いちとぜろっ!
@sousan0830
平和編 第一話
「チュンチュン」
「もう朝か」
俺は小鳥の鳴き声で目を覚ました。俺の名前は竜ヶ峰龍刃だ。どこにでもいるただの高校生だ。
「あんたー!早く降りてきなさいー!ご飯できたわよー!」
下から俺の母親の声がする。早く降りないとうるさいんだよな…
「はーい。わかったよー!」
俺は階段を降り、リビングの扉を開けるとそこには…
「あっー!龍刃ちゃんだ!おはよう!」
俺に元気な声でそう呼びかけて来たのは斎藤葉羽だった。こいつとは小さい頃からの幼なじみで、毎朝こうして俺の家に来て飯をたかっている。
「あぁ、おはよう葉羽。」
俺は葉羽に挨拶をし、4人テーブルの椅子に座る。
「じゃあお母さんは仕事に行ってくるから、ゆっくり食べて学校に行ってくるのよ!後は頼んだわね葉羽ちゃん!」
「は、はい…お母さん!」
俺の母さんはそう言って飛び出していった。俺の家は母親だけで、父親はいない。父親は俺が小さい時に交通事故で亡くなった。つまり、母子家庭ということだな。
「ほら、葉羽も早く座って食べろよ。冷めちまうぞ?」
「それもそうだね龍刃ちゃん!」
そうして俺の隣に葉羽が座る。いい匂いがするな…香水でもつけてるのか?っと、そんなこと考えてる場合じゃないな。それじゃあ…
「いただきます」
俺等はご飯を食べながら、話しているうちに食べ終わっていた。
「ごちそうさまでしたっ!」
「じゃあ、私は食器を片付けてくるから龍刃ちゃんは学校に行く準備してて?」
「なんかわりぃな…」
「いいの!私達は幼なじみでしょ?」
「そうだったな。じゃあよろしく」
俺は席を立ち、支度をするために部屋に戻ろうとした。するとテレビからニュースが
「緊急続報です。愛野市で人が失踪する事態が発生しています。警察はこれを事件と関係がないか調べています」
「愛野市って…俺達が住んでる所じゃねぇか。失踪って、なんだかおっかないな」
「ほんとだよねぇ、最近物騒になったよね愛野市。龍刃ちゃんも気をつけなきゃ駄目だよ?」
「お前は俺の母親か。まぁ、確かに事件に巻き込まれる可能性はあるよな。気をつけるよ」
「それでよろしいっ!」
葉羽は満面の笑みでそう言ってくる。幼なじみなのによくわからない女だ。俺はそう思ってリビングから出た。
スタスタスタ…ガチャ
「ふぅ…やっぱり自室は落ち着くな。さてと、準備をするか。」
俺は家着を着替え、クローゼットを開けて学生服を取り出した。すると…
ペラッ…
突然、俺の学生服の右ポケットから長方形のラブレターのような物が落ちてきた。一体いつに入れられたんだ?俺は疑問に思いながらも、その手紙を開けて見ることにした。
龍刃様へ。
貴方の事がずっと前から好きでした。
私と付き合って下さい。
返事は明日の放課後、屋上で待ってます。
篠原愛菜より。
やっぱりラブレターだったか…日付けは今日か…てか、篠原愛菜って高校1年生の俺の後輩じゃねぇか。まさかあいつが俺の事好きだったなんて…
「龍刃ちゃ〜ん?まだ準備終わらないのー?もう私出ちゃうよー?」
「あっ、ごめんごめん!すぐ支度するから待ってくれ!」
俺は大急ぎで準備をし、手紙は制服のズボンのポケットに突っ込んだ。
日の眩しい朝。俺達は一緒に登校をしていた。
「あっ、龍刃ちゃん。ほっぺにゴミが付いてるよ?」
「やめろよ。それくらい自分でとれる」
「だ〜めっ♪私がとってあげる!」
「ほら、取れたよ!」
「ったく…」
「お二人さんは朝からお熱いねぇ!ヒューヒュー!結婚しちゃいなよ!」
「け、結婚…!?///あの、その…///」
「お前は織音!これはそんなんじゃねーって!」
俺の後ろから現れたこいつは佐々木織音。言動が男のそれだが、れっきとした女だ。こいつとは高校生になってから出来た友達だ。
