消滅=(死霊、悪霊、邪霊を地獄へ送る又は魂ごと消す)

死者実体化=(見えない死者を可視化、又は生きているかのように実体化。)

• • • • •

うわぁ~怖い、コレは封印だな使うことはないな。

エクストラスキルを見ると

魔法倉庫(魔法吸収、魔法放出があり吸収した魔法をノンストップで放つことが可能、現在魔法倉庫には、魔法が0の為、魔法吸収にセット。自分で詠唱した魔法も魔法倉庫に貯めることが可能)。

魔法を使うには詠唱時間があり、それがタイムログとなり戦いの際、生死を分ける事にもなるが、魔法倉庫は最初から出来上がった魔法を劣化することなく収納し貯め、あるだけノンストップで放つことができるので、Mpを気にすることもない為コレは便利である。

最後のエクストラスキルには不死(死なない)

ハアァ?、不死?どういうことでしょうか?後で誰かに聞いてみるしかなさそうですね。そう思っていると

クロハラ大臣が「では、書記官に記録させる為、1人1人ステータスとスキルを教えて欲しい」

ステータスは魔道具を使わねば見れないらしく、スキルは自分しか見えないらしい。

しかし、私には神眼に鑑定を持っているため皆のを見てみる。

美神 ローラ(女) 13歳 称号=異世界勇者 職業=剣士 状態=健康(洗脳中、意識混濁中) 加護=魔蛇神ニョロの加護

LV0 HP=2000/2000 Mp=1000/1000

力=250 魔力=100 知力=70 敏捷=170

防御力=200 運=50

スキル=(火、水、氷雪、付与、黒)魔法、身体強化魔法、アイテムボックス(小)、言語理解、黒魔法耐性、恐怖耐性、物理攻撃耐性、毒耐性、気配消し、感覚強化、気読み、冷却耐性、

固有スキル=勇者覇気、高速剣、索敵、


七光 ユウタ(男) 14歳 称号=異世界勇者 職業=槍士 状態=健康(洗脳中、意識混濁中) 加護=魔蛇神ニョロの加護

LV=0 HP=2500/2500 Mp=500/500

力=230 魔力=150 知力=50 敏捷=180

防御力=250 運=60

スキル=(風、土、雷、黒)魔法、身体強化魔法、アイテムボックス(小)、言語理解、黒魔法耐性、恐怖耐性、毒耐性、物理攻撃耐性、気配察知、冷却耐性、

固有スキル=勇者威圧、高速突、地図


美咲 カオリ(女) 14歳 称号=異世界勇者 職業=弓士 状態=健康(洗脳中、意識混濁中) 加護=魔蛇神ニョロの加護

LV=0 HP=1000/1000 Mp=2500/2500

力=120 魔力=250 知力=120 敏捷=200

防御力=150 運=90

スキル=(風、土、緑、黒)魔法、身体強化魔法、アイテムボックス(小)、言語理解、黒魔法耐性、異常耐性、物理攻撃耐性、俊足、遠視、気配消し

固有スキル=勇者気合、高速弓連射、命中補正、


山本 セイヤ(男) 13歳 称号=異世界勇者、職業=魔術士、状態=健康(洗脳中、意識混濁中) 加護=魔蛇神ニョロの加護

LV=0 HP=500/500 Mp=3000/3000

力=40 魔力=400 知力=190 敏捷=30

防御力=70 運=40

スキル=(火、水、風、土、炎、黒、付与)魔法、身体強化魔法、アイテムボックス(小)、言語理解、黒魔法耐性、恐怖耐性、毒耐性、物理攻撃耐性、魔法探知、魔力強化、

固有スキル=勇者精神、高速詠唱、魔力回復

となっていたが、私には皆にない精神pと精神力、エクストラスキルが付いていた。

どうやらこの異世界への転移に力を貸したのは異世界の神、魔蛇神ニョロという奴で全員が持っている身体強化魔法、黒魔法、アイテムボックス(小)(私のは時空魔法を持っているからか収納無限、時間停止である)、や私を含め皆が持っている物理攻撃耐性等の耐性を幾つか与えたようだ。

まったく迷惑なやつだ。でも耐性より上の無効が私にあり、聖光神ヒカリ様の加護のお陰だと思う。有り難いことです。

他にも私のステータスに突っ込みたい所はあるが、クロハラ大臣が1人1人にステータスとスキルを聞いていき、その度に周囲から”おぉ~すげぇ“”素晴らしい“などの歓声が沸き起こり、次は私の番と思っていたのだが私を無視する。

オーロカ王様が「皆、素晴らしいステータスとスキルを持っており羨ましいのぉ、その力でこの国を救って欲しい」とニヤニヤ、ニタニタしながら言う。

私が抜けているので、手を上げて

「すみません、私がまだなんですが」と言うが皆私のことを無視する。

いや、見えていないようなので更に声を上げて

「あのぉ、私がまだなんですが」再度言えども皆気づかない。

周りを見回してみても誰も私に気づかないし見てもいない。自分でも気づいてはいた。

考えてみれば現世でも幽体離脱中は誰にも見えていなかったのだから、幽体離脱中で異世界に来たのなら見えないのは仕方ないかと思ってしまうが1人ボッチは嫌だから考えないようにしていたがボッチが確定してしまった。私は蚊帳の外かと思ってしまう。

しかし、何故に学生らしい4人は大人しいのだろうか、普通は騒ぐはずなのに4人はまだ親離れが、出来て無い程若いのに1人も文句を言わずに黙ったままなのか。

そこで気がついたそういえば4人共ステータスの状態が(洗脳中、意識混濁中)と成っていたが私には無い。

4人共ステータスを読み上げる時、( )内の洗脳中、意識混濁中を読み上げていない。もしかして見えていなかったのかも知れない。

それが原因かとオーロカ王様やクロハラ大臣やこの国に不信感が湧き上がる。

コイツラは信用してはいけないそう思うが現世に戻る方法が分からない為、暫くは付いて回り情報収集しようと思う。

ふと、オーロカ王様の左側に並んでいる神官10人いる内の一番端の若い金髪女性の神官、18歳位の美人さんと目が合うと不自然に”パッ“と視線をずらすので(あっ、もしかしてこれは私が見えているのでは)と思い、その神官の所まで宙に浮いて飛んでいくと私を避けるように移動する。

私とその女性神官の間に他の神官が入るように移動する為、(これは確定だな)と確信し、女性神官の後ろへ行き、

「見えているんでしょ、助けて下さいよ」と言うと女性神官は両手で耳を塞ぎやがった。

カチンと来たので怒鳴りがちに耳元で「貴方達が勝手にワガママに一方的に、こちらの世界に引きずり込んだんでしょ、元の世界に返してください。」

女性神官は「知りません、知りません」と小声で言いながらしゃがんでしまう。

皆が注目する中での事なので目立ってしまう。

オーロカ王様の姫、女性神官長ファーナが

「カナン神官、どうしたのですか」と問うと女性のカナン神官は返事をする。

「申し訳ございません、頭痛が酷いので下がらせてください」

「下がりなさい、許可します」

許可を経て一礼して去っていくが、追うか迷い情報が欲しいため、今しばらく残ることにした。まあ、お城にいれば何時かは会えるだろうからね。

オーロカ王様は先程と同じことを言う「魔族や他国の侵略を阻止して、この国を守り魔族を倒して欲しい。その後は多大なる褒美と帰還を約束しよう」と言うが今一、危機感が感じられない。

王様やお妃様、その姫のファーナ神官長は、でっぷり太り金ピカの服に宝石に包まれてニヤニヤ、ニタニタしているのだ。

クロハラ大臣が言う「ザードス騎士団長、予定通り王城内の案内と禁止事項の徹底と日々のやるべき義務、各自の部屋への案内、今後のスケジュール等を説明するように」

「ハッ、かしこまりました。」

後ろにいた騎士が前に来て言う。

「それでは勇者様方、ただいま紹介に預かりました騎士団長を務めてますザードスと申します。以後お見知り置きください。

今後困った事、なにか聞きたいこと、その他相談事等も何でも私にしてください。では、私に付いてきてください。」

そう言って色々なところを案内し説明してくれる。

訓練場=(広大な山を二分し間に10m程の高い塀がある)「右が魔法訓練場、左が武術、兵士の訓練場となってます。

朝は日の出とともに武器を持ち、実戦訓練を行い夜間は敵襲訓練、野営訓練等を行ってます。

室内にも訓練場があり寝るまで魔法やその他の訓練が出来ます。

明日からは夜明けまでに朝食を済ませこちらで訓練をしてもらいます。

早死にしたくなければ必死に真面目に取り組む事です。(うん?今ニヤッとしなかったか?)3ヶ月後戦場へと向かいます。

訓練には遅れずに参加してください。」

武器庫=(兵士の実戦用、訓練用の剣、槍、盾、斧、ハンマー、ムチ、弓矢、投げナイフ、投げ槍等など又、各防具類や魔法使い用の杖、ロープ、帽子等も置かれている)「ここには兵士の実戦用、訓練用のが揃ってます。色々な武器を試されて自分の戦闘スタイルを見つけてください。

戦場に行く際は勇者様方には国宝級の武器、防具等を宝物庫に用意してますので、訓練で力を付けた後でお渡しするので暫らくはこちらの方をお使い下さい。」

食堂=(うわ~でっかいなー、大きな体育館を思わせ、2階もある)

「こちらは一度に4,000人が食事ができます。1階は兵士用2階は騎士、貴族用となってます。

皆様は1階を利用して下さい。(うん?普通2階じゃないのか?)ここには朝昼晩の食事を用意してます。

勇者様方は無料となってます。好きな時間に好きなだけ食べられて下さい。」

地下=(階段がずっと奥まで続いている)「こちらの階段は地下に行く階段です。

地下は3Fまであり食糧庫の他、犯罪者を牢獄している地下牢と悪霊を閉じ込めている墓場となっている為、立入禁止です。」

兵舎=(外に2階建ての細長い100m程のが5棟建っている)「こちらの兵舎は訓練兵、下級兵士用です。中は左右に二段ベッドが並び、プライベートはありません。

約3万人の新兵、訓練兵士が駐留出来ます。王城内には常時1万人の兵士が勤務しており、ラクトア国内には40万人の兵士がおり、各戦場に赴いています。

勇者様方には別に各自個室を用意してあります。」

食糧倉庫=(食堂のような大きくて細長い建物がいくつも建っている)「ラクオア国内に5箇所の食糧倉庫があり、その1つです。

40万人の兵士が3年間食べていけるだけの食糧があり、中には穀物を中心に非常食、携帯食、干して塩漬けにした乾燥肉、魚、果物、ドライフルーツ、酒、水、菓子、各種調味料、等があり、それを直ぐに運べるように馬車も多数用意してます。(うわ~、直ぐにでも戦争が出来るように準備をしているんじゃないのか?) 又、王城地下にも数ヶ月分用意してます。」

図書館=(さすが王城の図書館ものすごい数の書物が置かれている)「2階の奥に立ち入り禁止の柵があり、そこは閲覧禁止ですそれ以外は何時でもご利用できます。」

風呂場=「訓練後はこちらで汗を流してください。こちらは沢山の兵士が利用しますが女性用がない為、各自の部屋の備え付きのをご利用ください。男性の皆様の部屋にも用意して有ります。」

薬品室=(薬独特の臭いがする)「こちらは薬草を研究保管する所です。傷薬、毒薬、毒消薬、麻痺薬、MP·HPポーション各種魔法薬品等を作製、研究、保管してます。」

魔道具研究所=(窓のない部屋にあらゆる物が散乱している。)「こちらの方でダンジョンから取れたアイテムや各種魔物の素材を使った魔道具の研究、付与、開発を行い、今では遠い場所と魔法で会話ができる魔道具を作り、大きな都市同士今では会話ができますがまだ3台しか出来ていません。

