第6話 初登校は…。

今日はいよいよゲームの舞台になった学園への初登校。聖地巡礼への期待が半端ない。


 しかも、目の前には制服姿のノワール。ゲームでは大人だった彼の制服姿は当然ながら見れなかった。 


 ゲームのスチルでも見れなかったノワールのサービスショットに朝からテンション爆上がりだ。普段は一緒に出掛ける時は横に座るんだけど、今日はノワールの制服姿を、堪能する為に向かいに座っている。


 良い仕事したな、俺。



「アレックスもうすぐ、学園に到着しますよ。」



スチルに出てきた白亜の壮麗な学園が見えてきた。



「うわー。」


 今日からここの学生になるんだ。


なんだか、じーんとこみ上げてくるものがある。



 ノワールと目があう、花がこぼれるような微笑みに悶え死にそうだ。駄目だ、死因=悶え死なんて恥ずかしくて成仏出来ない。


 赤くなった顔を誤魔化すように窓の外を眺める。


馬車が門をくぐった。魔力解除のゲートで学園に相応しくない者は弾くといわれている、別名選別の門だ。


 馬車は弾かれることなく門に吸い込まれた。そして、学園の中が見えてくる。



 ん?


人、多くない?



 特に女子。10人や20人じゃない。数百人単位の女子学生がいる気がする。


 新学期、再開を祝して集まったにしては、雰囲気がものものしい気がする。



 馬車が止まる。



 すると一糸乱れぬ統率された動きで女子学生達が馬車を取り囲んだ。詰んだ。


 先頭にはツインテールのきつめの美少女。


可愛いけど、可愛いんだけど、それはツンデレならであって、ビシビシと感じる殺意を向けられるのは恐怖でしかない。


 悪役令息アレックス、こんなにも嫌われていたなんて。


 ふるふると震える俺の肩をそっとノワールが抱いた。



「アレックス、大丈夫です。私が守ると約束したでしょう。」


 ノワールに守られるように肩を抱かれたまま、馬車の外に出る。


 リヴィエラ公爵家の紋章のついた馬車にノワールが乗っていたのに驚いたのが、女子学生からの殺気が霧散する。


 流石、攻略対象者あのものものしい殺気すら瞬殺するとは…。



 女子学生の人混みは、ノワールが一歩進むごとにモーゼの如く開いていく。


 ノワール、すごい。ノワールを見上げると。優しく微笑みかけられる。


 その瞬間、女子学生たちの息を飲む音が聞こえた。そして、バタバタと倒れる音がした。



 ノワールの前には男子寮に向かう道が出来た。



 



 微笑み一つで、これだけ大勢の女子学生に武装解除してみせたノワール、恐るべし。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る