家出

今日から家出をしている。家出という言い方が正しいのかは分からないが、無断外出という意味で見れば、まぁ家出だ。果てしのない道が僕の前に広がる。目的地は決まっている。でも、地図が無く、そこにいく方法は知らない。だから、模索するしかなかった。袋小路の先に不幸が待っているのかもしれない、あるいはそれが幸福かもしれない。この道の先を想像するのすら楽しくてしょうがなかった。空を見てみると、腰を抜かしてしまうほど高く、雲は子供がキャンバスに描くような独創的な形をしている。子供がキリンを書いたつもりでも、僕にはゾウに見える。それが、自由だ。風が吹くほど歩くのが速くなる。速く風よ吹いてくれ。家出をした場所は、もう散る影も無いくらい小さくなっている。稀に恋しく思うが、戻りたいとは思えない。何にも考えなくても前に進むようなあの場所は、楽だった。でも、楽しくはなかった。だから、僕は道から家出をした。

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