第38話 キャラや設定の掘り下げ描写

ユウキ「今回は設定の掘り下げについて、解説だ!」

アリス「お願いします」

ユウキ「前にも似たようなこと語った気がするけど、今回は掘り下げに注目しよう」

アリス「描写事態の仕方は、以前紹介しましたね」


ユウキ「設定を掘り下げるとき、ルールを設けると描写が楽だぞ」

アリス「ルールを設けるですか?」

ユウキ「ああ。小説はある程度ルールがあれば、スムーズに書くことができる」

アリス「制約があると、書き辛そうですが、実際は逆なのですね……」


ユウキ「設定のルールに関しては。正直自分で考えるしかない」

アリス「何ですか……。その放任主義は」

ユウキ「まあ、いきなり言われても分からないだろうから。俺のルールを紹介する」

アリス「なるほど。それを型にして、自分なりにアレンジしろってことですね」


1.キャラの詳細設定は本人の口から語らせない

2.感情は直接書かず、動作で描写する

3.価値観の相違、育った環境の違いを明確に書く

4.設定資料集にしないため、情報開示の前に整理する


ユウキ「俺はこのルールに従って、小説を書いている」

アリス「それぞれにどんな意味があるのですか?」

ユウキ「いつも通り。順を追って解説していくよ」


1.キャラの詳細設定は本人の口から語らせない


ユウキ「キャラ設定の深い部分ほど、俺は他人に語らせる様にしている」

アリス「ん? 本人が語るでは、ダメなのですか?」

ユウキ「ああ。例えば下記のキャラ動機を、考えてみてくれ」


両親を奪った存在への、復讐で動いている


ユウキ「これを以下のよう語ると……」


「俺は両親を奪った奴へ、復讐してやるのさ!」


ユウキ「ありちゃあ、ありだけど。突然自分語りしているみたいで、不自然だ」

アリス「それに、なんか……。薄っぺらく感じますね……」

ユウキ「だからこんな風に書くように、俺は意識している」


「奴の目的は恐らく……。復讐です」

「復讐だ? どういう事だ?」

「両親を奪った連中。そして何事もなく回る世界への怒り。図りしないでしょう」


ユウキ「こんな風に、対話を通して、動機を明らかにしている」

アリス「なるほど。どこか狂気的な面を感じられるようになりましたね」

ユウキ「実は、他者に設定を語らせるというのは、非常に効果的やり方なんだ」

アリス「そうなのですか?」


ユウキ「うん。他人目線。つまり読者と同じ目線で、設定を見る事が出来るから」

アリス「なるほど。主観的な意見ではなく、客観的に設定を語る訳ですね」

ユウキ「ただこのやり方には、欠点がある」

アリス「どんな欠点ですか?」


ユウキ「キャラの動機や過去を知る、親しかった人物が必要になってくる」

アリス「確かに……。そうでなければ、話せませんもの」

ユウキ「そんなにホイホイ。キャラを増やしてられんだろ?」

アリス「はい。説明だけのキャラは嫌ですし、読者に混乱を招きます」


ユウキ「だから下の3つと、バランス良く使う必要があるんだ」


2.感情は直接書かず、動作で描写する


ユウキ「これはよく言われているが、ここでは癖に注目してみよう」

アリス「癖ですか?」

ユウキ「例えば主人公が怒る時。拳を握る癖があるとする」

アリス「ありきたりですが、それを癖にするわけですね……」


ユウキ「そして後の描写で、さりげなく拳を握ったと描写する」

アリス「あ! 感情を直接書かなくても、怒りが伝わって来るのですね」

ユウキ「ああ。正直"○○は怒った"っとか、描写するのは避けた方が良いな」

アリス「なんだかイマイチ、怒りが伝わってきませんね……」


1.避けた方が良い描写

「うるせぇ! あの人は何も、分かっちゃいない!」


 主人公は怒った。


2.上記を改善した描写

「うるせぇ! あの人は何も、分かっちゃいない!」


 主人公は拳を強く握って、味方を殴りつけた。 


ユウキ「動作を"見せる"ことで、感情の中を"覗いてもらう"」

アリス「なるほど……。怒りは書くものでなく、見せるものなのですね」

ユウキ「更にこのやり方だと、感情の強さも描写出来る」

アリス「どういうことですか?」


