第11話 初めての雑談配信のようです。



「よう、みんな元気にしてたか?」


〈こんにちは〜〉

〈相変わらず可愛いねぇ〉

〈アーカイブ見ました!〉

〈今日はラフな格好なんや〉

〈ボス戦の切り抜きとか、伸びえぐいね〉


 さて、俺にとって2度目の配信は、前回とは打って変わって雑談配信である。


 そのため配信場所は、洋介が用意してくれた部屋であり、俺の格好もパーカーにジーパンというラフなものである。


「前回は戦いがメインで、あんまり君らと話せなかったからな。今回はのんびり雑談していくぞ〜」


〈いぇーい〉

〈まぁ、ダンジョン配信者って、ダンジョン攻略オンリーではないしな〜〉

〈パーカー女子って良いよね〉

〈美少女は何着ても可愛んやで〉


「今回話すのは、まず改めて自己紹介とか活動方針とかだな。その後は適当にコメントで質問募集して、それに答えていく感じにしようと思う」


〈了解!〉

〈確かにその辺、前回は話さんかったな。気になる〉

〈質問タイムあるのはありがたい〉


 配信はまだ始まって間もないが、それでもかなりの人が見に来てくれている。コメントでもあったが、前回の配信が好評だったおかげだな。


「あぁ、あと今回も彩姉がアシスタントを務めてくれる」


 俺は手招きし、彩姉をカメラの前へ呼んだ。


「西園寺彩です。よろしくお願いします」


〈彩姉来たな〉

〈弓姫の私服姿は貴重〉

〈今回も裏方やるんやね〉


「私はあくまでも、巧美ちゃんのサポートをしたいだけですので。それに、あまり喋ったりするのは得意じゃないんです」


 俺も、普通に共演すればいいんじゃないかと言ったことがあるが、きっぱりと「主役は巧美ちゃんだから」と断られたんだよな。


「まぁ、俺が成長したら、彩姉と一緒に戦ってるところを見せられると思うけどな」


〈2人の共闘見てみたいなぁ〉

〈前衛、後衛で分かれてるし丁度良さそう〉

〈今後に期待やね〉


「さて、じゃあまずは改めて、自己紹介から行こうか。俺は荒河巧美、15歳。武神、荒河武雄の養子で、弟子だ。好きな戦い方は接近戦。魔法の適性は光属性と無属性だけで、他は全然ダメだ。これからよろしくな」


〈戦いに関することばっかりやん〉

〈端的な自己紹介〉

〈前回は強化魔法ぐらいしか使ってなかったですよね?〉

〈もう魔法使えてるんもおかしいけどな〉


「他に聞きたいことがあれば、後で聞いてくれ。よし、次に活動方針についてだが、やはりメインはダンジョン攻略の配信だな。ただ、俺は学校もあるから、毎日ダンジョン攻略するわけにもいかない」


〈そりゃそうやな〉

〈大人びた感じやけど、まだ高一やったわ〉

〈ま、まぁ、俺も仕事あるし? 毎日は見れないけど?〉

〈毎日でも、配信見れそうなやつも居るな?〉


「最低限、毎週土曜日か日曜日にはダンジョン配信をしようと思う。平日の夜は今日みたいに雑談配信とかをやることもあるかもしれない。そこは不定期だが、配信前にはSNSで告知するように心がけるから、チェックしておいて欲しい」


〈おけおけ〉

〈それが妥当やな〉

〈雑談以外に平日配信することはあるん?〉


「む、平日に雑談以外か……何かして欲しいことはあるか?」


〈他には何があったっけ?〉

〈ゲームとか、カラオケとかかな〉

〈巧美ちゃん、歌えんの?〉


「ゲームはやらんから、流行りも分からんな。カラオケは、許可を取る必要はあるが、別にやってもいいぞ。ただ、クオリティには期待するなよ?」


〈期待〉

〈これは、上手いやつやな。間違いない〉

〈わくわく〉


「……まぁ、そのうちな。話が少しそれたが、活動方針について話を戻そうか。俺がダンジョン配信者として活動する"目的"は、俺の舞台――戦いを多くの人に魅せるということだ」


 この思いは、前世から変わることはない。


「そして、それを達成するためにも、1つ"目標"を掲げようと思う」


 俺は人差し指を立てながら、不敵な笑みを浮かべた。


 

「1年だ。1年以内に、俺はSランクハンターになる」



 Sランクハンター。ハンターの最高峰であり、日本には片手で数えられる程の人数しかいない。


 そんな頂へと、俺はダンジョン攻略に専念できない学生の身でありながら、1年で到達すると宣言したんだ。


 無理、無茶、無謀、無知蒙昧。


 コメント欄はそんな否定的な言葉で埋まっている。だが一部には、もしかしたら本当になれるのでは、と俺に期待するようなコメントもある。


 俺自身もかなり難しい目標だとは思うが、目標はある程度高めの方がいいだろう。不可能、って程じゃないと思うしな。


「とにかく、それぐらいの気持ちで俺はこれから配信活動を続けていく、ってことを覚えておいてくれ。ランクが上がって有名になれば、視聴者も増えるだろうからな」


〈ランクが上がると、普通の人はまず見れないダンジョンの様子を配信できるようになるし、ランクは大事〉

〈日本初の、Sランクハンターかつ配信者が誕生したら凄い〉

〈Sランクハンターは忙しいからな~〉


「――さて、ざっくりと方針を語ったところで、質問タイムと行こうか。俺に聞きたいことがあったら、コメントで教えてくれ」



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