危険がイッパイの夏の過ごし方

第14話 やっぱり危険な男共

体育祭が終わり、週も明け、何気ない学校生活に戻れる


…わけもなく


「あ!おはようございます!!!」


玄関を開けると、いつもよりテンションの高い玲央れおがスタンバっていた


「…元気ね」


「それだけが取り柄なんで!」


2人で登校するのは最早日課になりつつある


「ほんっとに!ほんっっっとに!!かっこよかったですよ!ヒメさん!!」


「そう?ありがとう」


「紅組の時のかわいいチアも良かったですけど!やっぱり白組の時のチア!!もう………かっこよすぎました!!」

「クラスの皆もヒメさんの虜になってましたよ!!」


(まーた告られるんだろうなぁ…)


「俺も、めっちゃ興奮しちゃって!!!あんなに美しくてかわいくてカッコいい人を……」

「…ってすいません!1人で喋っちゃって」


とんでもなく意味深な間があった

絶対良からぬことを考えてただろお前今


「でも……うん…ほんとに……」


なんだなんだどこ見てんだ怖いんだけど


「…なに?」


「いえ!!!……こんなに細いのにどこからあの力強さは出たのかなって!出来れば参考にしたいなって!!」


何の参考にするつもりだよ

バレーだよな?バレーなんだよな??


身の危険を感じつつも学園にたどり着き、靴箱で別れる





(本気で怖い……龍牙りゅうがの方がマシじゃないか?)


なんてことを考えているときほど本人は来るもので…


「……よぉ」


なんだか元気がないように思える


「おはようございます」


「…………」


なにも返してこない


「……あの、なにか?」


あまりの薄気味悪さについ声をかけてしまう


「いや……なんでもねぇんだが…」


明らかに何かある雰囲気のまま先に教室へと向かっていった


(…そういや助けてもらったことちゃんと感謝してなかったな)


あの時はドタバタしていてそれどころではなかった


(それに変な態度を取ったのはこっちな訳だし……しゃあねぇか…)


急いで靴を直し龍牙を追いかける



(って!いねぇのかよ!)


教室へと向かったのだがいない


(てことはあっちか…)




「やっぱりここにいた」


屋上のかったいコンクリートの上で寝転がっている龍牙を見つける


「……んだよ」


「…貴方を探してたんですよ」


(気恥ずかしいが正直にいくしかねぇな)


「………なんだやっぱりこの前の続きが」


「いえ、それは結構」

「私が言いたいのは…その、」


「あの日、助けてくれて…」

「本当にありがとうございました」


そのまま深々と頭を下げる

女子にはちゃんと対応してるのに男子にはしないってのは流石に不公平だ


あくまでも俺らしく生きてこのゲームをクリアする


それが今の目標だ



「今日は素直なんだな」


「…素直じゃない日があるみたいな言い方ね」


「基本素直じゃねぇだろアンタは」


「あら、貴方以外には素直なのよ?」


「………ふーーん」


一応それっぽい言葉を並べてみる

まぁ……最悪龍牙なら…


…ってだから!ここまで頑張ってきた意味!!


このままだと変な気分になる

そう思い教室に帰ろうと屋上の扉に手を掛ける


すると…


「なぁ姫さん」


龍牙から声をかけられる


「…なんですか?何回も言いますけどあの日は」


「動くと危ねぇぞ」


カプッ…






あまりの出来事に思考が停止する


(え?今なにされ…ってえぇ!?)


思考が再開すると共にあることに気付く


(あれ、あれ!?なんで!?私なの!?)


先程まで男だったはずだ!!寝たりもしてない!!


なのにどうして……!?


私の思考が纏まりきらないうちに龍牙が続ける


「今はこれで我慢してやるよ」

「だが今度もし誘ってきやがったら…」


「本気で喰うからな」



決めゼリフを残して去ろうとする龍牙








だが俺はそのまま逃がす気はなかった



「ちょっと」


「あ?もしかしてもうヤる気になったのか?」


不意打ちが成功してニヤニヤしている龍牙

だが…


「私も言いましたよね」




「次はないって」


龍牙が完全に油断している隙をついて全力の蹴りを股間に浴びせる


「ガッ……テッメェ……!!?」


「そこで反省してなさい」


うずくまる龍牙を無視して屋上を後にする




にしてもなんでさっき俺は女になったんだ…


新しく生まれた謎と首筋の噛まれた後を残したまま教室に向かってしまうのだった

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