8つの感情のための風景練習
world is snow@低浮上の極み
秋の風景
とある風景画「足元から前方へと、線路が伸びている。その両脇には赤や黄色に紅葉した葉を茂らせた、背の高い木々が茂っている。落ちた葉が線路の上に積もり、線路の一部を覆っている。線路は途中で明かりのついていないトンネルを抜け、その向こうまで伸びている」
怒り「秋色の葉は真っ赤に燃え上がって、この世界ごと燃やして自分も燃え尽きてやると言わんばかりだ。木々は赤い葉を線路の上に散らし、電車が来ようとお構いなしにその葉を積もらせていく。葉が尽きればそのうちここらも片付くだろうが、今はその気配はなく、ただひたすらに赤く染まった線路が続いている」
恐れ「人の気配のない山奥に、線路が通っていた。少しずつ低くなっていく気温に耐えかねて、木々が赤い葉をちらして線路を覆っている。前方を見ると、線路はやがて真っ暗なトンネルに吸い込まれていた」
期待「赤と黄色の葉っぱの絨毯が、足元の線路を彩っていた。線路は絨毯に飾られながらまっすぐ前に伸びていて、その先はトンネルになっている。トンネルの向こうはぼんやりとしか見えないが、まだ色とりどりの絨毯は続いているようだ」
驚き「紅葉といえば、背の低いもみじの木ばかり思い浮かべていたが、ここの木々は背が高かった。少し先にはトンネルが見えるが、それよりもずっと高いところから葉っぱが落ちてきている。そんな壮大な紅葉のアーチが、このトンネルの先までずっと続いているようだった」
喜び「見上げると、木漏れ日を浴びた色とりどりの葉たちが、風でハラハラと落ちてきた。落ちた葉は私の足元を、秋の赤色で飾った。足元からは、前に向かって電車の線路が伸びている。それはまるでレッドカーペットのように見えた」
悲しみ「夏には緑に輝いていたであろう木々の葉は、今や秋の寒さに当てられて赤や黄色にその姿を変えていた。風に吹かれるたび、一枚また一枚と葉が落ちていく。葉はすでに何百枚と地面に落ちて、線路を埋もれさせようとしていた。線路の先には、明かりの見えないトンネルが大きく口を開けていた」
信頼「両脇には赤や黄色に紅葉した葉を茂らす、背の高い木々が立っていた。紅葉が作る天井の下には電車の線路が敷かれていて、落ちてきたばかりの柔らかそうな葉に囲まれている。この線路はトンネルの向こうまでどこまでも、途切れることなく続いているようだった」
嫌悪「両側に立っている木々は、それぞれが大きく枝を張り、お互いにぶつかり押しのけ合っているようだった。その赤や黄色の葉は、風に吹かれるたびに線路に落ちて、電車の通り道を乱雑に埋めている。目の前にあるトンネルも、長さのわりに照明が少ないようだった」
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