第3話もしや断罪確定ですか?

肌触りの良いシーツにすりすりと頬を擦り付ける。寝心地が最高だ。それになんだか、良い匂いがする。


 これって、ノワールの匂いだ。懐かしい匂いを目一杯堪能する。



「ノワールの匂いがする、幸せー。」



 以前はずっと一緒にいられたけど、去年ノワールが学園に通い始めてからは距離が空き始めた。


 それにせっかく長期休暇で戻って来たというのになんだかよそよそしくって…。



 学園は長期休暇を除いて、全寮制だ。



 例え王族であろうとも、寮の部屋は二人部屋になっている。


 だからなのだろう、母が強硬に反対して俺の入学は認められなかった。


 学園はプレ社交界。そこを出なかった者にこの国の中枢は担えない。


 たとえ、断罪されなかったとしても、俺の未来には暗雲が立ち込めている。



 ん?


 良く考えたら俺、学園でのノワールに嫉妬して学園行事の度に呼び出してノワールの学園生活を邪魔しまくってるじゃないか?


 俺と友達どっちが大事なの?とかどこかのうざい女子みたいな事を言って、ノワールの学園生活をぶっ潰してた。


 こんなウザいやつ断罪されて当然か…。ずっと、うっとおしかったのかも。



 ノワールが最近なんだかよそよそしい感じがしたのもそれが原因か。だとしたら、合点が行く。



 しかも、学園の女子学生達から、ノワールを振り回さないでって嘆願書が届いていた。


 けっ、ノワールは俺のもんだって、思いっきり無視してた。でも女子学生代表は社交界の華と呼ばれてヒロインを庇護することになるオリビエ嬢じゃないか。


 


 今の時点でこの国の女性一同を牛耳ることになる彼女を既に敵にまわしてるなんて…詰んでる。詰んでるよ。



 もはや俺、この国に居場所なんてないんじゃないか?


 過去の盛大なやらかしに頭を抱えた。



 ノワール、本当は今もめちゃくちゃ怒ってるんじゃないか。だから、顔も見たくなくてここにいないのかも。 



 そういえば、子供の頃から家の上下関係を良いことに具合の悪いノワールの家に看病だとかいいながら、遊びにいったり、兄貴づらして連れ回したり…。



 今までやらかしてきた数々の悪事を指折り数えながら、真っ青になる。




 そういえば、昨夜だって寝ているノワールの部屋にいきなりやって来て泣き出した挙句、訳のわからない話を延々と話したんだ。



 その上、ノワールの寝心地の良いベッドまで奪ってこんなところですやすや寝ているなんて…。



 断罪エンドを回避できる可能性が消えた…


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