いけいけ勇者様46

最上司叉

第1話

盗人はいつものように猫を連れ散歩にきていた。


「キャーッ」


いつも立ち寄る丘に向かっている時誰かの悲鳴が聞こえてきた。


盗人は悲鳴の聞こえてきた方へ急ぐ。


「!!」


そこには血を流しながら道に倒れている2人の男女がいた。


「大丈夫か?!」


慌てて駆け寄る。


「こ…ども…が…」


「子供?」


盗人は周囲を見渡すが子供はいない。


誰かに連れ去られたと盗人は考えた。


再び男女を見たが既に息絶えていた。


盗人は猫をおろして家に帰るように言う。


猫はニャーと鳴きながら街の方へ向かって歩き出した。


盗人はこの辺りに山賊のねじろがあることを思い出した。


盗人は自分には関係ない男女の子供を助けると決めた。


通りかかったのも何かの縁だと。


盗人は自分の装備をみなおした。


武器は短剣と魔法使いから貰った薬が少しと煙幕だけだ。


少々心もとないが直ぐに山賊のねじろに向かって走り出した。


盗人は山賊のねじろの近くまでやってきた。


森の中の洞窟の前には見張りが2人いる。


見張りは何か話している。


盗人は見張りに気づかれないように洞窟の横の木の影に隠れた。


幸い見晴らしのいい場所ではないのが救いだ。


見張りは完全に油断している。


俺は一瞬のスキをついて見張りを倒す。


【ドカッ】


【バキッ】


盗人は見張り2人を縛り上げると洞窟の中の様子を伺った。


同盟の奥から話し声が聞こえてくる。


洞窟はそんなに深くなさそうだ。


盗人は煙幕に火をつけ洞窟に放り込んだ。


「なんだ?!」


「煙が!!」


「苦しい!!」


【ゲホゲホ】


山賊達は一目散に洞窟の入り口までやってきた。


盗人は洞窟の入り口で待ち構えていて山賊がでてきたところを倒していく。


【ドカッ】


【バキッ】


【ゴキッ】


【ドスッ】


盗人は洞窟からでてきた山賊達を倒し子供の居場所を聞くために縛り上げたあと1人を叩き起した。


「…!!」


「起きたか」


「誰だお前は!」


「子供はどこだ?」


「答えると思うか!」


「…しょうがないな」


盗人は短剣を取り出し山賊の掌を短剣で刺した。


【グサッ】


「ギャー!!」


「答えろ子供はどこだ?」


「知らねえな…ハァハァ」


「そうか」


【グサッ】


今度は足を刺し短剣でえぐる。


「ギャー!!」


「早く答えろ」


「へっへっへっ…死んでも答えるか!」


「そうか」


【バキッ】


山賊の1人は気を失った。


盗人は洞窟の中の煙が薄くなってから洞窟内に入って子供を探す。


盗人は洞窟の奥までやってきた。


「何も無いな」


盗人が帰ろうとした時泣き声が聞こえてきた。


「シクシク」


盗人は辺りを見渡すが何も無い。


でも子供の泣き声が聞こえる。


隠し部屋でもあるのかと洞窟内の壁を触ってみる。


【ガコッ】


すると壁の1部が引っ込んで開いたのだ。


「?」


子供は不思議そうな顔で盗人を見た。


「大丈夫助けに来た」


「おじちゃん誰?」


「勇者の仲間さ」


と盗人は言うと子供をだき抱えて洞窟をあとにした。


街へ帰る途中に男女が倒れていたところに警備兵がいた。


「ご苦労さま」


「これは盗人さんではありませんか」


「この子を頼む」


「おじちゃん?」


「ここでバイバイだ」


「おじちゃんありがとう」


「どういたしまして」


子供を警備兵に託し盗人は街へ帰っていく。


縛り上げた山賊は警備兵に伝えて捕まえてもらった。


あの子供は多分教会へ連れて行かれ幸せになる。


俺のようにはならない。


盗人は勇者と出会う前は盗みを繰り返していた。


人からお金を盗みその日暮らしをしていた。


だが勇者と出会い盗人は今までの罪を償おうと心に決めたのだ。


今回のこともそうだ。


盗人の償いの日々はまだ続くのであった。

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