生まれ変わっても、私になりたくない。

ゆるいゆる。

第1話 少し訳アリになった理由(1)

私、本当は普通の県立高校に入って普通の生活を送って恋愛して吹奏楽部に入って仲間と切磋琢磨する。レモンのような甘酸っぱい青春をすることを妄想していた。

しかし、その妄想は「いじめ」という3文字によってぐちゃぐちゃにされてしまう。

「いじめ」は小学生の頃から受けていて、それは本当に私の心をボロボロと虫食んでいったが得意のお人よし風な性格で耐えていた、というよりかは無理やり慣れようとしていた。

しかし、中2の時にその「慣れ」を大きく上回るような出来事が起き、時間を追うごとに心がボロボロになり中三の10月。文化祭が終わり周りが受験に舵が切り替わろうとしていた時に私は、とうとう不登校になってしまった。


今回はいじめが始まった小学2年生から4年生ぐらいの頃を振り返る。

最初に受けたいじめ。というか仲間外れや悪口は、同じ地区の幼馴染の女の子と2個上の女子から受けたものだ。忘れもしない。夏休みに入る前の放課後だ。私の地区では放課後、近くの公園で遊ぶのが恒例になっていた。その日も毎日のように誘いを受け、私・幼馴染のまことちゃん・2個年上のかれんちゃんとその妹・同じく2個年で小さいころから遊び相手になってくれているなみちゃん・その他諸々と鬼ごっこをすることになった。しかし、始める前から私は嫌な予感がしていた。女だけのガチンコ勝負になりそう、、とではなく、私は足が遅いため何回も鬼になってしまうのではないかと嫌な想像をしてしまった。というのもまことちゃん・かれんちゃんはリレー選手候補になるほどで、なみちゃんも2個下の私から見て十分足が速かった。

じゃんけんでは鬼になるのは逃れたものの鬼ごっこが始まると、案の定私が鬼になってしまった。もちろん、上記の三人には追いつけるわけもなかったため、大人げないが一つ下のかれんちゃんの妹をタッチした。妹は誰もタッチできなかったので、しばらくして3人のうちの誰かが「もう鬼じゃなくて大丈夫だよ!じゃあさっき鬼だったゆるちゃん鬼ね!」となりまた私が鬼になってしまった。妹は狙えなくなってしまって、全然捕まえることができなかった。「鬼代わるよ!」の声を期待していたが誰もその言葉は発さず、さらに時間が経ってしまった。私はみじめな気持ちになってしまい、気づいたら静かに泣き出してしまった。

涙というものは不思議だ。止めなきゃ止めなきゃと思うほど溢れてしまう。私がか細い涙を出してる中、ボソッと「なんで泣くん、、」「鬼になりたくなくてわざと泣いてるんだよ」と聞こえてきた。まずい。泣き止まないといけない事はわかってる。でもこの状態から泣き止む方法は私には分からなかった。泣いてて周りが見えず、つまづいてこけてしまった時はボソッと「うわぁ、、わざとこけたんだよ」と私を蔑んだように言われてしまった。と記憶はここまでで終わってしまっている。どうやって鬼ごっこが終わったのか、家までどうやって帰り着いたのか全く覚えていない。しかし、この日の出来事で彼女たちにとって私は、「泣き虫」で「ぶりっ子」で「自分勝手」となってしまった。それからというもの私の仲間外れ・悪口はこの日を境に始まってしまった。放課後の遊びに誘われることはめっきり減ってしまい登校班では私が何か発言すると冷ややかな視線で見てきたり遊びの仲間に入れてもらえなかったりした。


また別の日。地区の子供会でご飯を食べに行くことになり、上記の3人と私で2対2のテーブル席に座ることになった。私の隣に誰か一人座らなければならないため、席決めという、私の押し付け合いが始まった。じゃんけんで負けた人が私の隣に座るということになり、最終的にはなみちゃんが私の隣に来ることになった。死んだ魚のような目をしていたことは今でも忘れない。食事の時間は今では至福の時だが、その時はまさに悲惨な時間だった。私の周りに壁があるかのように3人は私を会話に入れなかった。最初から3人の輪の中に入るつもりがなかったが、会話が雑音にしか聞こえなかったし、私は労働後のような疲れがたまっていた。このときの食事はバイキング形式で唐揚げやポテト、スイーツがたくさんあり子供の食欲がそそられる内容だったが1mmもお腹が空かなかった。でも何か食べないといけない、食べ物を取る時でもあの場を離れたいと思ったため、結局私が考えついた行動はキャベツをとってゴマダレをかけて食べる。これをひたすら繰り返す事だった。キャベツをとりに行ってる時に「あぁどうせヤバイとか思われてんだろうな」と思いながらふらふらと歩いた。

その私の予想は的中し、さすがにマズイと思ったのかキャベツを注いでいるときに3人衆の中から私のもとに、まことちゃんが派遣されてきた。まことちゃんは第一声に

「ゆるちゃん大丈夫!?さっきから一言もしゃべってないしキャベツしか食べてないし、、、」と心配を装い近づいてきた。(会話に入ってほしくないくせに)思いながらも「えー別に普通だよ~」と嘘で塗りつくされた仮面を被って答えた。

子供会のお母さんが私の様子がおかしいのに気づき「大丈夫?」と聞いてきたが

嘘の仮面をまた被り「全然大丈夫ですよ~」とさっぱり答えた。ほかにもたくさん食べてねと言われ会話は終わったが(同じテーブルの三人に仲間外れにされてるのはやっぱ気がついてくれないか)としゅんとしたが、そりゃ気がつかないだろ。


3人からのいじめは私が5年生になった時、二つ上の子が卒業したので強制終了し、現在では3人衆でこの地区に残っている人はおらず、まことちゃん以外の交流は途絶えている。(なぜまことちゃんとの交流が続いている事やその他諸々の事情は、後々わかるとして、、、)

3人ともどこの高校に進学したのかは小耳にはさんだ。きっと普通の高校生活を過ごしていて青春しているのだろう。私と違って。


私がこの小説で三人に今の思いを伝えられるのなら。

もしも「泣き虫」で「ぶりっ子」で「自分勝手」な子がいたら一緒に遊びたくないと思い冷ややかな視線を向けるかもしれない。しかし、まだ小学生だったからといってあなたたちが行ったことは取り返しのつかない行動であり、「いじめは受けてる方が悪いし慣れるもの」という考えを私に植え付け、それが頭の中で根をはって成長し、10年後でも私を苦しめている。私の普通の生活を奪った原因の一つになり、

今これを直接三人にぶつける勇気を持ってない私はまだまだ未熟なのだ。


※人物名はすべて仮名です

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