第43話 屋敷とは違うデケェ館
次の日、私達は集まっていた。
集合場所には既に檻鉄さんがおり、車の中には一緒にいた人も座っていた。
「よぉ」
「…これからどこに行くんだ?」
檻鉄さんは鬼円が挨拶を返さないと檻鉄さんはがっくりと肩を落とす。
気を取り直してと、呟いてから車のドアを開ける。
「まぁ、乗れや。俺のシマに行くぞ」
「シマ……」
その言葉に私は少しだけビクッとしつつ、車の中に入る。
鬼円が一番奥に、その真ん中に私が、そして私の隣に香蔵さんが座る。
すると、唐突に檻鉄さんが言った。
「お前らシートベルトはしておけよ」
「……シートベルト?」
「……え、常識だろ?」
「フリョーが常識を語るのってどうなの鬼円?」
「俺に聞くなや」
シートベルトという単語に反応したら、鬼円に飛び火した。ごめん鬼円。
香蔵さんはそっか〜とか言いつつシートベルトを締める。
そして、ゆっくりながらも発進した。
「俺らについては…聞いたよな?」
「まぁ、なんとなくは……」
そっか、とチュッパチャプスをガリッと噛む檻鉄さん。
…そこはタバコじゃないんだ……。
やっぱり話に聞いた通りに檻鉄さんは常識人と言うやつなのだろうか。
「花畑は強ぇ。だが、脅威的になるのは体じゃねぇ」
「……つまり?」
「あいつは
檻鉄さん曰く。
花畑という人は相手を確実に追い詰める策略を取ることがあるんだそう。
一回負けたのもそのせいだと理由付けしていた。
その言葉に鬼円はハッ、と鼻で笑った。
「なぁんだ、じゃあ正面突破すればいいわけだな」
「……お前ってもしかして脳筋か?」
「あぁん?」
「ほら、喧嘩しない喧嘩しない」
「若、落ち着いてくださいっす」
「「チッ」」
2人で舌打ちする。もしかして仲良い?
そんなことをしていると香蔵さんが口を開き話を切り出した。
「ところで、君はなにか能力持ってるの?」
「……能力?」
能力と聞いて首を傾げる檻鉄さん。
勿体ぶらなくていいよ〜とニッコリと笑う香蔵さん。
そんな香蔵さんに向かってズバッと言った。
「そんなもんないよ」
香蔵さんが白目を向いた。
まぁ、みんながみんな能力を持っている訳では無いということを改めて再認識させられた。
能力を持っている人が周りに居すぎて(言うて6人だけど)忘れてたが、本当なら珍しいんだよね……。
「あぁ、俺の妹が持ってたかな」
「へぇ、妹さんいるんですか」
「おう。これが可愛くてな〜」
まるで自分の娘かのように話す檻鉄さん。
鬼円は外見てるし、香蔵さんは座ってこれから行くところにワクワクしてるし……。
運転手さんはため息ばっかつくし。
ほんとにこれ大丈夫なのかな……。
◇◆◇
「ここだ」
「ホワァ……」
「お、鬼円の家ぐらいデカイ……」
みんな大きい家を持ってるのカナー。
まるで西洋館を彷彿とするような館に、大きな庭のような場所。
しかも、所々に人がいて、楽しそうに話していたり、掃除していたりしている。
仲間のひとりがこちらに気づくと「お疲れ様です!若!」とお辞儀する。
それに対して檻鉄さんは手を上げて挨拶を返す。
「さて、中に入るか。客室に案内するよ」
館の扉を開けて中に入る檻鉄さん。
その後を追いかける私たち。
館の中には大きなシャンデリアが天井からぶら下がっており、二階に上がるための大きな階段が目の前にある。
これには私も香蔵さんも口をあんぐりと開ける。
「客室は二階……どうした?」
「い、いやぁ……と、とても大きな家だなって…」
「え?あぁ、そうか?そうかも……?」
「お兄ちゃーーーーん!!!」
そんな会話をしていると、二階から金髪の長い髪の少女がこちらに走ってきた。
するとゴッといってよろけた。
「っぶねぇ!!」
瞬間、地面を蹴ったとは思えないドンッと大きな音と共に瞬間移動したかのように少女のことをお姫様抱っこする檻鉄さん。
それを見て目を細める鬼円。
「えへへ、ごめんお兄ちゃん」
「ほんっと注意しとけよなぁ…」
もしかして、あれが妹さんかな。
……でも、顔は似てないし…それに、あの髪の毛…地毛……だよね?
「それじゃあ気を取り直して二階行くか」
「そうだね。それじゃあ行こうか」
香蔵さんの言葉に頷き、二階に上がる。
二階にあがり、ガチャっと扉を開けるとそこには…
「は?」
「ア゛ァ゛?」
「え?」
「……えぇ…?」
悪噛と桑西さんがそこにいた。
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