第32話 幸せな日々
パソコンを使って言葉で表現できるようになり、知的障害の疑いも晴れた。
僕は見た目にはボーっとしてて、知的障害と言われても誰も異論を持たないような状態。こんなふうに何も表すことはできないけど、目には見えないところで、僕は僕なりに色々感じて考えて生きているってことを分かってもらえて嬉しかった。
それに、ありがとうって毎日、いや一日に何回も伝えたかった。
僕はそんな思いを胸に、毎日毎日普段考えていることや感じていることや出来事を書き綴った。それを母さんに読んでもらった。
母さんは僕がこんなこと考えてたんだって、驚いたり喜んでくれたりした。
ついでに誤字脱字などの添削もしてもらったから、少しずつだけど文章を書くのが上手くなっていったよ。新しいことを知ったり、できるようになることはとてもワクワクした。
僕はそんなふうに毎日を楽しく過ごした。
すごく充実していたと思う。
僕はそれから、数年間そんな生活を送った。
毎日の日課で自分の想いを文章にして綴った。
時々散歩に連れて行ってもらい自然と対話した。
自分の意識の世界に没頭してあらゆる世界を旅した。
たまにユキと会ってテレパシーで言葉を交わした。
体調を崩すことも多くて入院もいっぱいしたけど、
僕は毎日が幸せだった。
でも、そろそろもうダメかなって、最近思うようになった。
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