それから結界や収納袋(小)や力上昇のアイテムや武器への切断上昇等の付与等を成功してます。」(収納袋小とは勇者達の持つアイテムボックスの小と同じく畳1畳分が入るようだ)

礼拝堂=(教会の様な建物だ。入口の両サイドに兵士が立っている)「この礼拝堂は神聖な場所です。結界が張っており邪悪なものは入れません。

王都全体及び礼拝堂に結界が張ってあり、この中に結界の魔道具があります。では中に入ってみましょう。」

皆が中には行っていくので付いていこうと門番の兵士の横を通る際、兵士の1人がニヤニヤ笑いながら「次の獲物が来たな」コソッともう1人に言うと「シッ今は不味い黙れ」と言うがニタニタしているので気分が悪い。

皆は普通に入って行くが私が入ろうとするとまるで水中を進んでいるかのような抵抗感があるが泳ぎは得意なので泳ぐ要領でかき分けて入って行く。

4人は中央にて台座の上に5つの宝玉が取り付けられた石板があり、その前でひざまずき、祈るように手を合わている。

ザードス騎士団長は入口の方にいて、勇者4人の後ろには魔道士と神官が2人づつ付いて後ろから勇者4人に呪文の様なものを唱えている。

4人の側に近付こうとすると前の石板の黒い色の宝玉から黒い波動が出ており、気分が悪くなるので近づけないでいた。

仕方ないので離れて見守ることにする。

祈りが終わり立ち上がった4人はフラフラして”ぼー“としている。

その4人にザードス騎士団長が「石板に取り付けられた5つの宝玉は、下の台座に魔法のパワーを放ち、台座に書かれた結界の魔法陣が、この王都全体及び礼拝堂と王城周囲を神聖な結界で守っています。

物理防御、魔法防御、悪魔·魔族侵入防止等の結界を張っているため他国や魔族は攻めてこられません。

勇者様方には寝る前にここで礼拝することが義務付けられてます。」

王城の2階へと案内される。

「2階のこちらには大、中、小の会議室、作戦室、指揮官室等の幹部室がございます。

御用がないときは立入らないようにしてください。

反対側の奥の方に皆様のお部屋を御用意してます。1人1部屋好きな部屋をご利用下さい。1部屋に1人の召使いが付いてます。

遠慮なくお申し付けください。

3Fから5Fまでは王様の部屋や大臣の部屋、謁見室、宝物庫などもあり、立入禁止となっています。では、こちらの空いている好きな部屋をお使い頂き今日の所は休まれて召使いにその他のことはお聞きください。では、明日訓練場でお待ちしております。」

そう言われ4人は手前の召使いが立つ、向かい合った部屋にそれぞれ入って行き召使いも続けて入って行く。

私も奥の部屋に入るが召使いとやらはいない。

薄暗いベットに横になり私がボッチなのに気が付き落ち込み、今後の予定として私のことが唯一見える女性のカナン神官を探すことにする。

廊下で声がするので頭だけ壁抜けして見ると、4人は晩飯の食事に行くようだ。

私は食べることは出来るが基本、幽体離脱中はお腹が空いたことがなく、今も腹は減ってないので、カナン神官を探すべく城中をかなり隅々まで歩き捜し回ったが見つからなかった。

礼拝堂近くまで来たとき、4人は夜に義務付けられている礼拝を終えたところのようで結局カナン神官は見つからず4人と一緒に部屋に戻ったのだった。

私には睡眠は必要ないらしく、眠くならない為、ベットで横になり”ボー“とするだけであったが1時間もすると暇になり、図書館に行き夜通し魔法初期の訓練方法という書物を読み練習したのだった。

中は真っ暗であったがスキルに闇目がある為、普通に昼間のように読めたのであった。

寂しさを紛らわせるには良かったのである。朝が来るまで没頭してしまった。

部屋へ戻ると食事を終えた4人は訓練に向かうところであった為、付いていく。

訓練場では基礎的な体力訓練をした後、午前中武術訓練、午後からは魔法訓練を実地した。

武術訓練の際、私も訓練用の武器を持った所、宙に浮く武器を見た兵士が

「ゴーストが紛れ込んだぞ、神官と魔術士を呼べ魔導師も呼んで退治しろ」

「武器は効かないから魔法が使えるやつは魔法を放て」

「クソっ何で此処に入ることができたんだ。結界が聞効いてないのか」と危うく退治されそうになり、武器を捨て逃げて、仕方無いので離れたところから、訓練の武術の型を覚えて人気のない所で1人隠れて訓練したのだった。

午後からは初期魔法の練り方や基礎や呪文等を教えてくれる。

図書館の本に書いてないことや本で読むのとでは大分違い勉強になったし、分かりやすかった。

人には、その人なりの属性を持ち、その属性魔法は相性が良い為、覚えやすいが、属性にない魔法でも時間は掛かるが覚えることができるようだが強い魔法は打てないらしい。

ちなみに、一般の人は10人の内、魔法が使えるのは2人位で属性は1つが多く、多くても2つ位しか持ってないらしい。

初期魔法の訓練から実戦的なものまで行い、各自のスキルにある魔法を教えるが黒魔法、身体強化魔法以外は教えてくれないので、自分で図書館で調べるしかなかった。

黒魔法、身体強化魔法を魔法を練って呪文を唱えてみるが何回頑張っても手応えはあるのだが、魔法を覚えることができなかった。

その他の基本魔法といわれる火、風、土、水魔法も魔法を使おうとしても、魔法だと思われる感覚というか、何かが身体から出ると”フッ“と消えてしまうのである。

黒魔法は何と無く自分とは相性が悪い気がする。なんたって異世界では職業が僧侶となっている為、図書館の本棚から白魔法を取り出して訓練も実施した。

聖光神ヒカリ様から頂いたスキルに白魔法があるのだから、覚えやすいはずだと思い、訓練するのだった。

後で分かったことだが聖神魔法は光魔法の上位版で光魔法は白魔法の上位版らしく、互換性があるようだ。つまり、普通の人は白魔法を覚えてから光魔法を覚えないと、聖神魔法は覚えられないようだ。

ある夜のこと、図書館の閲覧禁止エリアの奥に更に檻に閉ざされた王族以外の閲覧禁止場所があり、その本の中に時空魔法と書かれた本があり、跳び上がって喜んだものである。

これで自分が持つスキルの時空魔法が使えると思ったからだ。

更に聖神魔法、光魔法まで見つけたのだった。一辺に全部は無理の為、時空魔法から覚えようと思う。

しかし、時空魔法の色々な呪文を唱えるのだがやはり、魔法は発動しなかった。

魔法を感じるのだが他の魔法と同じ様に形になると”フッ“と消えてしまうのであったがこんなことで負けてたまるか、必ず物にしてやると言う想いからその日から、時空魔法をメインに訓練したのだった。

時空魔法には、転移という魔法があるため、元の世界に戻れるかもしれないと思ったからだった。

ある夜のこと、訓練用の武器を持ち武術訓練の型を訓練していたら、いつの間にか近くに騎士団の格好をしたゴーストがいた。

私の訓練を黙ってみているので喋りかけてみる。

「訓練の型はこれであってますかね」

「ウム、君は新兵かね」

「そのようなものです」

「では私が教えてあげよう」

その晩から夜のみ騎士団の幽霊と訓練を行った。次第に訓練は苛酷になって行くが、異世界で初めて出来た友達であったので楽しいが、打ち込み試合をやるようになってからは毎日ボコボコに叩きのめされたのであった。

動けない程叩きのめされても、スキルの回復が働き直ぐに回復して訓練再開となるのだった。

明け方になると騎士団のゴーストは”フッ“と消えていきなり帰ってしまうのだった。

ある日の訓練の途中、話をしたら、以前は騎士団長を務めていたらしく、王様に勇者様の扱いについて提言したら、食事に毒を盛られ暗殺されてしまったそうだ。

理不尽で納得ができず、成仏が出来ないようである。

今では自分の名前はレイマしか思い出せず、フルネームや貴族だった事も思い出せないらしい。このままでは魔物の”リッチ“になってしまうことを恐れていた。

リッチのような魔物になるのを防ぐためには誰かの眷族か従属になるか、除霊してもらうしかないが、何か目的がある為、成仏出来ずにいるようで、その目的も思い出せなくなっているらしい。

レイマは普通のゴーストではなく、ハイゴーストらしく意識を持ち考えることも喋ることも出来るようだが月日が経つうちに生前の記憶が曖昧になってきているようである。

せっかく出来た友達が苦しんでいるので助けたい、私に何か出来ないかと思ったらスキルの死霊術にゴーストテイマーというのがある。

これは図書館で読んだテイマーと一緒で、これは私が相手を従属しても良いと思い、相手も私の従属に成りたいと気持が合致したときに私の魔力を練った魔力で、レイマの額に私の名前を書くことで発動するらしい。その確認の為、一応聞いてみる

「私にゴーストテイマーされて、従属になりませんか。」

「おおう、それは本当かね。貴方に従属し部下になり忠誠を誓うことを約束しましょう。」

互いの気持が合致し私の魔法を練った私の名前シタロウの文字を額に書くとレイマが光、その光が私の中に入りゴーストテイマーが成功し従属になったのである。

魔法を放出するのではなく、指先に集めた魔力を使ったからか消える事なく、上手く行ったのだった。

レイマが口を開かずに念波で話しかけてくる『有難うございます。主様に永遠の忠誠を誓います。』ので私も念波を使ってみる。

『レイマさんが魔物のリッチにならずに良かったです。』

『主様、私はもはや、主様の家来です。さん付けは止めて呼び捨てでお願いします。』

『分かりました。よろしくお願いするレイマ。』

明け方近くになると私の死霊術のスキルの死霊倉庫に入っていくのだった。

死霊倉庫は従属のみが入ることができるようで私の身体50cm近くに来れば黒い1m✕30cmの入り口ができ出入り可能なようだ。

従属になると、ある程度は自分の意志で出入り出来るらしい。

死霊倉庫の中を見るとレイマの名前がある。中の居心地を念波を使って聞いてみると、『死霊倉庫の中は快適で今までの疲れが吹っ飛んで痛めていた肩や腹、腰、脚が治り、力がみなぎり、体調不良が嘘のようです。』という。

死霊倉庫は呪文やMPを使わずに何時でも直ぐに呼び出せるらしく、しかも私のスキル、回復が死霊倉庫にも効くらしく、疲労や怪我をしたり、魔法を使いすぎたときも少し経つと、HPやMPが満タンになるらしい。一応レイマに言っておくことがあり、

『レイマ、私は異世界から無理やり召喚されてきた為、元の世界へ戻る方法を探してます。元の世界へ戻る際は従属を解除してレイマには、死霊昇華で天国へ行ってもらいます。いいですね』

『分かりました。主様それまでよろしくお願いします。』

2ヶ月過ぎの頃、私のスキルを確認している際、エクストラスキルに魔法倉庫があるのを見て中を確認の為、見ると今まで使えなかった魔法が全部、型になって無数に入っているのである。使えないと思っていた魔法は使えていたのである。

魔法倉庫の収納を放出に切り替えて中の魔法を試しに使ってみる。

黒魔法腐食を樹の実に放つと腐って落ちてしまった。

黒魔法ブラックボールを大木に放つと木に当たると同時に木が黒くなり枯れてしまったのだった。

勇者達の使う黒魔法より、数倍威力がある。

勇者達がブラックボールを放ったときは木の枝の一部が枯れただけだが、自分のは大きな木が全部一本枯れたのだ。死霊術が絡んでいるのかも知れない。

「う~ん、あまり気持ちのいい魔法ではないですね。」黒魔法は封印することにした。

今の所は魔法倉庫を使う理由もないので放出を収納に再度切り替える。

普段は魔法を収集したいので収納にしておく事にした。

自分のスキルに剣術LV1、盾術LV1、槍術LV1、弓術LV1、投錨lV1がスキルに増えて喜んだものだが、火、水、風、土魔法は初期魔法は魔法倉庫に入っているが、まだLVUPまでの経験値は足りてないようだが、必ずものにしてやると決心するのであった。

