「ダンジョン配信」について思うこと

三口三大

「ダンジョン配信」について思うこと(2023/11/04 時点の話)

【はじめに】


 こんにちは。

 私は、現在カクヨムで執筆しており、最近は現代ファンタジーの作品を投稿しています。


 そのため、現代ファンタジーの作品を読むことが多いのですが、最近の現代ファンタジーで読まれやすい作品は「ダンジョン配信」が多い印象です。

 そして、そのダンジョン配信を読んでいく中で思ったことがあったので、今回はその思ったことについて書いていきたいと思います。


 今回の話はあくまでもなので、その点をご理解の上、最後までお読みいただけると幸いです。


 ちなみに今回は、以下の四点について思ったことを書きたいと思います。


 【ダンジョン配信って書くの難しくない?】

 【ダンジョン配信ってなぜ流行っているの?】

 【ダンジョン配信って書籍化されにくい?】

 【ダンジョン配信で書籍化したいならどうするべきか?】


 それでは、【ダンジョン配信って書くの難しくない?】ということから書きたいと思います。




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【ダンジョン配信って書くの難しくない?】


 まずは、ダンジョン配信ものを書くのが難しいって話です。


 私もダンジョン配信ものを書いたりしているのですが、そのとき、以下の三点が理由で、書くのが難しく感じます。


 ①通信技術について

 ②政府が配信を許可する理由

 ➂そもそも配信する必要なくね?


 ①の通信技術についてなのですが、配信を行うということは、当然、何かしらの形で通信しているわけで、その通信って……どうしているんですかね?

 そこまで通信技術について詳しいわけではないので、素人なりの考えで申し訳ないのですが、電波とかですかね。

 でも、ダンジョンみたいな地中、もしくは異世界にある設定の場所から電波を飛ばして、外にいる人間(機材)がその電波を受信することってできるんですかね。

 各階層(フロア)に中継機みたいなものがあって、それを介して通信するとかなら、まだわかるんですが、だとしたら未踏のフロアからの通信って難しくないですか?

 つまり、何が言いたいかというと、最深部なりに到達して視聴者を感心させる展開を見かけるんですけど、あれって技術的にどうやって実現させているんですかね。

 めちゃくちゃ長いケーブルをつけて配信する方法もありえますが、そこまでして配信したいかと言われると……。

 ってな感じで、初手からいろいろ考えてしまうため、ダンジョン配信を難しく感じてしまいます。

 ただ、通信技術については『魔法』の一言で誤魔化せるので、そこまで気になるような点ではないです。


 ②の政府が配信を許可する理由についてなのですが、政府もしくはそれに準ずるダンジョンを管理している組織が配信を許可するわけないと思うんですけど、どうなんですかね?

 映像資料としての撮影なら条件付きで許可すると思うんですが、配信となると、放送事故が頻発するだろうに許可なんてするんですかね。

 百歩譲って、専門家や研究者に対する現状報告のために配信するならわかります。専門家や研究者が「ワロタw」とか「草」とかコメントしてくるのは嫌すぎますが。

 ただ、やはり、一般人への公開となると、うーん……って感じですね。仮に政府が許可しても、まともな倫理観のある社会は許さないと思うのですが。

 あと、ダンジョン内の物資を『資源』扱いしている設定を見かけますが、資源なら、なおさら許可しないと思うんですよね。

 だって、資源なんて外交のカードにもなり得る国家機密じゃないですか。それを外国の人間も見れるような形で公開するって、うーん……って感じです。


 ➂のそもそも配信する必要なくね? って話なんですけど、そもそも配信する必要なくないですか?

