写るんです

やんばらぁ尾熱

第1話写るんです。幽体離脱を自由自在に扱えるようになって、アチコチ旅行をしていたら無理やり異世界召喚されたけど、皆私が見えてないじゃないですか?

私、憑依シタロウは独身の58歳定年間際の社畜生活、ブラック企業に永年勤めて毎日毎日朝は早くから夜は遅くまで牛馬のようにこき使われる日々。

休日も月に2度しかないのにタイムカードが無い為、サービス残業、最低賃金で働かされている。

真面目で身体が丈夫なのが取り柄だった為、病欠やサボりやズル休みは一度だってやったことがない。

他の社員は入ってきたらすぐ辞めてしまう。毎年春先に新入社員が入り、10人程にはいつもなるがすぐに辞めてしまい、毎年5名まで減るのが毎年の恒例行事のようになっている。

辞めた人のその仕事のシワ寄せは当然のように全部自分の所に来るのも毎年のことである。

会社で働く人は私以外は家族である。他の社員が辞めるとき「この会社は未来がないから一緒に辞めないか」と幾度も誘われたりもした。

高卒の出来のいい頭でもない自分は拾ってくれたこの会社で頑張るぞと最初は踏ん張ったものでした。

ある日会社の創業祭で休みの日に辞めた人と街中でばったり会い、その人はこれから求人を出しているハローワークに行くから一緒に行かないかと誘われ、何気なしに付いていくと色んな職種があり条件もかなり良く自分でも採用条件に当てはまるものが多数ある。

どうしようか考えながら求人を見ている自分を隠れて見ていた人がいるのを知らずにいた。

その人は社長の奥さんの副社長であった。

その日会社の家族が集まり、話し合いが行われ、憑依シタロウが会社を辞めたら物凄く困る。

シタロウまで辞めたら仕事のシワ寄せが自分たちに掛かるからシタロウは絶対に辞めさせるな。

休みや暇を与えたら憑依シタロウが転職してしまうため更に仕事を増やして転職出来ないようにしょうと話し合われたのだが待遇改善の話は一切出なかったとか。

次の日から更に仕事が増え休みも月に1日しか与えられず、仕事が19時から21時まで残業が増えたのに給料は上がらずアパートには疲れ果てて寝るだけに帰るのだった。

何故にすぐに会社を辞めなかったかというと、社長の娘さんは事務の仕事をしているのだが凄い美人でグラマーな人で”ボン・キュッ・ボン“というナイスバディで色気のある人で、自分に気がある素振りで「頑張っているシタロウさんを見るとドキドキします」とか言われたため、若い頃はメロメロになって夢中になり、仕事を頑張ったものだった。

気がついたら娘さんは他の男と結婚してしまい、しかもいきなりその人は常務になったのでした。

仕事もできない、分からない常務は仕事を全部自分に押し付けるのでした。

その頃には自分自身万年金欠、気弱な私は年も取り過ぎてやめるに辞めれなくなったいた。 

そんな中、5月の7日間あるゴールデンウィークを何とかやりくりをして1日の休みを取り休もうとしたら、社長と常務からお得意さんをゴルフ接待するからすぐに来てくれと呼び出され、あろうことか接待をしていた人が打ったゴルフボールが前に飛ばずに正面にいた私の額に当たり、気を失ってしまった。

気を失ったが私は倒れた私自身を見ていた。最初は死んで幽霊になったものと思っていたのだが違っていた。

病院へ一緒に行き、手当をした医者からは打撲による一時的なショックで気絶しているだけですと言われ、私がベットに寝かされているのを私自身が宙に浮き見ていたのだから。

医者にお礼を言うが、自分が見えてなく声も聞こえないようである。

しばらくはどうしたらいいのか分からずに私の体の近くにいてウロウロしていたのだが、若い頃両親が亡くなりただ一人の家族の妹夫婦が来て、妹が早まって「お兄ちゃん私を置いて死なないで私を一人にしないでー」と言って泣きながら抱きついてきたので“体に戻らねば”そう思うと”スー“と後に引っ張られるように私の体の中にはいることができた。

妹の頭を撫でながら「勝手に殺すなよ、生きているよ」と笑いあったのである。

入院は精密検査もあり、3日程したが入院中、妹夫婦は子供の女の子のセリア5歳児を連れてきていた。年を取ってからやっとできた子供なのでとても愛されていて、結婚をしていない自分もとても嬉しかった。

クリクリした眼と天然パーマの髪、愛らしい笑顔がカワイイ子が可愛い声で「オジちゃん、早く元気になってね」とニコニコしながら自分に甘えてくる姪っ子が可愛くて仕方なかった。

