第21話 殴りますね(にっこり)
まずは超巨大戦艦や超巨大空母を持っている5層の人に聞いてみることにした。超巨大クラスになると、外地の人しか作れないからね。5層の人何か知ってそうだよね。
結論としては梨のつぶて。確かに外地との繋がりはあるがそれ以上のことを教えるわけにはいかないってさ。再生医療に強い外地はないか聞いても、知らない、だそうで。知ってるはずだけどねえ。
情報統制がきちんと敷かれているか、私程度じゃ相手にされてないか。
フォーザオールも受付で門前払いだった。本を卸すのをやめよう。通告しといた。慌てていたが知らねえ。違約金なんざ余裕で払える。
ただ、ある程度の層に上がると5層が外地と組んでるのは周知の事実なので(別に違法でも敵対行為でもないしね)、外地がある場所は教えてくれた。どこが何を強いんだかはわからなかったけど。
「カリダリの先に3都市、ドティルティ、レングスの先に1ヶ所ずつか。カリダリのところが一番栄えてそうだけど、部外者意識も高そうだな。でも行ってみないとわからないし、1ヶ所1ヶ所行ってみるかあ」
繋がりがあると言っていたディンゴの所から紹介して貰おう。
ドスコードじゃ連絡するの向いてないから電話だね
ぷるるる、ぷるるる
『こちらディンゴだ、今は電話に出られねえ。伝言がある場合はプーッと行った後に――』
ガチャ
繋がらないんじゃ意味が無い。メール打っとこ。内容は、「アキちゃんが超巨大戦艦受領っする所見たいってごねてる」っと。
メールを打ち終わった後、アキちゃんはこちらをよーく覗き込んで。
「ご主人様、何か企んでませんか?」
「ななななな、なにもたくらん、ででで、ないよよよ」
アキちゃんはにっこり笑顔になり。
「そうですか、もし利用していた場合には殴りますね」
殴りますね。
殴 り ま す ね 。
殴 り ま す ね 。
骨折れて死ぬわ。いや、夏芽が融合してるから折れはしないか? とにかく重傷を負うことは必死だ。
いやーアキちゃん怒らせたら駄目だね。うんうん。
お、メールが返ってきた、なになに。
「視たいというのであれば是非とも! なんなら一緒に行くか? 俺の紹介もあれば捜し物の相談もスムーズになるだろうし」
お、渡りに船。繋がりがあるディンゴから紹介されれば少なくとも敵対されることはない。もしかすると医療に強い外地を紹介してくれるかもしれない。
問題はアキちゃんがディンゴと行動したがるか、だよな……。
「嫌ですよ絶対。絶対一緒に行きません」
だよねぇ。そうだよねぇ。アキちゃん可愛いよ教みたいなもんのアキちゃん派作った上にそこに自分の部隊を所属させてアンチアキちゃんと戦ってる男ってもうそりゃあ気持ち悪いよねえ。
「そこをなんとか。アキちゃんが頼み綱なんだ。オレンジゼリーくれたでしょ」
「あんなのもう全部食べちゃいましたよ。全然足りません」
「え!? 私の分は!?」
「え、たべちゃ、いました」
「もーやだー、アキちゃんなんて嫌いだーうわーんうわーん」
「な、な、泣かないで下さいご主人様。ディ、ディンゴと一緒に移動しますから」
「ほんとー? うわーん、うれしいよー!」(ニヤリ)
合流するためにコルベットでカリダリへ移動。ジダンの北部の大都市ね。ここも20年経って様変わりしたなあ。
昔は外地との接触点で治安が悪かったけど、今はジダンでは扱えないような大きさの工業製品なんかを製造販売している。
巡洋艦、駆逐艦。この辺の大型艦種はカリダリ製品が主流だったりする。大きくなったもんだ。戦艦は相変わらずヘックスだけども。
加工技術の良さから近接武器も名産品らしいね。ロングナイフくらい買っておこうか? 持ってるけど。
ディンゴと落ち合うために指定されたカフェに移動。ディンゴって酒場じゃなくてカフェを好むんだよね。甘党なのかな。
ディンゴは30分遅れで到着。レディを待たせるだなんてどうしてるのと言いたいが早くパフェ食べたかったから早く着いただけなのでヨシ。
「すまんすまん、待たせたな。行く準備は出来たか? 指定した道具や装備、食料は持ってきたか?」
「持ってきたよ、このマジカルポーチに入ってる。装備見た限り、船での旅じゃないよね? なにでいくの? 車?」
「へへっ、馬さ。馬車の旅だよ。自分たち以外の機械を極端に入れたがらない部族でね、馬で移動するってわけだ。」
