第2話 ゲームのヒロインたち その1

ゲームではよく見る校門だけど、リアルで見ると大きいな…


『恋の轍は永遠に』の舞台となる鳳凰ヶ谷学園ほうおうがたにがくえん


全校生徒800人と市内では割と大きい方だ


この学園の校是は

「自由を求め、研鑽を磨け」


“固定概念や親の言いつけなどに縛られず、君自身の柔軟な発想で学園を面白く、

社会へ踏み出す第一歩として、自由へ向かうために得たその力を発揮しなさい”


学園の創設者 秋葉あきば 天道てんどうが残した言葉だ


俺にとって、自由って何だろう…?

このゲームを通じて、何かを得られるかもしれない…


♰♰



下駄箱で上履きに履き替えていると

女子たちの黄色い声が響く


「きゃああああ!!今日の朱音様もお美しい!!」

「学校一の美少女に相応しいお方よ!」

と、褒め称える声が続出


このゲームに登場するヒロインは6人


その最初の一人が、こおり 朱音あかね

2年A組で、この学園の生徒会長だ


成績優秀、スポーツ万能、誰にでも明るく接する

漫画やアニメに登場する典型的な才色兼備の少女


ヒロや俺との接点はないが、あるイベントでヒロは郡と仲良くなる


教室へ向かおうとすると


「そこのあなた」


誰かを呼び留める


俺ではないと思い、そのままスルーすると


「今、教室へ向かっているそこのあなたの事よ」


彼女の視線の先にあるのは、俺だった


何で!?

プロローグでこんなシチュエーションあったっけ?


「俺に何か用ですか?」

何事かと思いつつも、冷静を保つ


ゆっくりと俺に近づく


俺…何かしたか?


彼女が手に取ったのは、ネクタイ


「ここ、曲がってるわよ」

そう言うと、郡は俺のネクタイを直した


「気を付けなさい。こういう身だしなみも先生方はチェックしてるんだから」

「…す、すみません」


「さすが、郡様。殿方にあんな振る舞いをされるなんて…」

「見惚れてしまうわ…」


取り巻きの女子たちの目はハートマークだ


あれ?

郡って、最初から男子に近づく女子だったか?


俺…、とんでもないことしちゃったような…

ま、俺が余計なことをしなけりゃ、シナリオ通りにいくはずだ…多分


♰♰


俺とヒロは同じクラスの2年C組だ


「お、仲良しさん。おはよ~う!」

教室に入った俺たちにテンション高めで声をかける少女


この子が2人目のヒロイン、赤阪 みお

このクラスのムードメーカー的存在でもある


郡と同じく誰にでも明るく接するが、その度合いは違う


郡は冷静なのに対し、赤阪は

「えいっ!!」


いきなり、俺の左腕にしがみ付く


や、柔らかい感触が…


「…お、おい!!」

「いいじゃん、挨拶みたいなものだし♪」

「そうじゃなくてだな…、もう少し節度を持て」

「え~、これしないと落ち着かないもん」


そう、スキンシップが多い

しかも、男女問わずにこのスキンシップをするのだ


…とまあ、こんな感じの女の子だが

ある事件に巻き込まれた赤阪をヒロが単独で救うことになり、

赤阪自身もヒロに恋心を抱く


♰♰

1時限目の授業が終わり、次の授業のために別の教室へ移動する途中、

ヒロは


「きゃっ!」

「おっと、ごめん」


慌てて走ってきた少女とぶつかる


ぶつかった少女が3人目のヒロイン、一瀬いちのせ ゆかり

2年E組の女の子


「…ご、ごごご…、ごめんなさい…。い、いいいい…急いできたから…」

「気にするな。それより、前を見た方がいいぞ」

「…え?って、きゃああああ!!」


一瀬の先には壁

慌てて走ったせいか、気づかずに壁に激突


「へびゅっ!??」

「だ、大丈夫か…?」


お分かりだと思うが、この子は人見知りでおっちょこちょいなのだ

そして、ヒロ自身も困っている人を助けたい性格だ

一瀬はそんなヒロの事に対して1年の時から好意を抱いている

その理由は、本編で語られるのだがもう少し先である


ここまでが、前半の3人のヒロインと出会った

明日が、後半の3人のヒロインと出会う


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