一緒に来た勇者4人は、かなり腕が上がり、魔物退治に魔の森へ行きLVも30~40まで上げ、ザードス騎士団長とほぼ同じ位に強くなり、魔術師にも魔法でほぼ同じ強さになっていたのである。

私はビビリで魔物が怖いのでそれには、同行しなかったので、LVはまだ0のままである。

LVをあげる1番の方法は魔物を倒すと魔物が持つ魔素が身体に入り、上がりやすいと言われている。

ある日の事、この日は初めての休日が勇者4人に与えられ4人は街に買い物に行くらしく、私も付いて行くことにした。

城から初めて出るので私もウキウキ気分で街に出たのだが、門から20m出たところで、勇者4人には視えない闇の部分をまざまざと見せ付けられたのである。

幽霊が至る所にわんさか居る。

虚ろな者、膝を抱えてる者、ひもじいよ~と泣く者、腹が減った誰か食べ物をくれと言う者、泣きじゃくる者、痛い痛い誰か助けてくれ治してくれと言う者、俺の手が無い誰か知らないかと言う者、怒って怒鳴り散らしている者、助けてとうめいている者その中の小さな子供が泣きながら、震えて「お母さん、ドコに居るの、一人は嫌」可哀想になり助けたいと思って、スキル死霊術の死霊昇華を使い可哀想な魂を天国へと送ったのだった。

小さな子供はユックリ上に上がって行きながら「お兄ちゃん、ありがとう。本当にありがとう」と嬉しそうに言い、手を振るので、私も手を振り替えし「天国で幸せになって」そう言うのであった。

死霊術はMPを消費せずに精神Pを消費するせいか、呪文は必要なく術の名前を唱えれば使えたのである。

それを見ていた他の幽霊が

「私も助けて下さい」

「私もお救いください」と我も我もと沢山の幽霊が懇願して集まって来た。

「良いでしょう、救いが必要な人は1列に並びなさい。」買い物どころではなくなってしまった。

物凄い数が集まってきたのだった。

身体が欠損している者には、死霊治療で欠損部分を蘇らせ、身体に傷を負っている者には傷を治し、精神を病んでいる者には白魔法のピュアーヒール(精神、狂人を治す魔法)を掛けて治してから昇華してあげたのであった。

そんな中、「俺の許可無く、何してくれてんだアア~ン、コイツラは俺様の奴隷だ。

出すもん出さないと、殺すぞテメェ」等と悪態をついて私や他の霊に絡んで来る悪い悪霊には、死霊浄化にて消滅してやったのであった。

精神Pもほぼ無くなり、夕方近くには幽霊はほぼ居なくなり、幽霊達に感謝されたお蔭で、やり遂げたという充実感さえ感じたのであった。

満足していると買い物を済ませた勇者4人が帰ってきたので、一緒に城の中へと戻ったのだった。

日が落ちてから、従属のレイマに今日門を出て直ぐの街に行く道であったことを話すと

「主様、それは良いことをなさいましたな。その話で思い出しました。私の成すべきことの1つ、この城の地下に封印されている可哀想な魂を救うことでした。

主様どうか私にお力をお貸しください。」

「それはどうして、封印されているのでしょう。悪い霊ではないんですか?」

「記憶が曖昧のため、何故に助けねばならないのかを思い出せませんが助けなければと言う想いが在るのです」

すでに精神Pも元に戻っているので問題は無いのでレイマの憂いを経ってあげるため怖いが行くことに決めた。

「分かりました。案内して下さい。やれるかは分かりませんが善処します。」

城の地下階段を降りて行くと、地下1F2Fは食糧庫になっており、大分温度が低いようで寒いくらいだ。3Fに降りると左右に道が別れている。

レイマの後をついていくと右に行くので付いていくと階段があり、降りると大きな広場に出る。

中央の壁に大きな扉があり、呪文が赤くヒカリ浮かんでいる。

その前で止まって「ここに、封印の結界が張ってあるためこの先には今まで行けずにいましたが、主様は結界が合っても通れる様子。私が主様の死霊倉庫に入れば中に入れるはずです」

そう言うので死霊倉庫に入ってもらい、大きな扉を押したら、浮いている赤い呪文がピカッと光、”バチバチ“と弾き返されてしまった。5m程ふっ飛ばされたのだった。

「イテテテテッ、アァ、ビックリした~」魔法の他に呪いのような物が施されているようだ。

「主様申し訳ありません。無理なら諦めましょう」そういう心配してくれる念波の声が頭の中に聞こえてくる。

「いえ、もう治りました。ふ~む、では横の壁から伝って行くのはどうでしょう。」そう言ってドアから少し離れた壁から、壁抜けをやると抵抗感はあるが泳ぐようにして何とか入れたのである。

真っ暗な空間だがスキルに闇目がある為、昼間のように見える。

中は巨大な空間で至る所に墓石がある。

レイマが死霊倉庫から出てきて、一緒に中を歩いていると住民の幽霊や兵士の幽霊、手足のない幽霊やブツブツうわ言を言うヤバメの奴がものすごい数居るのであった。

その中から数人にレイマが声を掛けると、涙を流しながらレイマ騎士団長と言いながら幽霊共が集まってくる。

「主様こいつらは、昔は私の部下でした。救うことが出来ないでしょうか」

「分かりました。ここでは結界が強い為、死霊術の死霊昇華は使えそうにありませんので、治した後、死霊倉庫に入ってもらい、城の外で死霊昇華を使い天国へ行ってもらいましょう。その為に全員一時従属してもらい、城の外に出て従属を解除します。」

「皆んな、聞いたな。成仏出来るぞ、天国へ行きたい者はここに並べ」

「おお~、有り難い」

「やっと成仏出来る。」

「あの世で家族に会える。」

「助かった~、この御恩は忘れません」

「地獄から抜け出せる。有り難い」そう言う幽霊達の中

「レイマ騎士団長に今後もついて行きます。お供させてください。」と言う者も多数いて

「主様、どうかこの者たちも従属にしてやって下さい。」と言うので分かりましたと了解をしたところ、

行き成りレイマ騎士団長と一緒に行きたいという者が皆身体が光、私が魔力を練って名前を書くことなく従属に出来たのだった。レイマが言うには、レイマと部下達は信頼関係が出来ているからではないだろうかと言うのだった。

部下達を鑑定で見るとレイマの眷属とあった。

身体欠損しているものは治し、それ以外は死霊倉庫の特質の回復で治すことにした。

あまりにも、人数が多いからだ。私の中に入り200名近くの元騎士団の強者達が私の従属に成ったのであった。

その様子を見ていた他の幽霊達も集まって来た。

幽霊の中には元冒険者の方も沢山いて

「俺は冒険者ランクSの”漆黒の流星“リーダーのゾナン。俺ら5人も従属にしてくれ、」とか、元冒険者Aが5組み、Bが10組み、C、Dからもまだ暴れ足りない。まだ、俺は戦える。

世のため人のために力を使いたいという幽霊を含め120名程を従属にし、更に戦闘のプロの元傭兵部隊”ドラゴンの牙“200名も従属を希望してきたので、500名超えの大所帯になったのである。

そんな中、全身傷だらけの“ボー”としている女性の幽霊をレイマが見つけ、声を掛ける

「勇者ミサキ殿ここに居られましたか、探しましたぞ。」と涙を流しながら言う。

しかし、勇者ミサキというゴーストは反応無く“ボー”としている。

レイマはミサキという幽霊の肩を掴み、揺さぶりながら再度呼び掛けると、うわ言のように「誰、ここは何処、敵はどこ、早く倒さなきゃ•••••」

レイマが私に向き言う「この方、勇者賢者のミサキ殿を助けてやって下さい。お願いします。主様」

「分かりました。やってみましょう。」

死霊術の死霊治療を使うと、ミサキという女の人の全身の傷が治っていくが、まだ”ボー“としている為、白魔法ピュア匕ールで精神を治すと顔つきがキリッとし

「レイマ騎士団長、皆は何処です。私達勇者の仲間達は?、光の勇者カズマ、聖女ミユキ、盾のタクヤ、弓のサチコは何処です。何故私は1人此処にいるのです?。」

「落ち着いて、お聞きください。

すでにあれから数年の歳月が経ち、あの時怪我を負った光の勇者のカズマは、同じく怪我を負った私が担いで外に退避して治療院に治療をお願いしたのですが、私もそこで負傷の為意識を失い、カズマは行方不明です。

その後、中の勇者や騎士団、魔法騎士団、兵士、冒険者、傭兵、総勢7万の軍のほぼ全てが滅び王は中の生きている者も犠牲にして、封印を指示し、あれから中に入ったものはおりません。

王に意見をした為、私自身毒殺されてしまいました。」と涙ながらに言うのであった。

話が見えない私は詳細を聞く

「あのー、何があったのでしょうか?、何と戦っていたのでしょうか?」

「主様、申し訳ございません。賢者ミサキ殿、こちらの我が主様のシタロウ様にゴーストになって苦しんでいるところをテイマーしていただき従属になり助けられました。」

「そう、私達は皆亡くなったのですね。」

「勇者達をはじめ、封印された後に亡くなった人は封印の結界の為あの世に行けずに、今もダンジョンでさ迷っています。」

ダンジョンというと、魔物が居るところだが、ゴーストの幽霊はいるが、魔物はまだ見ていない。

「ここはダンジョンなのですか?魔物は何処に居るのです。」

「この王城の地下墓場に、昔行き成りダンジョンが発生しました。

その頃魔族討伐をしていた所、魔族のヘビのラミアが、眷族を伴い100匹のヘビの魔物とこの王都に奇襲を掛けてきました。

その頃はまだ、王都に結界が張られて無いときでした。手下のヘビの魔物100匹は皆で倒しましたが、ラミアは強くダンジョンへと誘導しましたが全滅して負けてしまいました。」

そばで聞いていた元騎士団長レイマの元部下の幽霊騎士の1人が

「ダンジョンの地下で、皆はまだゴーストや魔物になって、ラミアと戦ってます。

主様ご助力をお願いします。」

ダンジョンは墓場の中央にある王の一族の大きな墓の地下に出来たらしい。

魔物と一度も戦ったことのないビビリの私は、そんなに強い魔物がいるなら、私が行ったところでどうにも成らないだろうと行くかどうか迷っていたら、

「主様、主様が戦う必要は無いのです。

戦力はここに五万といます。安心して下さい。主様には後衛をして頂きバックアップして頂ければ、戦闘は我々が引き受けます」

「分かりました。行ってみましょう。」

賢者ミサキも従属し、大勢でゾロゾロ歩くと敵にバレるので皆には死霊倉庫に入ってもらい、レイマと2人してダンジョンに入って行く。

暗い長い階段が続いており、下に着く前に激しい戦いの音が聞こえてくる。

地下のダンジョンはジャングルのようにウッソウとした森になっていた。物凄く広く、起伏が激しく、反対側の突き当りの壁が見えない程だ。

”ガッキーン“ウオオオオー”ドンバン“「こいつを上に行かすな、ここで止めるんだー」

うわ~本気で今も戦っているよと隠れて見ていたら、戦っている味方は魔物達で魔物のスケルトンやゴーストやグールやダークファントムやリッチ、アンデットやワイトやゾンビが25m程の女のヘビの魔物ラミアと戦っているが皆ボロボロで疲れきってフラフラしている。