「ただの冗談だよ、あははっ!」
「こいつめ…」
「ごめんて!それより僕も一緒に登校していいかな?一人で寂しかったんだよねー!」
「もちろんいいよ織音ちゃん!私達の仲じゃない!」
「そうだぞ、俺達は友達なんだからそんな許可なんて取らなくていい」
「皆…!嬉しいよ!じゃあ、いこっか!龍刃!織音!」
そうして俺達は公立原間乃高等学校に着いた。ここがいつも通っている学校だ。
「おはよう。龍刃、織音、葉羽」
俺たちに挨拶してきたこの先生は相川志乃先生という。いつも校門で挨拶をしてくれる先生だ。同時に俺達の先生でもある。
「「「おはようございます先生!」」」
俺達は息ぴったりに先生に挨拶をした。
「うん、いい挨拶だね君達!もうすぐでSHR始まるから急いだほうがいいよ!私も急ぐけどね!」
「やべっ!遅刻するぞ!」ダッ
「待ってよ〜!龍刃ちゃん!」
「僕もおいてかないでー!」
2-A 教室
キーンコーンカーンコーン
「はぁはぁ…なんとか間に合った…」
俺は荒い息のまま席に座った。因みに俺の席は教室の一番端の後ろだ。
「走ったおかげで僕酸欠だよー…」
織音は俺の隣の席に座った。
「まぁいい運動になったしいいんじゃないかな!」
そう言いつつ、葉羽は俺の前の席に座った。こいつ全く息を切らしていない…校門から2Fまで突っ走ったのに…そういえば、葉羽は運動、勉強なんでも出来る天才だったな。
「はいはーい!皆席についてー!今からSHR始めるよー!」
ふぅ…俺は先生のSHRを聞き流し、今日のラブレターについて考えていた。篠原愛菜…確か俺との接点は一回しかなかった後輩だ。どこに俺に惚れる要素があるんだ…?そういえば、愛菜をかばったことがあったっけ…
回想 今から半年前
「やばい!学校に遅れてしまう!」タッタッタ
篠原愛菜が走っているうちに信号機についた。信号は赤だ
「今日も学校か…ふわぁ、なんだか眠いな。今からいっても遅刻確定だからゆっくり行くか」
篠原愛菜とは反対側の歩道を竜ヶ峰龍刃は歩いていく
「今は赤なんて関係ないっ!はっ!」
篠原愛菜は信号を無視して突っ走っていく。そして…
プッーーー!!!
って、あいつあぶねぇ!でかいトラックがあいつに衝突しようとしてる!くそっ、こうなったら…
「間に合えーーー!!!」ガバッ
「ぇ…?」
龍刃は愛菜を庇った。そして…
「はぁはぁ…まさに間一髪だったな。大丈夫か?」
「えと…私を助けてくれてありがとうございます!お名前を聞いてもよろしいですか…?」
「あぁ、気にすんなって。俺の名前は竜ヶ峰龍刃。お前は?」
「竜ヶ峰龍刃さんって言うんですねかっこいい…私の名前は篠原愛菜って言います。」
「篠原愛菜か…いい名前だなっ!愛菜」にこっ
「…!」ドキドキッ
回想終了
確かこんな感じだったな。告白どうしようかな〜…
龍刃はポケットに入れていたラブレターを取り出して、両手で弄くっている。
「おやおやー?もしかして、それはラブレターですかなー!?」
「げげっ!」
織音にラブレター見つかってしまった!絶対にめんどいことになるぞ…こうなりゃ、誤魔化すしかないな…!
「ばっ、ばっかやろー!これは道中で拾った落とし物だ!俺宛の手紙じゃない!」
「ほんとかなー?」にやにや
これ以上怪しまれたら駄目だ!ここは一時退散だ!
「先生ッッッ!!!」ガタッ!
「どうしたの?龍刃。急に席立ち上がって?」
「急にお腹が痛くなったので保健室に行ってきますっ!!」ダッ!
龍刃は教室から出ていった。
「龍刃ちゃん大丈夫かなー…?」
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