第14話 神眼は未来が見えてしまう※しかし本人は気づいていない

「みなさん。ここが新宿ダンジョンの1Fです。うん。暗いですね。じめじめしてますね」


【配信コメント】

:トークがヤバいwww

:そのまんまやーんw

:なんだか身体がジメジメしてきた♡


 ソロで大勢のリスナーに見られるのは、初めての経験。


 もともとコミュ障だから、トークは苦手だ。


「つっ!……スライムが来ました……っ!」


 俺の前に、スライムが飛び出してきた——


 はず、なのだが。


【配信コメント】

:スライム?

:どこにいるの?

:何もいないけど?

:幻覚?


 コメント欄も困惑している。


「いや、たしかにスライムが見えて……あれ?」


 おかしいな。


 スライムなんていない……


 俺が見たものは、いったい?


【配信コメント】

:新見さん、疲れてるんだよ

:今日は休んだ方がいい

:無理するな


 リスナーさんに心配をかけてしまった。


 急に配信者デビューしたから、気づかないうちに疲れが出たのかも——


 と、思っていたら


「すららららっ!」


 物陰から、


 スライムが飛び出してきた!


「おっと……っ! 危ない危ない……」


 紙一重で、スライムの攻撃を回避する。


 ……うん? 


 待てよ……


 さっき見えたスライムと、似ている気が。


「よしっ! 次の動きは——」


 スライムは俺の右足に、溶解液を吐く。


 左に避けて、


「コアを——突くっ!」


 スライムのコアは、頭にある。


 コアに向かって、拳を叩き込んで——


「すらららららっ!」


 と、スライムが叫んで、


 びしゃあああああ……っ!


 ——スライム、爆散。


【配信コメント】

:うおおおおおおおおおおおっ! 

:爆死したwww

:オーバーキルすぎwww

:新見さん回避完璧

:未来見えてるみたい


 未来が見えてる……?


 いやいや、いくらなんでもそんなことは。


「うっ……! また何か見えて……」


 頭に映像が流れて、


 ——今度はゴブリンを倒して、レアドロップアイテム【ゴブリンの盾】を落とす……


 なんてこと、ないよな。


 さすがに……


「あっ……! ゴブリンが来ましたっ!」


 ゴブリンが突撃してくる。


 まさか、ないよね。



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