 ②のところでも触れましたけど、ダンジョンでの配信なんて、放送事故が起きかねない危険な行為です。それをわざわざ行う理由って何ですかね。

 動画投稿の方が、編集によって不都合な部分を削れるし、撮影中も視聴者のコメントを気にする必要が無いから、集中できると思うんですよ。

 それでも配信を行うんだとしたら、配信者が、醜態をさらすかもしれないギリギリのスリルを味わいたい狂人か承認欲求の化け物とかですかね。

 だとしたら、配信者の内なる狂気みたいなものを描く必要がありますが、それはそれで難しい……。

 いずれにせよ、配信する必要が無い状況なのに、配信を行う理由付けみたいなところで、書くのが難しく感じることが多いです。



 以上が、私がダンジョン配信ものを書くのが難しいと思う理由です。


 一つ注意していただきたいのが、これらをもって、既存の作品を批判したいというわけではないということです。

 あくまでも、私が難しいと感じる理由を列挙しただけで、そこに非難の意図があるわけではないことはご理解いただきたいです。

 私だって、①のところにも書きましたが、魔法や勢いで誤魔化したりしています。

 なので、この辺をちゃんと考えるのって難しいよねって話でした。




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【ダンジョン配信ってなぜ流行っているの?】


 初期設定が難しい印象のダンジョン配信ですが、現代ファンタジーでは流行っています。


 なぜでしょうか。


 もしかしたら、すでに同じことを言っている人がいるかもしれませんが、結論から言うと、視聴者の口を借りることで、作者は簡潔に主人公の実力を表現できるし、読者はすんなりと主人公の実力を受け入れることができるので、流行っているんじゃないかなって思います。


 まず、ダンジョン配信に限らず、ネット小説では、主人公が実力者であることが求められます。

 そして、ダンジョン配信ものの感想を見ると、視聴者の反応があるからわかりやすいみたいな感想を見かけます。

 確かに、視聴者が「すごい」と言ったら、主人公がやったことって、その世界ではすごいことだって、それだけでわかるじゃないですか。

 あとは、視聴者が「レア武器だ!」と言ったら、主人公が手に入れた武器は、その世界ではレアな武器であり、そんなレア武器を手にできる主人公ってすごい人なんですよ。

 だから、視聴者の反応を見るだけで、主人公の実力がわかってしまう。


 ここで重要なのは、匿名の第三者である配信視聴者にその実力を語らせることですね。

 だって、身内に実力を語らせても、小さなコミュニティでしかその実力は認められないじゃないですか。

 でも、匿名の第三者に凄いと言ってもらえれば、より大きなコミュニティでその実力が認められた気がするし、「SNSでバズった」と書けば、それだけで社会に実力を認められた気がします。

 だから、書く方も一文で実力を表現できるし、読む方も一文でその実力を理解できる、つまり、主人公の実力を書きやすいし、理解しやすいから、ダンジョン配信ものは流行っているんじゃないかって思います。


 もしも、ダンジョン配信ものを書いているのに、いまいち評価が伸びないってことで悩んでいる人は、視聴者の使い方を見直してみるといいのかもしれないですね。



 以上が、流行っている理由について思ったことです。




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【ダンジョン配信って書籍化されにくい?】


 ネット小説を書いていると、やはり書籍化は狙いたいところです。が、ダンジョン配信ものって書籍化されやすいのでしょうか?

 結論から言うと、わからないです。なぜなら、私は出版社の人間じゃないし、書籍化されたこともないので。


 ただ、印象で語るとしたら、ダンジョン配信というか、現代ファンタジーがそもそも書籍化されにくい印象です。

 そのことは、カクヨムの書籍化作品一覧を見ればわかります(具体的なデータは省略させてもらいますが)。

 おそらく、カクヨムだけではなく、小説家になろうも同じ傾向にあるんじゃないかなって思います(偏見)。


 じゃあ、何で現代ファンタジーが書籍化されにくいかというと、それもわかりません。なぜなら、私は出版(ry

 ただ、個人的な印象だと、これも誰かがすでに言っているかもしれませんが、以下の二点なんじゃないかなって思います。

 

