ガラスの破片‐The Legend of Spilit‐

佐藤 いくら

序章

⌒If you call it a coincidence,

 むかしむかし、ヒトが二本足にほんあしあるき、言葉ことばおぼえ、ぜんあくかつようになったころのおはなし

 武器ぶきつくかたったヒトビトは、あらそいごとをこすようになりました。

 はじめはものつぎ土地とちあい権力けんりょくと、ヒトビトはたたか理由りゆう次々つぎつぎもとめるようになりました。

 大地だいち半分はんぶんおおわれたころかなしみにれた平和へいわかみ、ファルーカは、ふたりの巫女みこ地上ちじょうへとおくりました。

 ひとりはしあわせの象徴しょうちょうで、もうひとりは不幸ふこう象徴しょうちょうでした。

 ファルーカはふたりの巫女みこに、ヒトビトに平和へいわこころおもさせるようにと、使命しめいしました。

 ファルーカは、ふたりをおくすことで、しあわせも不幸ふこうおな場所ばしょにある、うことでかならかりえるということを、ヒトビトにつたえたかったのです。

 ところが、ファルーカのおもむなしく、ヒトビトはふたりの巫女みこはなばなれにしてしまうのでした。

 しかしふたりの巫女みこあきらめませんでした。

 ファルーカからさずかった使命しめいたすべく、ふたりはやまたにえ、片割かたわれのもとへともどりました。

 そのときには、およそ1000ねんときながれていました。

 1000ねんあいだ、ヒトビトはえずいさかいをつづけていたのです。

 ふたりの巫女みこり、平和へいわねがいました。

 なみだながしたこの大地だいちに、やすらかな安寧あんねいを。

 すさんだヒトビトのこころに、ファルーカのかなしいほどの慈悲じひを。

 ふたた戦争せんそうこしたものには、こう不幸ふこう制裁せいさいを。

 ふたりの巫女みこ人知ひとしれず、になりました。

 おおきなおおきなとなったふたりは、その天辺てっぺんから世界せかい見渡みわたすのでした。

 こう不幸ふこうじる、この混沌こんとん世界せかい見守みまもるのでした。


 これは誰も知らない世界樹のお話。

 いずれ生まれ落ちるであろう、必然と偶然に満ちた少女のお話。


 誰よりも愛を望んだ、彼らのお話。

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