第5話 アキちゃん、秒で寝る
アルダスさんの開拓地、L85-5番開拓地に移動するには半日とかからなかった。さすが宙に浮かんでる船だわ。
「夕方になっちゃったねー。もう遅いかなー」
「意外とよかったりして。夕食時かもしれない」
などと話しながら開拓された土地の上を飛ぶ。
いやー開拓地と開拓された畑とではまるっきり土地の顔が違うね。
開拓された土地は開墾されており茶色になっていてその上を植物らしきものが盛んに生えている。
ポツンポツンと住宅らしき建物も見られて、農家やってるな、という感じ。
酪農はまだやってないかな? 牧草地帯は見えない。
未開拓の土地は草原と木々で、THE・自然といった所か。
住居や倉庫などが集まる中央村落を見つけたのでそこで船を下ろしそのまま下船。あ、傭兵の皆様はまだ下ろしません。商品だからねクケケ。
「なんだ、こんな時間に!? お前は誰だ! 要件は何だ!」
衛兵がすっ飛んできて尋問される。お仕事ご苦労ご苦労。
「榊雪菜です。ジダンのルウラさんから傭兵200名をL85-5番開拓地に輸送して欲しいというミッションを受けてやってきました。傭兵を下ろしたいのですがよろしいですか?」
「ちょっと待ってろ!」
みんなで食事している方へすっ飛んでいく衛兵。いやー本当お仕事ご苦労。本当にご苦労。
すると奥からドカドカと歩いてくる、立ってる虎。虎人種――しかも希少虎人クラス――が一名、どう見てもアルダスさんだ。
「アルダスさーん!!」
走っていく私とアキちゃん。そして飛びつく私たち。凄い巨体なのにスッテンコロリンと転ぶアルダスさん。私たちの飛びつく能力が高すぎたようだ。霊長類最強は私たちだ。
「ガハハ、久しぶりだな、雪菜にお嬢! 雪菜騒動からちょっとしたあと以来か? おまえら無事に生きてるか?」
無事に生きてますよ、と私。もう昔のパーティは組めないんですね、とアキちゃん。アルダスさん開拓団のリーダーだもんね。
「さすがに昔と一緒とは行かねえな。ルウラも傭兵の館で働いているしな」
ですよねーといいつつ傭兵を輸送船から降ろして食事場に戻り、開拓団の皆さんと交流する。
ミッションはクリアしているけど報酬の詳細は後回しだね。今は開拓団の人と飲み明かすときだ。
傭兵は雇用解除して、彼らには屯田兵みたいな感じで開拓に加わってもらうことになる。200名も来ればかなり楽になるんじゃないかな。
食事面は200人も一気に増えたら大変そうだけどね。まだ放牧できてないもんな。
「それじゃ、アルダス村のますますの発展を祝い、かんぱーい!」
「「「かんぱーい!!」」
このためにと持ってきた酒樽が空になるまで飲み明かすのであった。
開拓村の朝は早い。日の出と共に起床する。部屋は宿屋のを提供してもらったよ。
顔を洗わなくては。
井戸水――は使わない。蛇口から水は出る。水の魔法陣を使用してある蛇口なので遠隔地でも綺麗な水は使える。それで出された温水で顔を洗う。
ふー、さっぱりー。シャワーもあるのでシャワーも浴びた。湯船は使うお湯の量が多いから魔法陣に負担がかかるそうなのでないとのこと。しょぼん。
さて、この後は着替えて食事だ。
アルダスさんの家にお邪魔して食事を頂く。
料理が得意なアルダスさんだけあって野菜がいっぱい入ったスープ、卵焼き、ベーコン、ふわふわしていないけど味が良いパンなどを出してもらった。美味しい。
さて食べながら本題に入ろう。
「おじさんならここら辺に生息しているゴブリンとか知っていると思うんですが」
「アキのお嬢が俺のことをおじさんって言い始めたのは、ウンディーネ戦の時だったっけか……」
「そうそう、ウンディーネ戦。アルダスさんがぬかるみにはまって虎人とは思えない機動性の悪さを発揮していたときですね」
アルダスさんが冷めたスープをズズーっと吸う。猫舌なので熱い物は食べられないのだよ。虎はネコ科なのを再確認させてくれるねー。
「ふーうめえ。あれは他の連中が人並み外れていたよなぁ……。お前達のスープは別に温めたけど熱いか?」
「おじさんはおじさんです。スープは温まってますよ。私もおきつね族なので熱すぎるのはちょっと」
「おじさんか……。ああ、ゴブリンのことだが、ゴブリンはどこにでも生息しているからどこのゴブリンが凄い凄くないとかはわからん。探索系初級スキルを育てた方が断然良いぞ」
「私の熱くて食べられない……私、ハーフエルフからおきつね族に変化したの覚えてないんですか? ええと、ここに来るまでに出たデイリー小ミッションで稼いだ経験値で少し育ててあります。後はオーバードライブでなんとかします。ちーっ、おじさんじゃミッションには役に立たなかったか」
「おいおい、雪菜までもかー」
「スープの恨みです」
ふう、ごちそうさまでした。どれもよく出来ていて美味しかった。パンが美味しかったなあ。
ミッションの報酬確認しとこ。
「3000ドルエン、か。通常ミッションじゃ経験値は手に入らないのかな」
「やらないよりやるに越した方がよいでしょう、では寝直しますおやすみなさいズブズブズブ」
「私の胸の谷間に顔を埋めるんじゃないっ」
アキちゃんは私の警告もむなしく胸に入り込み、秒で寝たのでした。
曰く、やわらかい枕らしい。
曰く、自分のしっぽより優しいらしい。
ずるい、私も欲しい。
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