「わーお、西部開拓時代の生活が体験できるなんてTSSってすばらしー――棒読み――帰りもここ?」
「いや、ドティルティ方面にルート変更する場合もある。船やドローンで来てるなら自動帰還モードで自宅へ戻しておきな」
うわー楽しそうだなー――白目――
馬車はディンゴが用意した6頭立ての馬車で、乗る所以外に荷台もあって、ここで寝泊まりする感じだった。金属板な部分もあるから煮炊きも出来そうだ。
「おうまさん、よろしくおねがいします」
「ぶひひん!」
「おうまさん、どうぞよろしくです」
「ぶるるん!」
アキちゃんの挨拶をお馬さんにすることによってお馬さんの士気を向上させる。士気は高い方が何かと良いからね。アキちゃんって本当に士気あげるの天才だなあ。
それでは出発。私が御者なのが実に解せないんだけど、魔導馬車なのでお馬さんと意思疎通していれば勝手に進む。左手を失って一回の経験値が200くらいしか手に入らなかったけど、小ミッションは毎日欠かさずこなしていたからな、初級スキル意思疎通くらい買えるわ。大ミッションいつになったら来るんだろうね。これもバグだったりして。
「馬車も進化するんだねえ、魔導馬車だと振動が殆ど無い。室内へと声が通るマイクもある。御者席にも日差し避けと風防が付いてる」
「ご主人様凄いですー。私も操作してみたいです」
「アキちゃんはスキルのオンオフもまだ完璧じゃないんだからやめときなー。変なスキルのせいでお馬さんが暴走するかもしれないよ」
「そっかー、残念です」
順調に進んでその日の夜。
「焚き木を持ってきたぜ、これで今日は炭火ステーキだ!」
「あ、調理器具ならマジカルポーチにたくさん入ってる。魔導式コンロに鍋とフライパン各種。魔導ボンベはマナ注入式だから私がいくらでも注入してあげられるよ。以前カリアナ-スピリナ間をサバイバル移動したからこういうの持ってるんだよね」
「そ、そうか。さすが雪菜だな、あははは」
「――そう寂しがるなよディンゴ! 今日は自然を使ったアウトドアと行こうじゃないか! 火はほぐしたロープにファイヤスターターで火花を散らすんだろ!」
「わー、こういうの久しぶりの体験です!」
なんだかんだ和気あいあいと失敗しながら火付けから調理まで進み、今日の料理はディンゴの持ち込んだ牛肉と、私が持ってきたシチュー(ルウ)、そして焼きたてのパン(マジカルポーチ)
「美味しいですね!」
「アキちゃんがニコニコしてくれて良かったよ。ディンゴはサバイバル系の道具持ってきてないの?」
「馬車の旅なんてサバイバルが基本だろ。サバイバル道具以外の緊急用道具なんて捨ててきたぜ」
「つかえねーですねおっさん」
「ぐすっ、もうしわけねえ、アキちゃん」
楽しい馬車の旅ですが、何回か検問があって、そのたびにディンゴの顔が利いたので無事に通過。
「ディンゴさん凄いですね! 検問突破しちゃうなんて!」
「ですよね! アキちゃん! 俺凄いですよね!」
私は何を見せられているんだろう。
馬車の旅も10日目くらいに入ると道路が出てきまして、道を間違えるなんて恐怖もなくなりました。
20日目あたりからは街に入りましたね。でも捨てられた街で誰も住んでなかった。人が増えても奥の方に奥の方に移動してるのかな。
30日目、守衛がいて高い壁に守られている巨大な敷地に到着。おそらく本拠地でしょう!
馬車から降りて守衛さんに話しかけます。
「俺はディンゴだ。ディンゴ・カザエフ。大将にアポイントの連絡が行っていると思うんだが。んでこちらが……」
「榊雪菜です。小説家でーす。で、この子が……」
「アキちゃんです!ご主人様の特殊ペットやってます!」
守衛はアキちゃんと聞いて相当びっくりして。
「あ、あき、あきちゃん!? ちょっと確認させて貰っていいか――間違いない、あのアキちゃんだ。大将に追加連絡だ! あのアキちゃんが来ているって!」
なんだろう、あのアキちゃんって……。
ディンゴが言うにはアポイント時間より早く着いちまったみたいなんだけど、急遽会えることになった。3人で。全員で。ディンゴは嫌がっていたけど、あっちがアキちゃんと同席がいい! って聞かないもんだから。
どうなってるんかねー?
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