5万程の大軍勢だが劣勢のようだ。

「主様、我らも加勢しましょう。我らが戦いますので今戦っている味方の回復と出来れば従属もお願いします。」

「分かりました。効くか分からないですが身体強化魔法を自分に掛けておきます。」

身体強化魔法を自分に掛けたあと死霊倉庫に入っている従属達を出すと

「ウオオオオー力がみなぎるぜ、今なら負ける気がしねえ。」という。どうやら死霊倉庫の中の幽霊達にも身体強化の魔法が効いているようだ。

レイマが「ウオッシャー全員ラミアにかかれー、負傷しているもの、疲れているものは主様のもとで治療と従属を指示しろ」

「待ってください、今戦っている方達は魔物ではないでしょうか?私の従属になるとは思えませんが」

「大丈夫です。私達も従属してますのでなんの問題もありません。

暫くは私も主様の隣りにいて、負傷者に説得を行います。」

どうやら、私の勘違いらしい。幽霊やゴーストは魔物の部類の中に入るようだ。

そうこうしているうちに、今まで、戦っていた傷だらけのスケルトンやゾンビやゴースト達が集まりだしレイマが説得をし、ドンドンと治療をするが精神Pが勿体無いので従属になってもらい、死霊倉庫の中に入ってスキルの回復で治療してもらうことにした。

その中にキングリッチやダークファントムやスケルトンキングを始め頭を張っているのは元の勇者や騎士団長を務めていた強者ばかりで頭のボスを従属すると、眷属の部下達も右へ習いとばかりに一斉に従属出来たので、死霊倉庫の中で回復してもらう。

スケルトンキングは盾の勇者タクマ、キングリッチは勇者聖女ミユキ、ハイグールは弓の勇者のサチコが魔物になっていた。

レイマも彼らと話がしたいらしく、情報収集も兼ねて死霊倉庫に入るのだった。

1時間程すると、念波の声が聞こえてきた。『主様、皆回復しました。戦いに参加させて下さい。』

『分かりました。今戦っている者達が戻り次第、順次再戦となります。頑張って下さい。』そういう話をしていたらドンドン負傷者が集まってきた。

死霊倉庫に入ってもらい中で回復してもらう。身体強化魔法を自分に掛けると死霊倉庫に今いる者達にも掛かるのが分かったので、MP節約も兼ねて出撃前に掛けるのであった。

ー ー ー ー ー ー ー

(ラミア側の反応)

(くそ~、おかしい、イキナリ強くなった。今まで弱りきっていたのに何故ジャ。

このままでは、負けてしまう。

ン?、弱った奴らがあの幽霊の男のところに行くと、元気になって戻って来る。

それによく見ればあの男美味しそうなニオイと生命力に満ちているではないか!幽霊等はエネルギーにならないから食わなかったがあれは美味しそうだ。

あの男から先に食べてやっつけてやろう。

ー ー ー ー ー ー ー

「ラミアが主様を狙って来たぞ、皆主様を守るのを優先しろ。主様には近づけさせるな」そう言って私の前に皆が集まり出す。

しかし、ラミアはアゴまで避けた口から2枚に割れた長い舌を出し入れしながら、ヨダレを垂らして近付いてくる。

巨大なムチを振り回し、皆をふっ飛ばしながら近付いてきた。

私は走って後ろに逃げ惑うのであったが、壁まで追い込まれ、壁抜けで壁の中に逃げようとした所、ラミアに捕まってしまった。

「エネルギーに満ち溢れて、美味しそうな奴だ、我と我がお腹の子の栄養となれ」

そう言いながら頭から私を飲み込むのであった。中は臭く狭く、身動きも出来ない。

胃液だろうか液体が周囲に満ちて来てダンダンと力が抜けて行く、急いで壁抜けをやるのだが壁ではなく魔物の体内だからか、壁抜けが出来ない。

外では私の救出をすべく、激しい振動が伝わってくる。このままではいけないと思い、死霊術のドレインを思い出す。相手のMP•HPを吸い取るものだ。

「ドレイン、ドレイン、ドレイン、ドレイン、ドレイン、ドレイン••••」腹の中から何度も何度も掛けていくとラミアがドンドン萎んで行き、ミイラになって倒れたのであった。

その後皆に助け出されたのだった。

「皆さん、お陰様で魔族のラミアを倒すことができました。有難うございます。約束通り、城の外に出たあと、昇華して、天国に行きたい人は私が責任を持ってお送りします。」そう言って皆と安心している所へ、“ズズウー、ズズゥ”と重たいものを引きづる様な音が響くと、強烈な威圧感と殺気がビリビリと伝わって来た。

40m程のどデカイヘビのウロコが黒光りする魔物のラミアだ。

「ラミアのオスのほうが来たぞ戦闘態勢を取れ」

「クソぅ~本命が来たぞ」

「くっそー魔物を食べて食事と休憩を終えたか」

「だが今なら力がみなぎっているから倒せるんじゃないか?」

「コイツは魔法が効かないし、ウロコが硬く物理防御にもなっている」

「相方を殺られて怒っているようだ」と言うが、ラミアが2匹居るなんて聞いてないよぉと思っているとラミアのオスが明らかに自分に向けて睨み付け、歯をむき出しにして鬼のような形相で威圧している。

「全員、主様を守りながら戦え、全面に盾で壁を作れ、槍隊はその後ろからラミアを牽制しろ、魔法部隊と弓隊は呪文を唱え、矢を構え合図と同時に放て、剣の部隊は合図したら突撃だ。槍隊もそれに続け。」

「死霊倉庫の奴等も全員出撃して、主様を守るように言え。」すると、数万の従属がドンドン出てきて死霊倉庫が空になる。

「主様を守れ、ラミアのオスを倒すぞ」

ラミアを取り囲むかのようにして、武器を構え戦闘を始めるが、オスのラミアも持っている巨大な槍を振り回して味方を吹き飛ばしている。

70m程来たときだ、ラミアが身体を丸めた後ジャンプしてきて自分を守る者達を跳び越して直接自分に攻撃を仕掛けてきた。

「ギャ~、マズイマズイマズイ、」

もう目の前まで跳んで来ていてツイ、

「ストップ」と両手を前に出し念力を出すと空中にラミアのオスが”ピタッ“と止まって浮き、ラミアも何が起こっているか分からずにもがいている。

これはチャンスと横の壁に思いっきりぶつけるのだった。“ドオドオーーンン“物凄い音と振動が起こるが一度では倒せない為、5、6回とぶつけると動かなくなり、倒したのであった。

「ウオオォー主様がラミアのオスを一人で倒したぞ、すっげー」と皆が歓喜しているのであった。

やっと、戦いが終わったと安堵し

「それでは皆さん外に出て天国へ昇華させますので死霊倉庫に入ってください」

しかし意外な反応が返ってくる。

「天国に何時でも行けるなら、別に今すぐでなくても良くね」

「そうだな、何かまだ暴れたりないから俺は後でいいな」

冒険者のゾナンが言う。「主様、このラミアのオスとメスは冒険者ギルドに売れば高額な金になりやす、アイテムボックスに余裕があるなら入れておいたほうがいいですぜ」

いいことを聞いたとアイテムボックスに2匹のラミアを収納したのだった。

「あちこち見て回りたいし、暫くは主様と一緒に居るよ。」そんな中、元亡き勇者達からは

「元の世界に戻りたいし、主様はいずれ地球に戻るつもりなら、光の勇者のカズマも見付けたいから主様と一緒に居ます。それから、私達はもう勇者ではなく、主様の従属下僕です。呼び捨てでお願い致します」

「分かりました。今後もお願いします。」

ほとんどの者は残ったので、住民を含め5万超えの大所帯になり、皆魔法倉庫の中に入って行き、力を貸してほしいときは呼んでくれと言うのだった。

死霊倉庫にゾンビやスケルトン、ハイゴースト、グール、リッチ、ダークファントム等までも私の従属となり入っていくのだった。

気になることがある。ゾノビになった者達はどこまで治るのだろうか。腐った手足も回復するのだろうか?念波で居心地を聞くと

『主様凄く快適ですぞ、凝ったところも治り、傷や折れた手足、腰やアバラも治り、力がミナギッてますぞ』と言い、腐蝕もある程度治ったようだが、ゾンビのままというのには、こだわってはいないようだ。

残った住民の幽霊の中には獣人やエルフやドワーフなどもおり、死霊倉庫内で村を作り、鍛冶場や裁縫店や武器屋や防具屋等を勝手に作り、生活をするのだった。まぁ、いいけどね。

レイマから「勇者のカズマとミサキは愛し合っており、結婚の約束をしてたんです。

だから何とかカズマを見つけてやってください」と言うのだった。

その日は疲れたので1日休みを取ったのであった。

魔族は強く国の総力を上げて戦う程なのでLVがだいぶ上がって、一緒に来た今の勇者達にだいぶ近付いただろうと思いステータスを確認すると

憑依シタロウ(男) 12歳 称号=異世界勇者 職業=僧侶 状態=死者? 加護=聖光神ヒカリの加護 魔蛇神ニョロの加護 LV=1  HP=0/60 精神p=480/480 

MP=10190/10190  力=33 魔力=390  精神力=360 知力=105 敏捷=21 防御力=11  運=70

スキル=剣術LV1、盾術LV1、槍術LV1、弓術LV1、投錨術LV1、飛行、隠姿、壁抜け、闇目、回復、念力、言語理解、(白、光、聖神、時空、黒、付与)魔法、身体強化魔法、アイテムボックス(収納無限、時間停止)、呪詛魔法無効、即死魔法無効、精神魔法無効、物理攻撃無効、光魔法耐性、黒魔法耐性、恐怖耐性、毒耐性、物理攻撃耐性

固有スキル=神眼(鑑定、神光、能力封印)、   死霊術(憑依、支配、ネクロマンサー·······)

エクストラスキル=魔法倉庫、不死

となっていた。

「何ですと~、有り得ないあんなに強い魔物と戦って倒したのに何でLVが1しか上がらないの?」レイマと賢者ミサキに訳を聞くと申し訳無さそうに

「ラミアの経験値と魔素は従属になって一緒に戦った者全てに均等に割り振られた為と思います。」

どうも納得が行かない。ラミアのオスは私1人で倒したのにと思っていると

「LV上げを主様が望んでいるのなら私達はなるべく、戦闘には参加せずに死霊倉庫で待機します。」と言うのだった。

次の日、ダンジョンを出て城の外で天国へ行きたい者だけを昇華して城に戻ると、勇者4人は昼ごはんを終えて出てくる所だった。

見るとその後ろに今までどんなに探しても見付けることが出来なかった女性のカナン神官がいて、礼拝堂の中へ入って行くので付いていき、抵抗力のある結界を抜けて、後ろから声を掛ける。

「カナン神官、ここに居たのですか。探しましたよ。」すると、振り向きざまに私を見るや否や、まるでゴキブリでも見たかのようにパニックになり

「ギャー、何でここに入れるんですか、何で居ることが出来るんですか、礼拝堂は魔物や幽霊、悪霊、悪魔等の悪いものが入れない神聖な結界が張ってあるんですよ」

「イヤイヤ私、死んでませんから、入りにくい壁のような物が入口にあり、抵抗感はありましたけど、特に問題はないですね。

それより帰り方を教えて下さいよ。たった1人の妹家族が心配するといけないので」と言うと両手で耳を塞ぎ

「知りません、知りません」と走って礼拝堂を出て行く。

明らかに挙動不審で何か知って要るなと思ってしまう。

私が見えて話ができる人間はカナン神官一人なので、ここで逃したら今度いつ合えるか分からないので、続けて礼拝堂を出てカナン神官の右手を捕まえて、

「逃げないで下さい、お願いですから話しをしたいだけなんです。」

「キャー、離してください”白魔法浄化ディスペル“(キラキラ)」すると、白い眩しい光が真上から私に降り注ぐが特になんとも無いので

「???何をしてるんですか。」と聞くと

「何で効かないんですか~」と言うと左手に持った錫杖を自分に向けて”ブンブン“振り回すが”スッ、スッ“とすり抜けて当たらずに空振りすると、

「悪鬼退散、白魔法白水(ピュ)、白魔法白火(ボォ)、白魔法白矢(ヒュン)、白魔法白雷(ゴロゴロ)、ならば光魔法光波(ピカッ)、光魔法光矢(ビュン)、光魔法光刃(ザン)、光魔法光炎(ゴオゥ)、光魔法光雷(ビリビリ)、光魔法魂破壊レインボー(シャーアン)、光魔法究極魔法オーロラ(キラキラキラ)ウソーそれならば聖神魔法聖水(ビシャ)、聖神魔法聖矢(シュン)、聖神魔法聖光(ピッカッ)、聖神魔法聖炎(ボオオォ)、聖神魔法聖雷(バリバリ)、聖神魔法プリズン(ガシャン)」と矢継ぎ早に次々と私に向けて攻撃魔法を放って来るが、魔法が全て私に当ると同時に消えてしまう。魔法倉庫に収納されているようだ。たまに、ビリビリと肌を刺すような痛みがある。(肌はないんですけど)

