恋に縛って縛られて

明日葉ふたば

第1話 序章

 人は誰しも何かに縛られて生きている。

 

 学校に行かないと、宿題をしないと、明日のプレゼンが、今晩何作ろうか、良好な人間関係を、期待に応えたい、自身の立場、周囲の偏見、家柄もお金も社会規範きはんも。数え出せば際限が無い。神から与えられた役割があると考える宗教観の持ち主ならその時点で既に、だ。取り巻くルールはぬぐえない。

 

 そもそも人間様は生物種の頂点に立ってしまったが故、子孫を残さねばならないという枠に囚われることもないが、元来生物とはそういうもの。人間だって元々は子を産み種を残す、一介の生物種に過ぎない。そういう捉え方をしてしまえば、生きている限りガチガチに縛られていることになるだろう。

 

 生きることこそ縛りなのだ。蛇が蜷局とぐろを巻くように、鎖で軟禁なんきんするように、閉塞感の中でそれでもなんとか生きねばならない。それが知恵の実を口にした人間が背負うべき罪なのだろう。

 

 それなら死ねば全てから解放されるのか?それはまた違ったお話。本当に極楽浄土があるのか、ただただ永遠に無が広がっているだけなのか、プラトンが定説したようにイデアが存在するのか。誰にも分からない。

 

 結局何が言いたいのかって?

 

 人は縛りや苦しみの中で、僅かな生きがいや喜び、楽しみを見いだして必死に生きてるよねって話。


 ねえそこの君。貴方は何に縛られてる?

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