 ①異世界ファンタジーに比べて実績が無い。

 ②現代ファンタジーである必要性を感じない。


 ①に関しては、前述の書籍化一覧などを見れば、現代ファンタジーの書籍化が少ないことがわかります。

 そして、書籍化の数が少ないから、数字が計算できません。

 もしくは、数字が取れないから書籍化が少ないか。

 いずれにせよ、実績があまり無いため、出版社は消極的なのかもしれません。


 ②に関してなんですが、確かに設定は現代風なんだけど、やっていることが異世界ファンタジーでもできるものは出版社も声を掛けにくいのではないかと思います。

 例えば、「ざまぁ」とか、「無能な主人公が実は凄い人で、自分を馬鹿にしてきた連中を見返す」みたいな展開を見かけますが、それを現代ファンタジーでやったときに出版社は声を掛けるのかな? って、正直思うんですよね。

 だって、出版社的には、同じような展開なら、より実績のある異世界ファンタジーの方を採用すると思うんですよ。そっちの方が数字が期待できるし。もちろん、作者に固定ファンがいて、それで数字が期待できる場合は声を掛けると思いますが、実績が無い作者の現代風ざまぁに魅力を感じるかというと……どうなんですかね。

 ただ、その固定ファンを得るためであったり、PVを稼ぐために現代風ざまぁを書くのは、非常に有効だと思います。

 なぜなら、「ざまぁ」は人気のジャンルですし、ざまぁされる側の醜態がSNSでバズったことを表現すれば、それだけで世界に嫌われて、とことん惨めな存在になったことがわかるじゃないですか。

 だから、固定ファンやPVが得やすいんじゃないかなって思います。

 異世界でできる展開だと、「ダンジョン」とかもそうですね。

 なぜ、現代でダンジョンなのか。

 この辺をうまく表現できていない作品に対して、出版社は厳しいのかもしれません。

 もう少し、現代の設定をうまく活かした作品が出てくると、現代ファンタジーの書籍化事情も変わってくるのではないかと思います。



 以上が、私が考える、ダンジョン配信というか現代ファンタジーが書籍化されにくい理由ですね。


 正直、他にも理由はある気がします。

 現代ファンタジーなら漫画の方が強い、とか。

 SF(VRMMO)に流れている、とか。

 しかし、挙げようと思ったらキリがないので、ここでいったん区切りを付けたいと思います。


 このように、ダンジョン配信ものの書籍化は難しそうな状況ですが、ダンジョン配信ものが全く書籍化されていないかというと、そうではないようなので、もしも書籍化を目指すなら、どういった要素が必要になるかを考えたいと思います。




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【ダンジョン配信で書籍化したいならどうするべきか?】


 前述のように、私は出版社の人間も無ければ、書籍化されたこともないので、ただの妄想になってしまいますが、キャラクタービジネス(コンテンツビジネス)がしやすそうなダンジョン配信作品は、声が掛かりやすいんじゃないかなって思います。


 どういうことか。


 配信ものの良さって、主人公(登場キャラ)のファンを獲得しやすいことだと思うんですよ。

 とくに、作中の視聴者のノリを現実世界に持ち出し、『作中の視聴者=あなた』という構図をうまく作り出せている作品ほど、読者がその世界観にはまりやすく、ファンを獲得しやすい印象です。

 そして、ファンができれば、そのファンに対するビジネス、例えばグッズ販売などで収益が期待できるので、出版社が声を掛けるようになる。というロジックですね。このビジネスにおいては、『書籍』すらただのファンアイテムになります。


 最近の作品でこれができているように見えるのは、勝手に名前を挙げてしまい申し訳ないのですが、ドラゴンタニシ氏の『【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう~けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしく動画がアホほどバズって伝説になってますわ!?』ですね。