「何をするんですか、殺す気ですか、死んだらどうするんですか(死んで?るか不明ですけど)」と怒り気味に怒鳴ったら

「何で、白魔法や光魔法、最上級の聖神魔法までもが効かないんですか」と言う。

その騒ぎに勇者の美神ローラが

「何の騒ぎですか」と剣を持って来た。

カナン神官が

「助けて下さい。魔物の幽霊に襲われてるんです。右手を捕まれているんです。」

「イヤイヤ違うんです。話をしているだけなんです。」と言ったが自分の声は聞こえてないらしい。

美神ローラがカナン神官の右手に手の型が付いて居るのを見て、切り掛かってくる。

つい、条件反射で手を引っ込めるが、その剣に勇者覇気が掛かっており、”ビュッ“鋭い振りで自分の掴んでいた左手の腕の半分を切り裂いたのであった。

”ギャーイテテテテ、痛い痛い“と左手を抑える。血は出ないが”ズキンズキン“という痛みがある。

ヤバイと思い少し離れると、カナン神官は「効いてます、痛がってます。そこに行きました。」と的確に自分の位置を美神ローラに伝え、そこに剣を振り、切りつけてくる。

辛うじて逃げ惑うが行き止まりの壁の角に追い込まれ、絶体絶命の危機になって、もうダメかもと思ったところで私のスキルの壁抜けを思い出し、壁をすり抜け何とか助かったのである。

「あのカナン神官のアマぁ、許さんからなただ話がしたかっただけなのに」と1人でゴチル。壁抜けした場所は図書館であった。

勇者覇気が掛かっているせいか、治りが遅い。痛みを早く取り除きたいため、図書館の棚から白魔法の本を取り出して、癒やしの魔法”匕ール“を唱えると魔法が”フッ“と消えてしまう。

アッ!いけねと思い出し、魔法倉庫が収納になっていたので放出に切り替えて魔法倉庫の中を見ると今しがたのヒールと先程のカナン神官の魔法も全部入っていた。

改めて、ヒールを傷口に唱えると自分の右手が光、左腕の傷口が”スー“と消えたのであった。

フーと痛みも消えたので安心して、ここでしばらく様子を見ようと思ったら、図書館の入り口の方から、

「ここに逃げ込んだはずです」とカナン神官の声と「ココなんだな、よし探すぞ」と美神ローラの声がして10人程の人の気配が入って来た。

ヤバイと思い白魔法の本をアイテムボックスに入れ、足元の地面の壁を抜け、地下3Fまで行くと、そこは牢屋だった。

薄暗い奥の使われていない牢屋だったので、ここに隠れてしばらく様子を見ることにするかと思っていたら「ガッハハハハ俺の勝ちだな」と声がする。

鉄柵を頭だけすり抜けて見ると、牢番と兵士2人が机の前でイスに座り酒を飲みながら博打をしていた。

すると彼らの近くの牢屋から声がする。

「ミ、ミズ、水をくれ、頼む、ミ、水をくれ」声は今にも死にそうな、かすれた声であった。

気になり、そこへ向かうと牢番の男が鍵を開け、その声の主にコップの水を持っていき、飲まさずに顔にぶっかけて言う。

「勇者さんのお陰で、今のラクトア国はうるおって要るんだものな、サービスの水だ。ガーハハハハ」と笑いながら言う。

その勇者というのが気になり、その牢屋の方へ行くと、壁から垂れた鎖に両手を繋がれて、力無く項垂れ鎖に吊るされた人がいた。足は地についているが、立てないようだ。髪の毛ボサボサ、髭ボウボウ、身体中刀傷や殴られた跡、ガリガリに痩せた人で、神眼の鑑定で見てみると、

★?@カズマ(男)$#才 称号=異世界勇者

状態=奴隷、衰弱•~?『”~!'·』∥ー@~

鑑定妨害をされているらしく、それ以上は見えない。

首に黒い金属質の首輪がハメられており、それが原因だろうかと、軽く鑑定を使うと高級奴隷の首輪とあった。

亡き元勇者の従属した賢者のミサキが探している勇者のカズマという人だろうと思い、死霊倉庫に入っているミサキに念波で呼び、出て来てもらい、カズマ本人か確認してもらうと、ミサキは涙を流し両手で顔をおおいながら「カズマ、カズマ」とカズマに近寄って顔に触れようとするが触れずに通り過ぎるだけであった。

鎖を解こうとして頑張ってみるが手がすり抜けて上手く行かない。

傷だらけのカズマに白魔法のヒールを掛けるが魔法が効かない奴隷の首輪のせいらしかった。

兵士の1人が牢屋に近付いて入って来てカズマに言う。

「知っているか、王様はお前達勇者の働きを高くかって、後がまに新たに4人の勇者を召喚したぞ。

いよいよお前も不要だな、最後の1人になって寂しかっただろう。

もうすぐ仲間達の所へ送ってやるよ。クックックッ」と言って顔面を思いっ切り殴るとカズマは、気絶したのだった。

「貴族の俺は、お前ら勇者が気に入らねえんだよ。たかが少し位、力を持っているからといって、何で貴族の俺様がお前等にペコペコしなきゃならねえんだよ。ムカつくぜ」

そう言うと元の机へ行き、博打の続きをやり始めた。

ミサキから物凄い殺気が放たれ、

「この国の為とか人を救うためとか助けて欲しいと言われ、この国に尽くした結果がこの冷遇か許せない。殺してやる。」

そう言って炎魔法、煉獄爆裂炎の魔法の呪文を唱え始めた。

不味いここら一帯炎の海となると魔法倉庫を収納を確認してミサキの前に立ち

「カズマさんも殺すつもりですか?落ち着いてください」そう言ってミサキの魔法を私の魔法倉庫に収納するのだった。

「ごめんなさい、主様」そう言って泣きながら、ミサキは鬼のような形相で兵士と牢番の3人を睨み付けている。

そうとは知らない兵士達と牢番が話している。「農業しか取り柄のない小国だったラクトアが勇者を騙して使って隣接国だった小国の小人族のホビットが納めるポロン国と獣人の小国フォクス国を滅ぼし統一したことで、この国も中国家になって潤ったが、魔族の国に戦争を吹っ掛けたのは時期尚早で不味かったな」

「ああ、魔族のヘビ族のラミアが部下を連れて反撃して来たからな」

「あの時怪我したこの勇者のカズマ1人残して全滅し、この城の地下3Fに当時まだ生き残って戦っていた奴らも含めて結界で封印したんだもんな」

「魔族が襲って来なければ、後2つ国を取れていたらしいぜ。全く、魔族を襲うのは間違っていたな。」

「今度の勇者で、金鉱脈の鉱山を持つ人族の中国家キンナリ国と人族の中国家の商業都市国家マルサ国を侵略して統一して大国家になってから、魔族の国に戦争を仕掛けるらしいぜ。クックック」

「王様も欲が深いねぇ」

「ちげぇねぇ、グフッグフッグフッ」

「この国がまた、更に裕福になれば何にも文句はねえよ。ギャハハハハ」

「クックックだなァ。ラミアは何故しつこくこのラクトア国を目の敵にしたんだ。」

「蛇の魔族のラミアの子供に奴隷の輪をはめラミアを使って魔族を倒そうと考えたらしいぜ。それが子供を取り返そうと、反撃を食らったてえのが本当らしい。」

「ギャハハハハ、勝てないと思った国はその子を城の地下3Fに出来たダンジョンに連れて行き、親ラミアを誘ってそこで倒すつもりが失敗して、勇者4人を含め味方諸共、結界の封印で閉じ込めたらしい。」

「グフッグフッグフッ、その時に怪我したこの勇者のカズマを怪我しながら担いできた当時の騎士団長のレイマは魔族との戦いを大反対していて、怪我が完治して王様に文句を言って毒殺されたらしいぜ。惨めだねぇ」

「クックックッ、レイマの文句は勇者に奴隷の首輪をハメたことによる直訴だったらしい。

しかし、この勇者カズマってえのは頑固なんだか、打たれ強いんだか奴隷の首輪を付けて命令を強制されたらしいが言うことを聞きゃしねぇ、賢者ミサキとやらを救うとか言って、奴隷の首輪からの電撃で身体を貫かれても聞きゃしねえ、王様が怒ってここに監禁して出入り禁止にしたってぇ分けよ。」

王様が言っていた事は、全て嘘だった。

勇者カズマの首にハメられている奴隷の首輪を外そうと思い、奴隷の輪に奴隷魔法解除の黒魔法を放つが、パスワード設定がされており、解除が出来なかった。

ミサキと一緒に首輪を掴んだ瞬間”バリバリビリビリ“と電気が身体を走り2人共身体ごと壁まで吹っ飛ばされてしまう。

「グゥぁー、イテテテテ体が痺れて動けない」

「イテテテ何かの罠でも仕掛けてあるのか」と2人地面に倒れながら話をすると

牢番達も今のは何だとばかりに、こちらを注視していたが、「虫だろほっとけ」と言って博打を再開した。

「魔法倉庫が効きませんでしたね。おかしいですね。奴隷の首輪のせいですかね。先程は軽く鑑定しましたが、今度はキチンとみてみましょう。」

奴隷の首輪を鑑定すると、

奴隷の首輪=超一級品の高級奴隷の首輪(効果=対象者の違法取り外し防止に呪いと魔法で排除、命令厳守、服従、自殺自傷行為禁止、鑑定妨害、体力低下、思考力低下、解除パスワード6桁)

とあったが身体をぶっ飛ばしたのは魔法ではなく、呪いの様だ。

勇者のあまりな待遇に頭にきた私とミサキは、スキル壁抜けを使い一直線に王様が居る王室に向かった。

そこには、オーロカ王様、ムーノお妃様、王女の服に着替えた神官長ファーナ、クロハラ大臣の4人が話をしていた。

王様が「前回の勇者召喚では急ぎ過ぎたのぉ、急いては事を仕損じるとはこのことだわい。

まさか、ラミアの子を人質にして魔族同士を戦わせようとしたのに、反撃でここに攻めてくるとはな。

しかし、ラミアの子には奴隷の首輪は取り付けて在るんだろう。」

クロハラ大臣が「ハイ、地下のダンジョンに親ともども封印の結界内におります。

勇者達でさえ勝てない程あんなに強いとは想定外でした。

ラミアの強さは魔族ではあれでも中堅クラスのようなのです。礼拝所に作られた結界によって、あれからの魔族の襲撃は無くなりましたが、王城近くにはたまに、低級の魔族を見掛けるようです。見張られているのでしょう。」

王様が「その魔族を倒させようと勇者のカズマにいうがダンジョンの仲間を助けてからだと言って聞かぬから、奴隷の首輪を付けたのに更に反抗的になり、奴隷の首輪からの命令違反の電撃を受けても言う事を聞かぬから地下の牢獄に監禁してある。」