そんなことがあってから、寝ているときにたまに身体から私が抜け出すことがあり、その内自分の意志で身体から自由に抜け出すことができるようになったのである。

図書館で調べたところ【幽体離脱】ということがわかった。

最初は宙に浮き、壁抜けができ、暗闇でも昼間のように見ることが出来る程度であった。

その為物を触ったり、動かしたりする事が出来ず不便であったが物を動かしたいと思い念を込めて“動け、動け”と念じた所物が動くようになった。

ドアを閉めたり開けたり、カーテンを浮かせたりができたが力加減が難しく、一度ドアを開けようとしたところドアノブを回せていないのに開けた為、すごい勢いよくドアが開き、凄い音と共にドアが壊れてしまい隣の住人の苦情と大家さんから怒られ念を使うのを止め、手でものを触ったり掴んで持ち上げることが出来ないか訓練したところ、最初は手をすり抜けていたコップも手に意識を集中し、力を込めることで、物を掴み持ち上げることができるようになっていた。

その頃には幽体離脱で色んな所に飛んで行き、コンサートを見たり、観光名所巡りをしたり、温泉地巡りや有名神社詣をしたりして、人生を満喫していたのであった。

なんせ、交通代もかからず、入場代も払わずにタダで見れるのだから貧乏の自分にはとても有難かった。

空を飛ぶ速度も高速道路にて、カーレースをやっていた車と競走し300kmの速さの車に何と勝ったのである。

ズウーと遠くに空中遊泳した時に、翌日の仕事のことを思い出し“身体に戻らなければ”と思った時に、“スウー”と後ろに引っ張られるような感覚がしたと思ったら、身体に戻っていたのである。

身体が寝ているからか寝起きはいつも清々しく元気よく起きれたのである。

そんなある日、伊豆の有名な神社にお参りと観光に行こうと仕事が終わってから、空を飛びながら向かっていたら足元に光る魔法陣が5m位後ろにピタッと付いてくる。

「なんですかね~、コレは何で私をつけてくるんですかね~」

気味が悪い為、スピードを上げて振り抜こうとすると魔法陣もスピードを上げてついてくる。右へ行こうが左へ行こうが上に行こうが下に行こうがピタッとくっつきジリジリと近付いて来る。

そこへ伊豆の有名な神社が見えてきて、そこに非難すべく鳥居を潜り抜けた時に、魔法陣に追い付かれ、足が魔法陣に入ってしまい、「もうダメだ」と思った所、いつの間にか真っ白な空間に居て、

「ここは、何処でしょう。」

と思っていると目の前に光り輝く美しい女神様がいて

「私は聖光神ヒカリと呼ばれています。貴方は、異世界の神が召喚する為に、ロックオンしてしまいました。

何とか助けようと抵抗したのですが対応が遅れた為、間に合わずに手遅れでした。

貴方は日頃の行いも良いようですので、私の加護とスキルを与えますので異世界で生き延びて下さい。

それでは時間のようです。異世界の邪神や魔王を倒して来てください。」

そう言うのでお礼を言おうと

「ありがとうございます。エッ魔王を倒すんですか?」と言ってるそばから”ピッカー“と光ったかと思うと立派なお城の庭の広場にいた。

まるで中世のヨーロッパのように見える。聖光神ヒカリ様が別れ際に意味深なことを言っていたが聞かなったことにしょう。

私には荷が重すぎます。

訓練場だろうか?足元には消えかけている魔法陣が有り、周囲には1000人程の完全武装をした騎士が居り、全身鎧、フルフェイスの兜、盾を持ち剣を構えるもの槍を構えるものが武器をこちらに構えて、殺気を全員が放っている。

私の前には4人の学生服を着た男子2人と女子が2人居てフラフラゆらゆらしている。その4人のところへ行き声をかける

「ここは何処ですかね、あなた達も魔法陣で無理やり連れてこられたんですか?なんで私達ここに居るんですかね、怖いですよね、不気味ですよね」しかし4人は虚ろな表情をして反応がなく、黙ったまま立っている。まるで何者かに操られているかのようだ。

しまった。

そういえば今幽体離脱中だった。幽体離脱中は誰にも見えないし、自分の声も聞こえなかったんだった。

声は訓練すれば聞こえるようになると思うがやってない。

仕方ないので周りの状況を見てみる。

宙を浮き周囲を見ると明らかにおかしい。

異様な事に騎士の後ろには杖を持ち、黒いロープ姿の杖を持った大勢の魔法使いと思われる者達と白い神聖な服と錫杖を持った大勢の神官がおり、大半が倒れており、意識がある者も10名程いて四つん這いになり、朦朧としながら、ブツブツなにか呟きながらふらふらしている。

