第9話ノワールはモーゼ様ですか?



 ノワールのお陰で女子学生達からの歓迎のアーチのようになった道を通り男子寮へ向かう。


あぁ、聖地を目に焼き付けたかったのに…。後日こっそり見に行こうっと。


 女子学生の目がうっとりとハートみたいになっていて、少し面白くない。


 ノワールってやっぱりモテるんだよな。


 俺一人だったら、あの大勢の女子学生に吊し上げられてただろうけど、ノワールがいたお陰で助かった。


 助かったんだけど、なんかムカつく。ノワールは子供の頃から俺のものなのに。



 男子寮に到着した。


中に入って一安心した途端、後ろでわーっと歓声があがった。



 鳴り響く拍手の音が聞こえる。



 オリビエ嬢は絶対に敵に回してはならない。でも、オリビエ嬢の実家が将来ノワールを婿に取りたいと申し出る事も知っている。オリビエの実家だけじゃない、この集団から何家もノワールを婿に望むのだ。後から出てきて、ノワールをかっさらおうなんて、ずるい。



 悔しくて、『ノワールは俺のものだ』って叫びたくなったけど、なんとか耐える。



 でも、ちょびっと涙目になってしまったので、ノワールのシャツで拭いてやった。ふーんだ。モテ男め、綺麗な制服を早速汚してやったからな。



 それに、ノワールはヒロインと出逢うまで独身だからな。皆、降られるんだぞ、ざまあ。


 俺はけけけっと笑った。


性格悪い?だって、悪役令息だもん。仕方ないじゃないか。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る