クロハラ大臣が「地下からのラミア等を倒したとは連絡が来ないので、皆死んでいるでしょう。」

王様が「今度の勇者の召喚で来た4人を使って他国を侵略して大国家にした後、魔族の領土も我が国のものにしようぞ。」

王女のファーナが「今回召喚した4人の勇者は洗脳魔法と考えることをさせないための意識混濁魔法を掛けてあります。」

クロハラ大臣が「魔法が解ける心配は無いのですか。」

王女のファーナが「簡単に解ける魔法ではありませんし、寝る前に礼拝堂にて、重ね掛を行いますので、問題はないです。」

王様が「魔法が解けたならば奴隷の首輪を掛ければ良い。もし謀反を起こすならば地下の勇者に成敗させれば良い。」

コイツラは鬼畜ばかりだ。私はそこまで聞いて完全に頭にきているが、まだ人を殺す事は出来ないし、ためらいがあり怖い為、鬼のような形相のミサキの手を取り、1度部屋を出る。

この国の謀略、侵略を止めなければ、それに利用使用としている4人の勇者と地下の勇者を何とか助けることができないかと考えて、ミサキに相談をすると、

「優先すべきは先ずは戦争を止めることです」と言うのだった。それには私も賛成なので止めさせる方法を話し合う。

それにより、ミサキから提案をする。

「主様のアイテムボックスは、無限収納、時間停止なのですから戦争出来る財力や武器、防具、食料を全部ホコリすら残さずに収納しましょう。それらを取り除けばいいんです。」

「それは良い考えです」と納得し実行に移すことにする。

深夜、皆が寝静まった頃、ミサキの指示で宝物庫へ行く、入口には兵士が2人寝ずの番をしているが、横から壁抜けで入っていく。

中は宝箱が多数あり、箱は縦0.5m位に横1m位高さ0.5m位のがほとんどで、中を見るとぎっしり詰まった聖光白金貨=魔法処理された金貨で1枚で1億円の価値がある箱が2箱、白金貨=魔法処理された金貨で1枚で1千万円の価値のある箱が5箱、大金貨=1枚百万円の価値がある箱が5箱、金貨=1枚10万円の価値がある箱が9箱、小金貨=1枚1万円の価値のある箱が5箱、銀貨=1枚千円の価値のある箱が5箱、各種宝石が詰まった箱が3箱、を全部アイテムボックスに入れて行き、それら以外にも宝飾品、装飾品等も全てホコリさえ残さずにアイテムボックスに入れていく、幸いなことに音が一切鳴ることはなく、静かなものである。

次の宝物庫へ行く、中は国宝級の武器や防具、魔法が掛けられた武器、防具、宝飾品、装飾品、魔道具、魔法のアイテム等、全てアイテムボックスに入れていく。

次に王様達の部屋へ行き、白魔法のスリープを掛けて更に眠りを深くして、グッスリ寝ている人以外を下着姿で残してホコリさえ残さずアイテムボックスに収納した。

次にクロハラ大臣の部屋へ行くと、大臣はお出かけで居ないので、全てをアイテムボックスに入れて行くとベットを収納したあとに隠し部屋があり、中に入ると怪しげな祭壇やら魔法道具、財宝も貯めていたので一切残さずに全部アイテムボックスに入れていく。

次に、外にある食糧庫まで飛んでいく、食糧庫の全ての棟を周り気付かれる事なくアイテムボックスに入れていく。

触れながら収納と思うだけで“パッ”と消えてアイテムボックスに入るのだから簡単である。運搬用の馬車も馬無しで全部アイテムボックスに入れる。

次に武器庫へ向かい、全ての訓練用を始め戦争用の武器、防具類をアイテムボックスに入れ終わった頃、大臣が帰ってきたらしく、騒ぎ始めているが自分は見えていない為、慌てず次へ向かう。

魔道具研究所、薬品庫ではMP、HPポーションやキュアポーションを含め収納袋20袋等などや魔物の素材更には研究開発に使用する工具、器具、薬品も含めて片っ端からホコリさえ残さず収納する。

図書館では立ち入り禁止区域や閲覧禁止書物も全て収納する。

明け方近くになっており、食堂から料理の良い匂いが漂って来た。すると兵士がやって来て「全員今すぐに外に出て集まれ、中に残ることは許さん」そう言われて、皆渋々食堂から出ていく。

外に追い出された食堂は人気がなく、テーブルの上に用意された4000人分程の食事と鍋に入ったスープやパン等が出来ており、後は皿に盛るだけになっているので、食物と鍋ごと5種類のスープ、パン、肉、サラダ、魚、果物等を机やイスまでも全部アイテムボックスに入れていく。

キッチンに行き、作り立ての料理やスープ、王様達様に作られたであろう豪華な食事や酒等と料理用具、皿、スープーン、フォーク、調理具、調味料全てアイテムボックスに入れ終わった頃食堂の人達が帰ってきて騒ぎ始める。

次に礼拝堂に行き、奥に鎮座してある5つの結界宝石が取り付けられた魔法の石碑と封印の魔法陣が書かれた台座も丸ごとアイテムボックスに入れて行き、“ブォン”と何かが消える感覚が起こる。

人が入って来たので城の地下の食糧庫へ行き全ての食糧をアイテムボックスに入れてから外に出る。

お城中丸ごと大パニックになっており、罵声や怒号で色んな命令や指示が飛び交っていた。

”誰も外に出すな、門を閉め切れ“その声を聞きながらお城の門に向かうと、30人近くの騎士が殺気立って列をなして立っている。

アリンコ一匹だって通す気は無いらしく、キッチリ隙間なく列を作り並んでいる。

最後に駆り出されて一人の兵士さえ居ない兵舎へ行き、ベットすら残さずに全てアイテムボックスへ入れて行く。

門の横の壁へ行き、壁抜けで城の外に出る。

夜が明け始めてきたらしく、空が明るくなってきていた。

街の方へ歩いていくと、酷い有り様で浮浪者だろうかアッチコッチの道端で寝ている。

街中も荒れていて、ゴミが溢れて悪臭が漂っている。皆ボロボロの服に痩せこけ虚ろな目をしている。人生に失望と絶望をしているかのようだ。

暗がりには、浮遊霊や地縛霊、自分が死んでいるとは気付いていない霊、悪霊までいて、生きた人に悪さをしている。

その中の一人が「助けて下さい」と言ってきたので、死霊術の死霊昇華を使い天国へと送った所、それを見ていた他の霊も集まって来て

「お願いします私も助けて下さい」と引っ切り無しにやって来るので死霊昇華をしていると、LVが上がり、死霊昇華が範囲で使えるようになりまとめて50人程を一辺に昇華したのだった。

皆天国へ行く際は「ありがとうございます」と引っ切り無しに感謝の言葉を述べるのだった。そんな中、死霊昇華の範囲魔法で天国へ行けない幽霊もいる。天国から拒否されているようだ。

生前悪さをしたのだろう。しようがないので、白魔法のディスペルで浄化する。

それでも、「ありがとう」と礼を言ってくる。

その内に悪霊が集団でやって来て因縁を付ける。こういう輩には一切手加減はしない。

死霊術、死霊浄化や消滅にて魂ごと地獄へ送ったり消滅したのだった。

助けを求める霊達を救った後、小川沿いを歩いて橋の下を通っていたら、人の声がする。

そちらを見ると、布に包まった2人の獣人の子供が抱き合って寝ていた。2人共金髪でフサフサの獣耳が見える。

小さな女の子が「お兄ちゃん、お腹が空いたね」と今にも死んでしまうのではないかと思われる程のか細い、震えた声で言っている。

痩せこけ、目も虚ろでつい、神眼の鑑定を使って見てしまう。女の子を観ると

セリア(女)4才 獣人(妖狐九尾族) 職業=無職 状態=餓死寸前 LV0 HP=1/20 MP=10/10 精神P=20/20 力=7 魔力=5 精神力=10 敏捷=12 知力=5 防御力=5 運=3

スキル=逃げ足、遠吠え、気配察知、噛みつき、引っ掻き、夜目

固有スキル=獣術、幻術

エクストラスキル=獣変化

とあり、兄の方を鑑定すると

ランド(男)10才 獣人(金狼族) 職業=無職 状態=餓死 LV2 HP=0/30  MP=0/15 精神P=0/50 力=12 魔力=3 精神力=12 敏捷=18 知力=7 防御力=15 運=1

スキル=逃げ足、遠吠え、気配察知、夜目、

 臭い感知、威嚇、聞き耳、体術LV1

固有スキル=獣術、鑑定妨害、ステータス操作

エクストラスキル=獣変化

とあり、既に餓死して死んでいた。

種族が違う為、本当の兄妹では無いのだろう。

2人共獣耳と尻尾はあるがそれ以外は人と一緒だった。

女のコのセリアは震えながら、虚ろな目をしている。今日一日持たないであろう。今にも死んでしまいそうだ。

この子を見ていると、妹夫婦の子供の女の子セリア5才にそっくりで名前も一緒だ。幼い頃の自分と妹が重なって来る。

自分が10才、妹が4才の頃、両親が交通事故でなくなり、親戚中を厄介者扱いされながら、食事も余り与えられず、2人して何時もヒモジイ想いをしていた。2人して何時も食べ物を分け合い、協力しあって、助け合って生きて来た。

寒い日は抱き合って寝ていた。中学3年生の頃、父の妹の幸恵オバサンに引き取られ、やっとまともな暮らしができた。自分が高校を卒業して働き始めた頃、幸恵オバサンが結婚したため、アパートを借り、妹を引き取って暮した。

妹が仕事に付くか、結婚するまでは、たった一人の家族を守るんだと頑張ったものだった。

それを思い出したら、この幼子のセリアを何とかして助けてあげたい。どうにか出来ないだろうか。

多分この子はもうすぐ死んでしまうだろうと考えたら、居ても立っても居られない。

自分の固有スキルの死霊術に憑依があるので、死んでいるランドに入れないかと身体を重ねてみると、入る事が出来た。

直ぐにアイテムボックスから皿に入れた温かいスープを出す。

何も入っていない胃に食べ物を入れると受け付けない可能性があるためだ。

セリアの眼の前に置くと、鼻をクンクンさせ閉じていた目をパッと開けスープをマジマジと見つめて、皿を取り一気に飲み干したのであった。飲んだあと“ハッ”と自分を見て

「ゴメンナサイ、ゴメンナサイ」と泣きながら謝るが

「もっとあるよ」ほらとアイテムボックスから皿にスープを入れ直し、パンと肉も出し「お食べ」と言うと、

「お兄ちゃん魔法使えるの」と聞くので、

「神様からもらった」と言うと

「お兄ちゃんすご~い、すご~い」と嬉しそうだ。パンにかぶり付き、思い出したように口を離して、パンを半分にして

「はい、お兄ちゃんの分」と言って渡してくる。セリアから受け取ってはみたものの、死んだこの体では食べられるかどうか分からないが、セリアが食べずに見ている為、私が食べるのを待っているんだなと思い、無理して口に入れて、スープで無理やり流し込んで飲み込み

「美味しいね」と言うと「うん」と、満面の笑みを浮かべてフワフワの尻尾をパタパタと振り、食べ始める。自分も一緒に食べて空になった皿をセリアが、「洗ってくるね」と皿を川の所へ持って行き、”ジャブジャブ“と洗っているときだった。

”ドクンドクン“とランドの心臓が動き出す。

死霊術の蘇りが発動したのだろう。

それと同時にランドは身体中を怪我していた。

その為、怪我の痛みがダイレクトに自分に伝わって来る。

手足、ろっ骨の骨は折れており、頭も打撲の跡が2ヶ所有り、体中に殴られたあとがあった。

餓死で死ぬ前にそれで死んだのではと思うほどの猛烈な激痛であった。

魔法倉庫を放出にして、直ぐにヒールを身体に掛ける。痛むところに3回掛けると痛みは無くなった。

どうも、生き返ったらしかった。

この体のランド少年の魂を探すが何処にも見つからない。気配すら感じられない。多分ランド少年の魂は天国へと旅立ったのだろう。

助けたセリアを最後まで責任を持って面倒見ることにする。

さて、どうすればセリアにとって最善の方法かを考える。

ただ、金や物、食べ物を与えることはできるが自立させねば、一生離れられなくなる為、手に技術を身に付けさせて、食べて行けるようにする。それに、今はお城から戦争を止めさせる為に回収した物を使うつもりはなかった。

