満面笑みの杏子さん

 喫茶店『DAWAN』のカウンターテーブル。

 並んで座っているのは、キョウコとミユキ。

 店内は貸し切りなのか、ウェイタースタイルのエリを含めた三人以外は誰も居ない。


「…なるほどね。

 で、この娘が官房長官のお嬢さんというわけね?」

 キョウコの質問に軽く頷くエリ。

 ミユキは緊張のあまり、俯きかげんだ。


「んで、一夫多妻ハーレム看板の建て付けで、百合王国真ハーレムを目指している理由は?」

 キョウコの直球に反応し、キョウコへ視線を向けてくるミユキ。

 その眼光は、鋭い!


「イイ面構えだ!

 父君が官房長官というのも頷けるね。」

 頼もしい小娘ミユキに、満更でもない顔のキョウコさん。


「私自身の身を守りたいからです…。」

「言葉の意味が解らないねぇ~。」

 ミユキの返答に素早く返すキョウコさん。

 ミユキも少し思案した後、改めて話そうとするのですが


「身の上話から、聞かせて貰おうじゃないの!

 ねぇ~、。」

「それは…。」

 キョウコに促され、ミユキはエリ達に話したことを語りだします。


 ◇ ◇ ◇


「そう…。」

 出されたブラックコーヒーを含みながら、思いにふけるキョウコ。

 その姿に、不安そうな表情のミユキ。


「それじゃぁ、うちの愚息とかわいいお嬢ちゃん二人が、貴女のおメガネにかなったわけだね…。」

「…はい。」

 キョウコは満面の笑みになり、安堵するミユキ。


「まぁ、うちの愚息はで良いとして…。

 マキとミキは、本当に可愛からなぁ…。

 あの二人がセットで”うち”に来るのなら、問題ない!」

 キョウコさんが、ガッツポーズすれば、怪訝そうな顔になるミユキ。


「大丈夫よ、アンタの面倒も纏めてみてあげるわ!」

 そう言うとミユキを抱きしめてしまうキョウコさん。


「絶対に成功させるわよ!」

「はいっ!」

 キョウコの雄叫びに、何故か呼応するエリさん。

 ミユキちゃん…呆気にとられてますよぉ~。


「そうと決まれば…」

 キョウコさん、スマホを取り出すと何やら連絡を取り始めましたよ。


「こうなると早いのよねぇ…キョウコさん。」

 呆れ顔のエリさんを見ながら、不安そうな表情のミユキ。


「ああ、ミユキちゃんの実家にも電話が行くから、楽しみにしてるのよ♪」

「は…はぁ…。」

 エリさんはウィンクをしてくれるのですが、益々不安そうな表情になってしまうミユキちゃんなのでした。


 スマホのキーを叩きながら呟くキョウコ。

百合王国ハーレムじゃ、百合王国ハーレムじゃ!

 諦めていた、あの日々が帰ってくるぅ~~~。」

 ウフフ声を響き渡らせ、電話を続けるキョウコさん。

 …ミユキちゃん、トンデモナイ地雷を踏みぬいたかもしれませんよぉ。


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【次回予告】

 はい、ミツオです。

 すいません、うちのかあちゃんが、すいません。

 …でもなぁ、こうなったかあちゃんを止めることが出来たのは、亡くなったおばあちゃんだけなんだよなぁ。

 みんな、ゴメンね。

 今しばらくは、うちの暴走機関車かあちゃんに付き合ってください。


 さて、次回は『三人の許嫁 【前編】』です。

 …はぁ、なんでこんな事になってるんでしょうか?

 誰か教えてください!

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