いけいけ勇者様47

最上司叉

第1話

子供を無事助け出して盗人は街に帰ってきた。


街の市場の近くを通りかかった時誰かに話しかけられた。


「盗人さん?」


盗人は声が聞こえた方を見た。


そこにはよく知る女が荷物を抱えて立っていた。


「買い物?」


「はい、今日の晩御飯楽しみにしててください」


盗人は女から荷物を貰うと家に2人で帰って行く。


「何かいいのあった?」


「はい、今日は魚が安かったのでいっぱい買いました」


「良かったね」


「はい」


そんなことを話しているうちに家に着いた。


【ガチャ】


家のドアを開けた。


皆が俺たち2人を見ている。


「?」


「どうかした?」


「いや…」


「なに?」


「…言いづらいが盗人に殺しの容疑がかかってる」


「!!」


「誰も殺してない」


「…それは王様に言ってくれ」


【ガチャ】


「失礼」


盗人は後ろを見る。


「盗人に殺人容疑がかかっています、一緒に来ていただきます」


「…分かった」


盗人が王様の近衛騎士に連れていかる。


その時女は言った。


「何かの間違いです!」


慌てて止める女に盗人は言った。


「大丈夫すぐ戻る」


「…」


皆心配そうだ。


「さっ行きますよ」


こうして盗人は城に連れていかれた。


謁見の間


王様が玉座に座っている。


「王様連れてまいりました」


「ご苦労、下がって良い」


「はっ」


王様の近衛騎士は謁見の間から出て行った。


「世は何かの間違いだと思っておる」


「誰も殺してない」


「そうだと思うが目撃者がおる」


「目撃者?」


【パンパン】


王様は手を叩き目撃者を連れてくるよう家来に指示した。


「失礼致します」


「入れ」


【ガチャ】


「!!」


盗人は目撃者を見るなり言葉を失った。


目撃者をよく知っていたからだ。


目撃者がニヤニヤしながら盗人を見ている。


「よう兄弟久しぶりだな」


「…」


「知り合いか?」


王様は盗人に聞いているが目撃者が答えた。


「知り合いもなにも昔散々一緒に盗みを働いた仲だよなぁ?」


「…」


盗人は黙っている。


王様も黙っている。


「なぁ兄弟また昔みたいに一緒に盗みをしようじゃないか?」


「…断る」


「へ?」


「断ると言ったんだ」


目撃者はその一言で怒り出した。


「なんでだ?!」


「もう足を洗ったんだ」


「ふざけんな!そんなことが許されるか!」


「…」


盗人は黙っている。


「散々一緒に盗みをしておいて今更良い人気取りか!」


「…」


「そうか、許さねぇぞ」


目撃者はナイフを取り出した。


「裏切りやがって覚悟しろ!」


【ズダーン】


盗人は襲ってきた目撃者のナイフをかわしたあと腕を掴んで放り投げた。


目撃者は宙を舞い床にたたきつけられた。


「ちくしょう覚えてろよ」


連行される目撃者が盗人に向かって捨て台詞をはいた。


王様は災難だったと言い犯した罪は消えないがこれから努力すればいいと言った。


盗人は消えない罪をいつまでも抱えて生きていく覚悟をした。


そして盗人の殺人容疑ははれたのだった。

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