騎士の3倍は居るみたいだ。

空を見上げると月が3つあり、白い月、黄色い月、黒い月と明らかに地球とは違う。

ライトノベルの小説で読んだ異世界のようだ。

何気に騎士の偉そうな人の持つ剣が光り輝いている為。そこに行き高そうだなと見ると鏡のように自分の姿が映っているが、12歳ぐらいに若返っている。

「えっ、これもしかして私ですか。嬉しいですね」

その時“おおおー”とか“うわー”とか言う歓声が上がる。なんだろうとキョロキョロ周りを見ると皆が見つめる先には、訓練場に接するお城のバルコニーの一段高い所に立派な椅子に腰掛けるデップリ太った王様と王妃様が現れて、手を振るのであった。

高そうな光輝く剣を持つ偉そうな騎士が「どうぞ、こちらにいらしてください」と学生服の4人をバルコニーの王様のいる近くへと招くので自分も付いていく。

4人は黙ったまま付いて行くが、普通はこういう時は、1人でも”ここは何処だ、何で俺はここに居る。ふざけるな!、とっとと元の世界に帰せよ、“と騒ぐ人がいても良いんじゃないかと考えてしまう。

王様の居るところは金ピカの椅子、赤いフワフワの絨毯、赤い豪勢な壁掛けがほどこされている。

王様の前まで案内すると騎士は少し離れ私達の後ろにいる。

すると、偉そうな服の男が自分らの前に来て「私はこのラクトア国の大臣クロハラという。あちらに居られる方はオーロカ王様とムーノ妃様である。

これよりオーロカ王様より御言葉がある謹んで聴くように」

オーロカ王様が「よくぞ勇者様方、召喚に応じて頂き感謝する。

このラクトア国は魔族に侵略され困っている。助けてほしい。

魔族に対抗するため、協力せねばならないときに他国も戦争を仕掛けてきている。

そなた達5人で助け合ってラクトア国を救ってほしい。·····おや4人しか居らぬではないか」と左側にいる神官に目を向け、娘のファーナ姫をコッソリ呼ぶ。

神官たちを束ねるこの国のデップリ太ったオーロカ王の娘のファーナ神官長が王様の前に進み出て他人に聞こえないようにヒソヒソと小声で話す。

「5人分の召喚に手応えが合ったのですが何らかの手違いがあったようです。

今いる4人も凄い力を持ってますが、こちらに来る予定だったもう1人りは、更に物凄い力を感じたんですが残念です。

この4人は精神魔法、洗脳魔法が掛かっているため、全てこちらの言いなりです。」

オーロカ王様もヒソヒソ小声で言う。

「召喚勇者に奴隷の輪を今掛けるのは得策ではないからのう。

力を出し切ってもらうには、洗脳が一番じゃ1人足りないが仕方無い」

王様は納得したようで、こちらを見て

「神様のお力をお借りして召喚したので、何らかの特別な力や能力を持っているはずじゃ、ステータスオープンと唱え各々確認し、ステータスとスキルを教えて欲しい。

特にスキルはこちらでは分からない為、詳しく話してほしい。」

そう言うので私も「ステータスオープン」と唱えてみると目の前にテレビのようなウィンドウが出て色々書かれている。

(どうも、水晶の魔道具という物を使い、他人のステータスは分かるがスキルは見えないらしい)

憑依シタロウ(男) 12歳 称号=異世界勇者 職業=僧侶 状態=死者? 加護=聖光神ヒカリの加護  魔蛇神ニョロの加護    LV=0 HP=0/50  精神p=400/400 

MP=10000/10000  力=30 魔力=350  精神力=300 知力=100 敏捷=20 防御力=10  運=70

スキル=飛行、隠姿、壁抜け、闇目、回復、念力、言語理解、(白、光、聖神、時空、黒、付与)魔法、身体強化魔法、アイテムボックス(収納無限、時間停止)、呪詛魔法無効、即死魔法無効、精神魔法無効、物理攻撃無効、光魔法耐性、黒魔法耐性、恐怖耐性、毒耐性、物理攻撃耐性

固有スキル=神眼(鑑定、神光、能力封印)、 死霊術(憑依、支配、ネクロマンサー·······)

エクストラスキル=魔法倉庫、不死

とあり結構なチート能力である。

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