それに手を出すと脚が出て捕まる可能性があるからだ。

そこで思い出した。私の従属の冒険者から、冒険者の話を色々聞いていた。

この異世界には誰でもなれる冒険者という職業があり、犯罪者でなければ、人種や種族、過去を問わず誰でもなれる。しかも、国から完全に独立した機関である。

セリアが食べていける程の立派な冒険者か、セリアが結婚しセリアを守ってくれる旦那さんが現れるまでは面倒を見ると決めた。

それに、実体のある体というのは自分にも都合が良かった。

冒険者ギルドに行きながら、普通の獣人や一般人や普通の冒険者とすれ違うたび、鑑定でステータスの確認をしていた。

後で知ったのだが、魔法が使える人族は精神Pと精神力がなく、獣人は魔法が苦手らしく、その為に、精神Pと精神力を持っているらしい。

自分とランドのステータスが足されてタダでさえ勇者のステータスが高いのに更に高くなっていて、今のステータスは

ランド(男)10才 獣人(金狼族) 職業=無職 状態=良 LV2 HP=90/90 MP=10205/10205 精神P=530/530 力=45 魔力=393 精神力=372 敏捷=39 知力=112 防御力=26 運=71

スキル=逃げ足、遠吠え、気配察知、夜目、臭い感知、威嚇、聞き耳、体術LV1、剣術LV1、盾術LV1、槍術LV1、弓術LV1、投錨術LV1、幽体離脱、回復、念力、言語理解、(白、光、聖神、時空、黒、付与)魔法、身体強化魔法、アイテムボックス(収納無限、時間停止)、呪詛魔法無効、即死魔法無効、精神魔法無効、物理攻撃無効、光魔法耐性、黒魔法耐性、恐怖耐性、毒耐性、物理攻撃耐性

固有スキル=神眼(鑑定、神光、能力封印)、       死霊術(憑依、支配、ネクロマンサー····)、獣術、鑑定妨害、ステータス操作

エクストラスキル=魔法倉庫、不死、獣変化

となっていた。さすがに、見られたら不味いものが多数有る。

幽体離脱時の能力は一部、使えないようだ。

一般人のステータスを真似て、ランドの固有スキルの鑑定妨害•操作を使って次のようにした。

ランド(男)10才 獣人(オオカミ族) 職業=無職 状態=良 LV2 HP=90/90 MP=20/20 精神P=50/50 力=18 魔力=12 精神力=12 敏捷=18 知力=9 防御力=15 運=12

スキル=逃げ足、遠吠え、気配察知、夜目、臭い感知、威嚇、聞き耳、体術LV1、剣術LV1、盾術LV1、槍術LV1、弓術LV1、投錨術LV1、(白、黒)魔法、身体強化魔法、

と言うふうにランドのステータス操作を行い、一般の獣人は固有スキルやエクストラスキルを持っていなかったので、見えなくしたが実際には有るのでいつでも使えるのである。

セリアにも使えないかやってみたら使えた為、ステータス操作で次のようにした

セリア(女)4才 獣人(キツネ族) 職業=無職 状態=良 LV0 HP=20/20 MP=10/10 精神P=20/20 力=7 魔力=5 精神力=10 敏捷=12 知力=5 防御力=5 運=3

スキル=逃げ足、遠吠え、気配察知、噛みつき、引っ掻き、夜目

と当たり障り内ステータスに書き換えたのであった。

私の様に鑑定スキルや鑑定の魔法道具を持っている人がいるかも知れないからである。

この異世界では、魔物を倒すと魔素というのが体内に入り、LVupすることが出来るらしいのでLV2のランドは、魔物を倒したことがあるのだろう。

但し、人を倒しても魔素をほとんど持ってない為、LVupは難しいらしい。

準備が終わり、王都の街の中心にある冒険者ギルドに来た。

3F建てのレンガ造りの立派な建物で横の長さが200mはあるだろう。

中に入ると正面に受付があり、右側に依頼が貼られた紙がたくさん貼ってある看板があり、左側に酒場兼食堂になっており、朝から酒を飲み酔っ払っている者も何名か居り、賑わっている。

正面の受付は5つあり、全員キレイな女性ばかりであるが、真ん中だけ空いていて、他は5人以上並んでいる。

左の女性から、ドワーフ、人族、人族、エルフ、獣人の受付の女性がいて、種族ごとに並んでいる様に見えるが、早めに登録をしたいので一番空いている真ん中へ行き、

「冒険者登録をお願いします」と言うと受付の女性がチラリと見て”チッ“と舌打ちし、ギロリとにらみ、私を上から下まで値踏みするかのように見て

「冒険者登録には1人、2銀貨必要なのよ払えるの」と冷たく言い放つ、美人だが愛想のない冷たい印象を受ける。

服の中から出すように見せて、アイテムボックスから4銀貨を出し払うとその受付の女性はまた”チッ“と舌打ちし、紙とペンを出し「名前」と気だるそうに聞いてくるので「自分で書けます」そう言って紙とペンと受け取り自分で書く。

①名前=ランド ②年と性別=10才男  ③種族=獣人 ④住居•又は住んでいる場所=スラム街橋の下 ⑤犯罪歴=無し ⑥主なスキル=気配察知、体術、剣術、盾術、弓術、(白、黒)魔法と書き、セリアの分も書いて、受付の女性に渡すと2枚のプレートと針を渡して、血を一滴づつ持つ人のプレートに垂らすように言い、自分とセリアは指示に従う。セリアが嫌がるかと思われたが、恐る恐る私に右手を出して、歯を食いしばり目にイッパイ涙を溜めながら顔をクシャクシャにしながら耐えたのであった。

セリアの頭を撫で「良く頑張った」と言うと「うん、エヘヘへへ」と笑う。

受付の女性が魔法の水晶をカウンターに置き、「血を垂らしたプレートを魔法の水晶の下に置き、持ち主が魔法の水晶に触れる様に」と言う。

見れば水晶は、5cm程浮いているので、先ずはセリアから先にやらせるとスキル以外が水晶に表示され、無職が冒険者(仮)Hとなっている。

次に自分がやるのだがランドのスキル聞き耳が雑踏に紛れた酒場奥の声を拾う。

「どうすんだよ、頭から早く獣人の子供を後2人用意しろと急かされてんだぞ!」

「仕方無いだろ、条件にあったガキが居ねえんだからよー」

「いや、見ろ合図だ。今受付をしているガキは親無し、宿無しの様だ。」

「カモがネギしょってやぁて来たてか、グフフフフ」

受付の女性を見ると、酒場奥で飲んで噂をしている冒険者の3人に目とアゴで合図を出していた。人さらいのグルであろう。

受付の女性が冒険者プレートを渡しながら注意事項を面倒臭そうに読み上げる

「プレートは無くしたら再発行に銀貨10枚必要になるので、無くさないように。この冒険者プレートは身分証代わりとなるため、入出門代は免除されます。他国への移動に使えます。

冒険者ランクはS~Hまでの9ランクあり12才以下は仮冒険者と見なし12才になるまでは、仮冒険者となります。12才の本登録の際経験値などが考慮され、Fまでの登録が認められますが、仮H冒険者は1つ上のGまでしか依頼を受けることができませんが、パーティを組んだ場合は、高ランク者のランクで依頼を受ける事が出来ます。

街中での抜刀や攻撃魔法は固く禁じられています。違法行為を行うと冒険者ギルドから登録プレートの没収、除名となります。

基本ギルドは冒険者同士の喧嘩やイザコザには冒険者ギルドは一切関与しません•••••」話を聞いている時だった。

セリアが震えながら自分にしがみつきながら、後ろを気にしている。

酒場奥の話を聞いたかなと思っていたが違った。

セリアは後ろの出入り口を見ていた。

何だろうと見ると獣人の4人組がいて、自分とセリアを見て、ニヤニヤ、ニタニタ、ヘラヘラ、クックックッと嫌らしく笑って見ている。

鑑定で軽く見てみると

キャン(男)21才 獣人(ハイエナ族) 職業=冒険者ランクF LV10

ワオ(男)19才 獣人(ハイエナ族)  職業=冒険者ランクF LV9

ガオ(男)17才 獣人(ハイエナ族)  職業=冒険者ランクG LV8

ワフ(男)15才 獣人(ハイエナ族)  職業=冒険者ランクG LV6

とあり、どうも種族が同じハイエナ族となっているので兄弟で冒険者をやっているのだろう。LVでは負けているが、コイツラはステータスが低くスキルも大した事がなく1対1では確実に勝てる自信がある。

コイツラを見た瞬間腹の底から、殺気のような怒りが込み上げてくる。

ランドの残留思念がそうさせているのかなと思う。

そう言えばランドに憑依してから、自分の言葉と行動と考え方が荒っぽく成ったように思う。

セリアがこれ程怯えるとはもしかして、ランドの怪我はコイツラの仕業だなと分かる。

もしかして、セリアをかばってやられたかなと思う。

冒険者ギルドの登録の手続きを済ませ酒場奥を見ると3人が消えていた。

冒険者ギルドを出ようとすると、ハイエナ獣人が「チョット、ツラ貸せや」と言う。

受付の女性を見ると、無視しているので

「コイツラをやっつけた場合、犯罪になるのか?」と聞くと

「自己防衛の場合や戦争参加の場合は魔法の水晶には出ませんが、ギルド内のトラブルは除名の対象になります。」

「なら、外でなら問題無いな」と確認してからギルドの外に出るが、その4人に

「ツラは貸すが、身ぐるみを全部もらうからな」と言うと

「ガハハハ、勝つ気でいやがる。好きにしな、今度はこちらも手加減はなしだ。死んでも文句言うなよ。」

ハイエナ族の4人が後を付けてくる。

こういう輩は早めに退治したいので、路地裏に自分から入って行き

「どんな用事だ、事と次第に寄っちゃ俺も本気を出すからな。」

「アア~ン、言うなこの野郎、おめぇー殺すぞ、こらー、オメェ金を隠していたな、一昨日死ぬ程痛め付けて、有り金全部取ったつもりだったのに4銀貨も隠してやがったな。

冒険者ギルドに登録するカネをょ、まだ持っているんだろ。

金、全部出せや、あんだけ痛めつけてもまだ分からねぇらしいな、お前らは俺らに稼いだ金を全部貢ぐんだよ。

ここいらは、俺の縄張りなんだよ。それを身体に叩き込むしか無さそうだな。」

そう言うとソイツの仲間が自分とセリアを取り囲む。こういう奴等には力の差を見せ付けて、徹底的にやり返さないと2度3度としつこくまとわり付くのが分かるため、2度と手を出してこないようにコテンパンにやっつける事とする。

しかし、自分は武器らしい物は何も持っていない、魔法も攻撃魔法は街中では禁止なので念の為、身体強化魔法をセリアと自分に掛けてから様子を見ると、後ろのやつはセリアを人質に取るツモリのようだ。

なので後ろのやつをランドのスキルの体術の蹴りで腹と顎を蹴り上げるとバタンと気絶した。

「くそう、あんなに怪我させたのに、何だってこんなに動けるんだ、動きが速すぎるだろ仕方ねぇ、なめられてたまるか」

そう言いながら剣を抜き構える。勝てるとは思うがセリアに怪我をさせたくない。

ならばと、念力で左右に居る奴らを前に固める。

「ウオオオオ何だ何だ」とビックリしている。そのまま念力でやっつけたいが、念力は、魔族を殺せる程に強烈で制御が難しい、人を殺すのにはタメライがあるので、前に3人を固めてから、最近覚えた時空魔法の転移を魔法倉庫に貯めているので、それを使い5m上空へと3人をまとめて、転移させると3人はイキナリ足場の地面が消えて空中に居るものだからパニックになり、手足をバタバタ暴れながら「ギャギャー」とワメキながら、うるさく落ちて来る。

