第14話 幕間
……まだ現実味がないや。
松浦さんが帰った後、リビングのソファーでぼけっとしてしまう。
さっきまでのことが、夢だっだんじゃないかと。
「というか、色々とありすぎだよ。朝に挨拶から始まり、お昼休みにはライン交換してしたと思ったら……放課後には家にくるって話になるし」
すると、俺の周りをおとめがうろちょろし出す。
どうやら、起きたので散歩の時間らしい。
「フスッ」
「そうだね。本当に、さっきまで松浦さんがいたんだよなぁ」
おとめの存在と、まだ部屋に残る香りが現実だと知らせる。
それに、まだ焼きそばの器が……しまった。
「食器を洗わないと……!」
姉さんに怒れてしまう!
……というか、言った方が良いのだろうか?
いや、それはそれで何か恥ずかしいし。
「ただ、どうやって作ったのとか聞かれそうだ」
流石に材料が減ってるからバレるし。
……とりあえず、料理を作ってみたってことにしておくかな。
それで、失敗したって言えば良いや。
ひとまず洗い物をすませたら、自分の部屋に行きパソコンを起動させる。
やるゲームは王道のアクションゲームだ。
素材を集めて強化して、また次のモンスターを倒したり、あとは拠点なんかも作ったりできる。
「……このゲームを、一年間は松浦さんとやっていたんだよね。怪我をしたから、リハビリを兼ねてアクションゲームがしたいってアキラさんが言ってきて」
話すのも困難で、指を動かすのも大変とか言ってた。
だからチャットだけだし、操作方法がおぼつかないって。
「まあ、それは嘘っていうか違ってたんだけど。ただ、本当に何ないなら良かった。でも、本物のアキラさんは何処に行ったんだろ?」
流石の俺も、それを聞くのはいけないのかなって思った。
松浦さんが、はなしてくれるのを待つしかないかな。
「そうか……これからはチャットだけじゃなくて、ボイスでやり取りしたりするかも」
どうしよう? あの可愛い声を聞いて、ゲームに集中できるかな。
というか、俺のキャラが違いすぎるし。
「……まあ、今更か。既にキャラが違うことはバレてるし」
俺は次にゲームする日をときどきしつつ、手元のコントローラーを動かすのだった。
◇
そして……八時半になり、さんが帰ってきた。
俺は部屋の片付けと、お風呂を沸かして準備万端で出迎える。
「ただいまー……ってどうしたのよ?」
「お帰りー……って何が?」
「いつも玄関前で出迎えなんかしないじゃない? これは、何かあったわね?」
「い、いや、何もないよ」
この人はエスパーか! めちゃくちゃ目が怖いし!
「お姉ちゃんに隠し事しても良いことないわよ?」
「俺だって、高校生なので隠し事くらいするよ」
「まあ、生意気な……ふふ、でもそうよね。もう高校生だもの、少しエッチなのは許します。ようやく、女の子に興味を持ったのかしら」
なんかとてつもない誤解をされてるような気がする。
いや、女の子って部分はあってるけれども!
別に松浦さんを連れてきたって言ってもいいけど……いや、やっぱり何か恥ずかしい。
「違うから! ……その、ちょっと料理をしまして……」
「へぇ、どういう風の吹き回し? 私がいない時は、インスタントで良いとか自分で言ってたのに」
「いや、何となく作りたくなってさ。ただ、失敗しちゃったけどね」
「なるほど、それで出迎えってわけね。そしたら、お腹空いてるんじゃない?」
「ううん、お腹だけはいっぱいだから平気。とりあえず、食材を使ったってことを言いたくて」
松浦さんが作ってくれたのは量もあって、めちゃくちゃ美味しかった。
これなら、寝るまで保つはず。
「わかったわ。まあ、そんなに簡単に出来るものじゃないもの」
「うん、そう思う。まあ、そういうわけなのでよろしくです」
「ええ。それじゃ、お風呂に入るわ」
「いってらっしゃい」
そうして、どうにか切り抜けた。
……あれ? でも、またくるとか言ってたよね?
ということは……いずれは、姉さんに言わないといけないのか。
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