第9話 雷鳴の猫王が目指す未来
ユキネから勇者の素質があると言われた僕は、複雑な気持ちになりながら日課のトレーニングをしていた。
「僕が勇者かぁ。確かに魔王をどうやって倒そうか迷ってたけどさ……」
「アニメのキャラクターでもヒーローキャラより悪役キャラのほうが好きだし。そもそも僕、勇者には憧れていないんだよなぁ」
勇者になりたくないと嘆いていると、ある考えが浮かんできた。
「待てよ、この状況そしてこの世界には魔王が二人存在していることをうまく使えば最高にかっこよく『実力を隠す最強』厶ーブができるのでは? まぁ陰の実力者とか、雷鳴の覇者とかでも良いけど、陰の実力者は雷を使ってるイメージは僕の中では無いんだよな」
陰の実力者以外の通り名が欲しくなった僕はかっこいい通り名を考えることにした。
「えぇーっと、どうしようかなぁ。陰の実力者以外の呼び方かぁ……」
「でも、僕がやりたい事に対して一番あってんのが陰の実力者何だよな〜」
ライムは髪をクシャクシャにしながら頭を抱えた。
「えぇー、まじでどうしようかなぁ。こういうのは妥協した名前をつけたくないしなぁ。でも僕ネーミングセンス皆無だから決まるかな?」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
陰の実力者以外の異名を考えること1時間。
やっと僕は陰の実力者以外の呼び方を思いついた。
「よし決めた! 僕の異名は『雷鳴の猫王 ライトニング』だ!!」
ライムは自信満々に腕を組みながら、誰もいない所に向かって大声で宣言した。
「いやぁー、僕ネーミングセンス皆無だから時間かかっちゃったし、結局似たような感じになっちゃたな」
「でも、僕のゴールは雷鳴の実力者として活躍することじゃない……」
「勿論、暫くの間は雷鳴の猫王として名を挙げていくけど、最終的には雷を制する者、『雷鳴の覇者 ライトニング』とかって呼ばれたいからな。それが僕の目標だ」
異名と目指す目標を考えた僕は早速村のみんなに提案をすることにした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
僕が村に戻るとみんなが盛り上がっていた。
どうやらユキネが僕が魔力の覚醒をしていることを話したらしい。
「ライム。貴方はやっぱりすごいのね」
「ライム兄ぃちゃん勇者何だって? かっこいいなぁ〜。僕も勇者になりたいなぁ〜」
僕は盛り上がっているみんなを沈めてある提案をした。
「みんなご存知の通り僕には、勇者の素質があるみたいなんだ。でも僕は勇者になるつもりはない」
「どうして?」
「サンダーパラダイスの目的は魔王を倒すことのはずだ」
「アンナとノアの言い分もわかる。でもやっぱり魔王を倒すのは人間の勇者じゃないとだめだと僕は思う」
「何故そう思うんだ?」
「それはな。1000年前に人間の勇者が魔王に敗れてからずっと人間は勇者が生まれるのを待っていたんだ。だから僕は人間の勇者が魔王を倒すことに意味があると思ったからだ」
ふぅー、即興で作った言い訳だけどなかなかうまくできたな。
「確かにそうかもしれませんね。なら僕たちのこれからの目的はどうするんですか?」
「そうだな、これからのサンダーパラダイスの目的は、今の魔王を倒し勇者をこれから魔王になる奴のところまで援護する陰の組織でどうだ」
「確かにそれなら、我々も復讐が出来て、かつ人間の勇者が表向きの勇者になることができますね。それでいいと思います」
「私も賛成よ」
「ライム兄ぃちゃんがそれでいいなら僕らも賛成するよ」
「ありがとう。みんな頼んだよ」
僕がそう言うとアンナが不思議そうに聞いてきた。
「頼んだよって、貴方はどうするのよ?」
「あぁ僕は勇者パーティーに入ろうと思ってる」
「えっ!」
「なぜ勇者パーティーに入るんだ?」
「それは、僕が勇者パーティーに入ることでより確実に勇者パーティーを魔王のところまで連れていけると思ったからだよ」
「確かに、貴方がいれば安全ね」
アンナは、ライムの体を見て納得したようだった。
「それで僕は、ライムの名前で勇者パーティーに入るからさぁ。サンダーパラダイスの皆んなには、これから僕のことをライトニングって呼んでほしいんだよね」
「どうして?」
「だって、サンダーパラダイスはこれから陰の組織として勇者パーティーの手助けをするんだよ。それで僕もサンダーパラダイスの盟主として手助けするときもあるだろうから、名前を変えないとだめなんだ」
「確かにそうね。わかったわライトニング。みんなもこれからライムのことはライトニングと呼ぶのよ」
「了解」
「わかったよアンナおねぇちゃん」
年の小さな子達は、素直にアンナの言葉に返事をした。
よしよし、着実に雷鳴の覇者への道ができてきてる。
これからが楽しみだなぁ。
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