”ドスン、バキ“ ”ゴン、ボキ“ ”ガン、バキバキ“と大きな音を出しながら落ち、打ち所が悪かったようで、アチコチ骨を折った様だ

「くそう、テメェ何をしやがった。今のは魔法か?杖は?呪文は?いつ使った?」と歯をむき出して怒り、反省の言葉が聞けなかったので

「貴方達に教える義理はない、もう一度!」

再度空中へ転移させると

「ギヤァー、」とワメキ、パニックになりながら、手足と身体をバタつかせ、クネクネしながら”ドオン、ゴォキ” “ズン、バキ“ ”ドスン、ボキ“と更に骨を折った音がし、のた打ち回っている。

「お金と身ぐるみ全部置いていくか、それとももう一度上空から落ちるか選んで下さい」と言うと、渋々お金と身ぐるみを脱いで行こうとするが、武器と防具を持っていこうとするので

「全部と言ったはずですよ、武器と防具も全部置いていきなさい。それと、その指輪もですよ」すると指輪をしている奴が、

「コレは、親父の形見なんだ。勘弁してくれ」と言うが、指輪を鑑定すると”力5%upの指輪“とあり、マジックアイテムのようだ。親父の形見と言っているが怪しい。

どうせ、誰かから盗んだか、脅して取ったかした物だろう。なので、容赦はしない。

「指輪を置いていくか、もう1度宙を舞うか決めてください。」と言うと渋々指輪も置いて、パンツ一丁になり帰っていく。さすがにパンツは金にもならないため、許してやる。壁の角のところへ行った所で

「てめぇら、覚えてやがれ」と定番の捨てゼリフを吐くので、もう1度上空に転移したら

「嘘だろーギャァァァ」と叫び壁の後ろに落ちたのだった。

手に入れたのは鉄剣3本、ショートソード1本、弓矢1式(ショートボウ)、ナイフ3本、小盾2個、レッグガード1個、胸当て4つ、力の指輪1個、古着4つの上下、リュックサック2つ、肩掛けバック2つ、靴4足、布製の財布、中にはお金が小金貨4枚、銀貨12枚、鉄貨15枚(1枚=100円)、銅貨9枚(1枚=10円)、銭貨7枚(1枚=1円)入っていて、リュックサックには、キャンプテントやキャンプ用品の鍋等が入っていて、肩掛けバックには、採れたての各種依頼の薬草や魔物のゴブリンの討伐証明の右耳が15個と魔石6個が入っていた。他には食料の黒い硬いパンや乾物の肉、水筒が2つが入っていた。

丁度、冒険者の装備をどうしょうかと思っていたので今回のやつのを、装備して残りは売り払うこととする。

自分の装備は、鉄剣とナイフ1本、小盾、レッグガード、胸当て、肩掛けバック、力の指輪、靴、布のサイフを装備し、

セリアには、ショートソード、ナイフ、胸当て、リュックサック、弓矢1式(ショートボウ)、靴を装備して、残りは売り払う事とする。

先ずは、冒険者ギルドへ戻り、ハイエナ兄弟が依頼を受けたであろう持ち物を受付へ持って行くが受付が空いていたのでどっちへ行こうか迷っていたら、右端のウサギの女性の獣人が手でチョイチョイと笑顔で招くのでそこへ行く。

「依頼完了の手続きをしたいんだが」そう言って肩掛けバックに入っている薬草やゴブリンの右耳、魔石を置くと

「ハイ、こちらで承ります。強いんですね、皆あのハイエナ兄弟には困ってたんです。

強いものには媚を売り、弱いものには徹底的に痛めつけるのでギルドも制裁をするところだったんです。

では精算ですが薬草の束が10束=2銀貨、毒消し草が10束=2銀貨、ゴブリンの討伐証明が15匹分=小金貨1枚と5銀貨、魔石極小色無し6個=6銀貨になりますので合計=小金貨2枚と銀貨5枚になります。」そう言って渡して、

「何か困ったことがあれば私に行ってくださいね。暗黙のルールで、人族は人族が担当し、ドワーフはドワーフが担当し、獣人は獣人が担当することになってます。

このルールを知らないと嫌な思いをしてしまうので、注意したほうがいいですよ。

私の名前はミミーと言います。」

ピンクの長いウサギ特有の長いミミ、美人で話しやすいし、愛嬌があって可愛いし、胸も大きく前のボタンがはち切れそうだ。

お金も入ったし、先程の酒場奥の人さらいの話の相手が自分等かも知れないので、対策として安い宿屋を借りることにする。

「安くて安心な宿屋を知らないか」

「それでしたら、ギルドが紹介している1人2銀貨、朝晩の食事付きはどうでしょう」

「それを教えてくれ、」

「ハイ、ギルドを出て右へ進み、スラム街の手前に”朝日亭“というのが右手に見えて来ます。そこは、食事も美味しくボリュームもあり、お勧めです。

人気があるので早めに部屋をキープしたほうがいいです。」

「有り難う、そこへ行ってみるよ」

ギルドを出て、右へ進んでいるとずっと後ろから付けている気配がする。ランドのスキルの気配察知が捕らえる。

聞き耳を立てると「おかしいな~、宿無しで橋の下で寝ているはずなんだか、どこへ行くんだ」

どうするかと、考えたが逆に早くそいつ等を洗い出して、こちらから乗り込み、奇襲をかけやっつける事にした。

気付いていないフリをして朝日亭に入り、取り敢えず10日間の契約をした。

家族3人で経営をしていて旦那さんは元冒険者ランクDまでいったクマの獣人だった。

気さくな人で、奥さんと18才の娘さんは明るく笑顔が耐えない人だった。

取り敢えず部屋へ入り、窓から隠れて外を除くと、角に隠れている酒場奥に居た3人がいた。

セリアに疲れたからしばらく寝るから昼ごはんの時間になったら起こしてくれと言ってベットに横になると、セリアも隣で寝るのだった。

幽体離脱をして、下の3人の所へ行くと、1人を残して、報告へ向うようなので付いて行くとスラム街にある古びた酒場に入って行く。カウンターの床が開くようになっており、地下へ降りていくので、付いて行く。

中はガラの悪い奴が7人居て、酒を飲みながら博打にハマっていた。

奥のソファにはボスであろう態度のでかいやつが2人居て、1番偉そうな奴は酒で酔っ払い、潰れてイビキをかき寝ている。

その横のソファに次に偉そうな奴が居て、そいつのところに2人は報告に行く。

「めぼしい獣人の子供を2人見つけたんですが、安宿の朝日亭に入って行きやした。」

「チッ、そこは獣人の元冒険者がやっているんだったな、今は不味いからその子供の獣人が外に出てくるまで手を出すな」

その両隣に女が2人居り、その内の1人は、俺等を登録したギルドの受け付けの女で、抱きついて媚を売っていた。

「ネェ、副親分アタシのお陰で誘拐が成功しているんでしょ。ご褒美を頂戴、お願い。今夜はア・タ・シにして」

「フッフッフッ、誘拐された子供がどうなるか、知らないわけあるまい。

奴隷や実験材料になって、過酷な生活か、死ぬ程の痛い思いをしながら死んでいくんだぜ。」

「獣人は嫌い、獣臭いし魔法が使えない馬鹿ばっかりだし、皆死んだほうがいいのよ。」

そこへ、身体中膿の吹き出物の病気を患っている獣人の子供を無理やり連れてきたやつがやって来て

「親分、コイツは売れるかな」

「バカヤロウ、そんなものを奴隷にしたがる奴がいるか。

実験体にしろ健康な奴しか買わねぇよ。殺して捨てて来い。」

「ねぇ、アタシに殺らせて、1度獣人をなぶり殺しにしてみたかったの」

「構わねぇが、そうだな隣りにいる誘拐した奴らになぶり殺しを見せて、言う事を効かせることにしよう。そこに連れていき他の獣人に見せつけて来い」

「分かったわ。」そう言って、嬉しそうに病気の獣人の子を髪をツカミ、引きずる様にして泣いて嫌がるのを無視して隣の部屋へ連れて行く。

不味い本当に殺す気だ、こいつ等みんな外道の極悪人ばかりだ。

こんな奴等に遠慮はいらないナ。

1番強そうなやつは鑑定で見ても、酔い潰れて意識のない親分のようなので身体を重ねて憑依し身体を乗っ取る。

先にするべきことは、誘拐された子供と今連れて行かれた病気の獣人の救出を優先させるべく、隣の部屋へ行きギルドの受付の女が病気の獣人を殴る手を掴み、お腹にきついパンチを打つと”グフッ“と言って倒れる。

獣人の子供が泣き叫び、震えているのを

「今から、外に出して上げるから急いでお家へお帰り、いいね」そう言ってから、病気の獣人の子供に白魔法のヒールと解毒のキュアヒールを掛けると吹き出物が消え、怪我や傷が消え健康体にしてから、全員を外まで時空魔法の転送で一旦外へ出す。

それから先程の部屋へ戻ろうとすると、副親分が剣で切りかかってきた。

「ガビン親分、誘拐した子供を何処に隠したんです。親分でも許さねぇぜ」そう言いながら、剣技高速剣を使うのでこちらもガビン親分の持つ剣技高速剣で対抗する。

”ガキン、ガガガガキン、キンキンガキン“ほぼ同じ強さだが、パワーと経験がこちらが勝っているので、後ろに弾き返し、更に剣技抜刀飛斬剣を使うと”シュッパーン“と、見えない真空の刃が飛び副親分を真っ二つに切り裂くのだった。

それを見た人さらい共は俺に聞く

「いったい何が起こったんです?何で仲間同士が殺し合ってるんです。親分、教えてください。」それを無視して魔法を詠唱する。

「親分、その魔法は不味いです、あんた何を考えているんだ。止めてくれ。」

無視して、乗っ取ってる親分の炎魔法炎海地獄を放つと同時に部下の何人かが、詠唱で無防備になっている親分の腹に2人が剣を突き立てる。

「クッソー、死ねや」

腹に激痛が走るが、自分の周囲が瞬く間に炎の海となり地下にいるすべての人や物が炎に包まれ倒れて叫び声を上げる。

親分は炎耐性を持っているのだろう。我慢できない熱さじゃない。

その時、私が憑依している親分も腹の激痛と炎の熱さで気が付いた為、私が親分の中から追い出され、壁抜けで外へ行くとその建物も燃えている。

子供達は大丈夫かと探すと、泣き叫ぶ子供を、親と兵隊が集まって来て、保護していたので”ホッ“としていたら、

身体が揺さぶられる何だろうと思っていると後ろに引っ張られる感覚が起こり、ランドの身体に戻る。

セリアが「ウワ~ン、お兄ちゃん死なないで、お兄ちゃんエッグ、エッグ、ウッグ」と抱きつきながら泣いていた。

「大丈夫、生きているよ」とセリアの頭を撫でながら、安心させ何があったか聞くとランドの身体が冷たくなって、いくら呼んでも何にも反応が無かったらしい。息もしていなかった様だ。

この死んだランドの身体を手にしたのが今朝なので、まだ身体が弱っていて生命力がたりないのだろうか?

暫くは幽体離脱はしないほうが良いだろう。暫くはランドの身体が馴染むまでは無理しないことにした。

ステータスを確認すると人さらいのガビン親分のスキルの剣技高速剣と抜刀飛斬剣と炎魔法炎海地獄と炎耐性がスキルに入っていた。

どうも憑依したとき使ったスキルや魔法は私に写るようだ。驚きである。

いろいろ試したいことが、ワンサカ頭の中を駆け巡るのであった。これから色んな事を私の身体に写してみようと思う。

今後の冒険者が楽しみである。

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