第24話 見捨てられたヒーラーの美少女を助けに行く「お前らの血は何色だあああああああああっ!」

「新見くんっ! 危険だわっ! 早くダンジョンから脱出して……っ!」


 香月社長は逃げるように言うが——


「誰かがSS級ボスと戦っています。助けに行かないと——」

「でも……SS級ボスなんて、S級探索者でも太刀打ちできないわ……」


 たしかにそうだけど、


 俺は、前より強くなったんだ。


 誰かのために、力を使いたい。


「心配かけてすみません。でも、俺は見捨てられません——行きます」

「新見くん——っ!」


 俺は香月社長の制止を振り切って、声のする方へ走る。


【配信コメント】

:SS級ボスはガチでヤバいだろ……

:絶対、死ぬじゃん

:行かないでくれえええええええええっ! 

:新見さんが死んだら生きていけない……


 リスナーさんにも心配かけてるな……


 それでも俺は、見捨てられない。


 ★


 京都ダンジョン50F。


 声がしたのはこのフロアのはずだ……


 階段の近くに、人がいる。


「あの、大丈夫ですか?」


 俺はすぐ、声をかける。


 二人組の剣士だ。


 装備を見ると、ギルド所属の探索者で。


「お、俺たちは大丈夫です……でも、」

「でも?」

「このフロアの奥で、ウチのヒーラーがSS級ボスに捕まって……」


 剣士たちの話によると、ヒーラーの女の子が、SS級ボスから逃げ遅れてしまったらしい。


「ヤバいですね……すぐ助けに行きましょう!」

「む、無理です……っ! あんな強い魔物と戦うなんてと、とても……できましぇんっ!」


 二人の剣士は、ガタガタ震えてる。


 よほどSS級ボスが恐ろしかったのか。


 だが——


「同じパーティーの【仲間】なんでしょう? さすがに見捨てるわけには……だから、俺と一緒に——」

「ま、マジで無理っす……っ! 俺たちはなんとか逃げて来れたのに……またあそこに戻ったら、せっかく助かったのが台無しだっ! 逃げ遅れたあいつが悪いっ!」


 栄光の剣(株)で、仲間に蔑ろにされていたことを思い出す。


 思わず、拳を握りしめた。


【配信コメント】

:クズすぎだろ……

:でも仕方ないじゃん。SS級ボスだぞ?

:所詮は人間、我が身大事か。


「——わかりました。俺が一人で行きます」

「「……えっ?」」


 剣士たちは、驚いた表情をする。


「相手はSS級ボスですよ? 自殺行為ですっ!」

「そうですよ! 俺たちと一緒に逃げましょう!」

「いや、俺は行きます。あなたたちは、探索者協会に応援を要請してください。では——」


 剣士たちを置いて、俺は走り出す。


 俺が、助け出すんだ……!


【配信者コメント】

:新見さんカッコ良すぎだろ……

:イケメンすぎる

:絶対、死ないでくれよ!

:新見さん大好きだああああああああああああ

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