第10話 大手事務所からデビュー決定!「やっと才能ある配信者と出会えましたっ!」

「新見さん、あたしからもお願いしますっ! どうか、ウチの事務所の配信者になってくださいっ!」


 香月社長の隣にいた桜井さんも、


 土下座した——


 二人の美女から、土下座された俺……


 あまりにも恐縮すぎて。


「二人とも……頭を上げてください」

「お願いしますっ! 新見さんの才能が、どうしても事務所に必要で……」


 頭を上げるどころか、香月さんは床に頭をこすりつける。


「わかりました……」

「へぇ……っ!」


 二人が顔を上げる。


 ……土下座までして、俺のことを必要としてくれる。


 栄光の剣では、貢献しても必要とされていなかった。


 この人たちは、俺を必要としてくれる——


「DLiveさんの配信者になろうと思います。俺なんかで良ければ役に立ちたいです。だから、もう土下座はやめてください……」

「本当ですかっ? 本当に本当に本当に、ウチに来てくれますかっ?」

「本当に、です」

「あ、ありがとうございますっ! 新見さんの才能があれば、ウチはもっと大きくなりますっ!」


 香月さんが、俺の手を掴んだ。


「香月社長……泣いちゃダメですよ」


 桜井さんがハンカチを渡す。


「……ごめんなさい。あまりにも嬉しくて。新見さんみたいな才能ある配信者と出会うのが、あたしの夢だったの。そのためにDLiveを設立して……やっと夢が叶ったわっ!」

「おうふっ……!」


 香月社長に、抱きつかれる。


 パツパツの胸が、ぎゅうぎゅう俺に当たって。


「あぁ……もう、死ぬほど嬉しいわっ!」

「あっ! 香月社長だけずるいですっ! あたしも新見さんとぎゅーっしたいです……っ!」


 桜井さんも俺に抱きついて。


 二つの大きな胸に挟まれて——く、苦しい……っ! 


「さあ! さっそくデビューの告知をしなくちゃねっ!」


 ★


 次の日、DLiveの公式アカウントで告知が出た。


【つぶやきアプリY】

:ミノタウロスワンパン鑑定士、DLiveからデビュー決定!


 ——インプレッションは、1000万を超えた。

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