 こちらの作品は書籍化もされており、コメント欄を見ると、読者が作中の視聴者のように作品を楽しんでいるので、うまくファンを獲得できているように見えます。

 同じような盛り上がりがコメント欄で見られる(私はそう思う)アトハ氏の『【悲報】清楚系で売っていた底辺配信者、うっかり配信を切り忘れたままSS級モンスターを拳で殴り飛ばしてしまう《書籍化&コミカライズ》』も書籍化するみたいですし、これらの作品の今後のビジネス展開によって、出版社が、今、現代ファンタジーに何を求めているのかがわかる気がします。


 ここまでの話を聞き、いや、異世界ファンタジーでもキャラクタービジネスはできるでしょと思う方もいらっしゃるでしょう。

 はい。私もできるとは思います。

 ただ、ダンジョン配信は、『作中の視聴者=あなた』という構造を作り、世界観にはまりやすくすることで、キャラを好きになる、もしくは応援しやすくなるという状況を作りやすいため、キャラクタービジネスに関してはダンジョン配信ものの方がやりやすいんじゃないかなと思っているだけです。

 また、異世界ファンタジーは、キャラよりもストーリーが重視されている印象です。

 キャラはストーリーを動かすための駒でしかなく、その結果、どの作品でも同じようなキャラが登場している気がします。

 そういった類似したキャラがたくさんいる中で、個性を出すのは難しくないですか?

 それに、キャラの個性を出すと、読者に余計なことをするなって怒られそうじゃないですか?(偏見)。

 その状態で、キャラクタービジネスは……どうなんでしょうね。私にはわかりません。

 そもそも、最近の異世界ファンタジーをあまり読めていないので、もしかしたら私の認識が間違っている可能性があるので、そのときはコメント欄でご指摘いただけると幸いです。



 以上が、私が思うダンジョン配信で書籍化を狙う妄想でした。


 少し前にVTuberものが流行った(?)ようなので、現代ファンタジーにはキャラクター重視の作品がウケる土壌はあるのかもしれません。

 個人的には、キャラクタービジネスができるようになると、作者も出版社も読者も皆幸せになれるので、キャラクタービジネスがしやすそうな作品が増えるのは喜ばしいことだと考えています。

 だって、キャラクター売りができるようになったら、作者がエタっても、作者と出版社はキャラの関連グッズとかで稼げるし、読者の皆さんも、続きはなかなか出ないけど、キャラの関連グッズの販売やSNSでの呟きがあることで、コンテンツの「生」を実感できるじゃないですか。

 とういうことで、誰かお手本になるような現代ファンタジーの作品を書いてください。お願いします!(他力本願)。




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【最後に】


 はい。ということで、私の話は以上になります。


 これが、現在、私が「ダンジョン配信」について思うことですね。


 改めてになりますが、であることをご理解のほどよろしくお願いします。

 本来なら、現代ファンタジー書籍化の歴史とか、様々なデータをもって論じるべきなんでしょうけど、今回はそこまで詳しくやっていないです。

 また、他の人がすでに言っていることを自論として語っているかもしれないので、そういった部分がありましたら、コメント欄でご指摘いただけると幸いです。

 私はBreakingDownをしたいわけでも、論破王と戦いたいわけでもないので、治安の悪いコメントには反応しません。

 コメントを書く場合はご注意ください。


 ここまで読んで、「じゃあ、あなたはこの分析を自分の作品づくりに活かせているんですか?」とお思いになる方もいらっしゃるでしょう。

 それは……どうなんですかね。

 活かせているかどうかは、現在私が書いている拙著を読んで判断していただけると嬉しく思います。


タイトルとURLは以下の通りです。

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『異世界帰りの白衣の勇者、異世界仕込みの治療を施したら、担当のアイドル系冒険者がめちゃくちゃ強くなった』

https://kakuyomu.jp/works/16817330665219871294

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 「言うは易く行うは難し」を体現している作品かもしれませんが、最後までお読みいただき、フォローや星評価をしていただけると幸いです。



 以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。

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