龍脈浄化作戦 その3
右手に無尽蔵に集めた魔力は台風の様に周りの魔力を渦巻状に吸っていく。
出力を上げればあげるほど、暴風が吹き荒れ、木々がしなり、職人たちはうめき声を上げ始める。しかし、先ほどの様に沼を作る気配は一向にない。
ただただ破壊的な暴風が吹き荒れ続けるだけだった。
私はきりのいいところで魔力の集中をやめる。
職人たちは地面に寝そべり、息も絶え絶えだ。
「わかりました? 大気中の魔力って集めても、停滞することがあんまりないんですよね」
私は笑顔で彼らに告げる。
職人たちの表情はひきつっていた。
「ねぇちゃんがいうことはわかったよ。 確かに沼ができるたびにこんなことが起きてたらただごとじゃねぇや」
老職人はやっと納得してくれたようだ。
あとは地脈のモデルを見せれば何となく理解してくれそうだ。
「あのすいません。一回水槽に土を入れてくれますか? 半分くらい。 三つとも」
そういうと、職人たちはすぐにスコップで土を掘り返し水槽に入れてくれた。
どうやら私の話にけっこう興味が出てきたらしい。その顔は期待感が見て取れる。
「えー最後に地脈のモデルを実演しますね。 まず魔力の流れを、作ります」
私は両手の平を合わせ徐々に水平に離していくその手のひらの間に魔力を通した。
そしてそれをそのまま水槽の中に入れる。
土に触れると土の表面がぼこぼこと波打つ。
そしてそのまま魔力を円形に循環させる。
そしてその循環させた魔力を地面の中に埋め込んだ。
そのまま5分待つ。
ガラス面までいっぱいに円を拡げて断面図として見えるようにしたが、特に土中が問題が起きてる様には見えない。
私はそれをあと二つ作り、一つは循環させるのやめる。もう一つは円を縦にして空中に触れさせるようにした。
同じように待つと、循環を停止させた水槽がみるみる沼化していった。
そして、ガラスがはじけ飛ぶと魔力は霧散して沼は自然に消えていったのだった。
「魔力の流れが止まると沼になって、それが大気に触れて全部魔力が消えると沼は自然に消えるってわけだな」
「そうゆう事、だから早いうちに見つけて掘り返してあげればそんなひどいことにならないってわけよ」
老職人は少し考え込む。
そして考えが纏まると、「おれたちゃあんたの指示に従う。 今後はこきつかってくれや!」と元気に言ってくれたのだった。
こうして、龍脈浄化作戦は幕を開けたのだった。
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