第7話 それぞれの役割
会議をすることにした僕は、何を話し合うかを考えていた。
いや〜、カッコつけたは良いものの、何を話し合おうか。
まぁ〜まず決めたいのは、村での役割だよな。
戦闘での役割はまだ早いし。
会議の議題を決めた僕は、堂々と話すことを意識しながら口を開いた。
「よし、最初に決めたいのが、村の子供たちに魔法の使い方や近接戦のやり方を教えてくれる人なんたが、この役割をユキネとツカサにしてもらいたいんだが二人共やってくれるか?」
「もちろんです」
「やってやるよ」
この二人を見た時から、この役割が適任だと思ってたから断られなくてよかったぁ。
「次はスパイを決めたいんだけど、これはラスファートで勇者の監視をする人と魔王城近辺の調査をする人で二人ほしいんだけど……」
ライムがそう言うと、ホノカとラビッシュが名乗り出た。
「ラスファートのことなら私が一番知ってるからな。私が勇者の監視をするぜ」
「魔王城近辺は、強い悪魔がうじゃうじゃいるらしいから、この中で一番足の早いボクが引き受けるよ!」
「二人共ありがとう。それじゃスパイはホノカとラビッシュで決定する。人手が必要になったら村の子どもたちを向かわせるからいつでも言ってくれ」
「了解した」
「了解です」
よしよし、今のところ順調だな。
ライムは、『順調に会議を進行している自分カッコいい〜』と言う優越感に浸っていた。
「次は食糧を確保する係だな。この役割は作物などを育てる係と狩りをする係に分けようと思う。それで、作物を育てる係をミズキ、狩りをする係をノアに任せたいんだけどそれで大丈夫?」
「良いわよ」
「問題ない」
二人は即答した。
「それと、ミズキの班にはあまり戦いたくない子どもたちを入れようと思うんだがそれで大丈夫か?」
「大丈夫よ」
よし決まったな。
これで食糧の心配はしなくても大丈夫だ。
「そしてアンナの班には、料理や洗濯など家事全般を頼みたいんだ」
「わかったわ。要するにメイドと同じことをすればいいのよね」
そんなつもりはなかったんだけど。確かに同じようなことだったな。
「うん、よろしくお願いします」
よし、これでみんなの役割が決まったな。
僕が一息つこうとすると、ツカサが質問してきた。
「あのさー、俺等の役割は決まったけどよ。ライムさんは何をするんだ? もしかして自分だけサボるつもりなのか?」
ウッ、痛いところをつかれた。
「い、いやぁー僕はみんなが困っていたらすぐに助ける何でも屋みたいな役割をするから。別にサボりじゃないから」
「「「へぇー」」」
みんなの視線が痛い。
そういえば、一人ひとりの活動方針は決まったけど、サンダーパラダイスとして何をしていくかは決まってなかったな。
「それでさぁ、組織としての方針はまだ決めれないんだけど。とりあえずみんなが10歳になるまで目立った行動はしない方向性がいいと思うんだけど、みんなこれでいいかな」
僕がみんなに提案するとホノカが話し始めた。
「そうだな。ライム達は例外として村の子たちは、まだ戦うには早すぎるし、10歳になれば皆んな今とは比べ物にならないぐらい強くなれるからな」
「そういうことだ。みんなこの活動方針で大丈夫か?」
「それでいいわよ」
そう言えば、ユキネ達は獣人の特性のこと知ってるのかな?
「なぁなぁ、ユキネとラビッシュとツカサは10歳になるまで自分の魔素と同じ魔法を使い続けたら強くなれるって知ってるのか?」
「知ってるぜ。てか、俺達3人共10歳だぞ」
ツカサは自信満々に話した。
「まじで!」
僕は思わず椅子から立ち上がってしまった。
「えぇ、本当ですよ」
「ボクも十歳なのです!」
まじか、ミズキだけじゃなくて、3人も年上だったのか。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
それぞれの役割が決まった僕たちは次の日から自分たちの仕事を始める事にした。
「お、おはよう。アンナ」
「おはようございますご主人様」
早速アンナも仕事を始めたらしい。
フリフリスカートで白とピンク基調のメイド服に白いニーハイ。
尻尾でスカートが持ち上げられてしまっている為、若干白いパンツが見えているのも、白基調の服を着ているから、黒髪黒目の顔部分が際立っているのもグットだ。
「あのーアンナさん。本当にメイドをする気なの?」
「はいもちろんです。私は今日からご主人様の専属メイドです」
アンナは満面の笑みを浮かべながら、キラキラと澄んだ黒い瞳で元気に言った。
まじかー、役割分担ミスったかなぁー。
僕は、心の中で思わず頭を抱えた。
まぁでも悪い気はしないし、前世からこういうことに興味がなかったわけじゃないから、このままでもいいかな。
「ご主人様。それでは先ずお着替えのお手伝いを致しますね」
アンナはタンスから僕の服を取り出した。
「う、うん……よろしく」
「先ずは上の服から始めますね」
アンナは前のめりになって僕の服を脱がし始めた。
胸がまだ成長していないからか、上からのアングルだとメイド服に隙間が出来て、平らな胸からお腹、強いてはパンツまでチラチラと見えてしまっていた。
それを見てしどろもどろになるライムを見て、アンナは顔を隠しながらニヤニヤ笑っていた。
僕とアンナの距離が急接近し、アンナの息が体に当たる。
うっ! くすぐったい。
それに、これはアンナの付けている香水だろうか?
息を吸うと、甘い香りが僕の鼻を通った。
前世じゃ彼女とかいなかったし、女の子ともあまり関わりがなかったから分からなかったけど、これが女の子の香りなのか。
僕は初めての事で変な気を起こしそうになったが、なんとか耐えた。
その後、何事も無く着替えを終えた僕はアンナの手を借りてベットから立ち上がった。
「ご主人様、実はもうご飯も用意してあるんですよ。全部私の手料理です!」
アンナが指差す方を見ると、そこには机いっぱいに置かれた新鮮で美味しそうな料理がずらりと並んでいた。
アンナさん、この家にはまだ最低限の料理道具しかないのに、この歳でこんなに手料理作れるとか、将来絶対いいお嫁さんになるの確定じゃん。
僕はそんな事を思い浮かべながらご飯を食べ始めた。
「いただきます」
お、美味しい。
僕は一口食べてから、箸が止まらなくなった。
「ごちそうさまでした」
「お口に合ったみたいで嬉しいです」
「うん、凄く美味しかったよ。ありがとうね、アンナ」
「えへへ、ありがとう御座いますご主人様」
アンナは顔を赤らめて、はにかんだ笑顔を浮かべている。
「そうだアンナ。ホノカとラビッシュはもうに村から出たの?」
「はい、すでに二人共出発しております」
そうなのかぁ、挨拶ぐらいしたかったけど、仕方ないな。
「それじゃ僕はトレーニングをしてくるよ」
僕はゆっくりと椅子から立ち上がった。
「承知しました」
アンナは深々とお辞儀をした。
そうして、ライムはいつもの日課であるトレーニングをしに、山へと姿を消すのだった。
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