ユウキ「さっきの例だと、"拳を強く握った"にすると、怒りが倍増して見える」

アリス「あ! 癖をするとき、そこに込める力を、描写すれば良いのですね」

ユウキ「感情を見せる事で、そのキャラの内面を掘り下げるんだ」

アリス「何かに対する思い。それを動作の強さで、見てもらうのですね」


3.価値観の相違、育った環境の違いを明確に書く


ユウキ「これはキャラを記号化しないためのものだな」

アリス「記号か。要は口調の違いとか、浅い差異しかないものですね?」

ユウキ「うん。だから価値観の相違だけは、絶対に書くように心がけている」

アリス「実際出来ているかどうかは、分からないと」


ユウキ「育った環境が違えば、当然価値観も違う訳でだ」

アリス「そうですね。教わったことが違うのですもの」

ユウキ「その価値観のズレが、キャラクターをかき分けるために効果的だ」

アリス「どういうことですか?」


ユウキ「記号的なキャラの掻き分けじゃなく、実生きている様に感じさせるんだ」

アリス「ふむ……。実際どうやって行うのですか?」

ユウキ「自小説で申し訳ないが。俺は以下のルールを設けたことがある」


主人公1:フレンドファイヤーは絶対しない。敵に容赦ないが、仲間思い

    →敵に情けをかけない価値観と、仲間を信頼する価値観

主人公2:大切な人は全力で守るが、それ以外にはフレンドファイヤーする

     →やられたらやり返す価値観と、大切なモノへの価値観


ユウキ「二人とも主人公、ボケと属性は全く一緒だ」

アリス「ふむ。ですが仲間を攻撃するか否かで、明確に分かれてますね」

ユウキ「こんな風に、属性は同じでも、価値観が違えば書き分けができる」

アリス「どうしてそんな価値観になったのか。掘り下げられそうです」


ユウキ「ああ。背景を理解できれば、行動も理解できるからな」

アリス「これらは明確に、違いを書いた方が良さそうですね」

ユウキ「ここは長くなるため、次回に改めて解説しようと思う」


4.設定資料集にしないため、情報開示の前に整理する


ユウキ「当然だが、設定は多ければ良いってものじゃない」

アリス「はい。設定資料集のような、小説にしないためですね?」

ユウキ「うん。更に情報公開が多ければ良いってものじゃない」

アリス「ん? つまり話を早く進めれば良いってものじゃないと?」


ユウキ「そう。テンポが良さそうに見えるが、そこに罠がある」

アリス「どういうことですか?」

ユウキ「情報が多すぎると、読者が混乱するんだよ」

アリス「でもアニメとかでは、視聴者置いてけぼりが評価さることがありますよ?」


ユウキ「それは絵があるからな。文字だけの小説は、読者に負担が大きい」

アリス「確かに。絵で見るより、自分で考える情報量が多いですからね」

ユウキ「だから情報開示の前に、その設定は本当に必要か? 整理する」

アリス「ふむ。不要な設定は、出来るだけ省くのですね」


ユウキ「更に小出しすれば良いってものじゃないから、難しい」

アリス「ちまちま出すと、それはそれで混乱しそうですからね」

ユウキ「だから俺は、情報公開は1話に3つまでにしている」

アリス「それだと、シナリオが進み辛くないですか?」


ユウキ「そこで3つの情報を出来るだけ、掘り下げる。深くする」

アリス「なるほど。情報を深める事で、重要性を強調するのですね」

ユウキ「これも本当に重要だから。次回にもっと詳しく解説するよ」

アリス「設定資料集にしないことは、どこでも大事ですからね」



ユウキ「こんな風に、描写に関してはルール作りをしておくと便利だぞ」

アリス「確かに。どう描写すれば、迷うことはなくなりそうです」

ユウキ「メモ帳にでもメモっておけば、ルールは忘れんからおすすめだ!」

アリス「ユウの型を使って、自分なりにアレンジしてみてくださいね」


ユウキ「次回はさっきも語った。特定の情報を深くする方法を紹介だ!」

アリス「情報は少なすぎず、多すぎず。そして深めるってことですね」


ユウキ「それじゃあ、みんあ! 次回も宜しく!」

アリス「お願いします」

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