無料1000連ガチャで異世界転移券を当てました〜ガチャで当てたアイテムとキャラも持ち込めたので無双もハーレムも余裕です〜

シキノ春

第1話 異世界転移券

 『ダウンロードするだけで1000連ガチャ無料!!』

 「最近このゲームの広告ばっか出るなぁ」


 会社が休みの日に五十嵐彰は、一人暮らしの部屋に覇気のない独り言を溢す。


 スマートフォンで動画を見ているとよく効く基本プレイ無料ゲームの謳い文句。広告によく表示されるアプリゲームは大衆には基本的に鬱陶しがられるコンテンツがほとんどだ。しかしこの広告のゲーム『サイバー&ファンタジア』。通称サイジアはリリース半年で総ダウンロード数5000万を越え、売り上げは日本円で1000億円を突破した異例の大ヒットを記録したのである。


 「やっぱ面白いのかなぁ」


 彰はサイジアをプレイしたことがなかった。仲のいい同僚が面白いと勧めて来たことは何回かあったが、流行り過ぎると少し気が引ける気がして今までプレイしてこなかったのだ。


 「まぁせっかくの連休だしな、やってみるか」


 広告の動画からダウンロード画面を開くと彰はとりあえずレビューの書き込みを見てみた。書き込みのほとんどはとても好評でまごうことなき神ゲーだと分かる。


 「総合評価4.5!? すごいな。……へぇ〜、レビュー見るととにかくキャラの作り込みが細かいみたいだな」


 早速ダウンロードしてみる。ダウンロードしている間に世界観やどんなキャラがいるのか多少予習しておこうと思い公式ホームページで世界観説明を見てみた。


 「記憶喪失の主人公が自分の記憶を取り戻すために世界各国を冒険する物語。物語の舞台であるエルデオン大陸では人間、エルフ、ドワーフなど様々な種族がそれぞれ国を作り全く違う文化、文明を発達させていった。主人公ことプレイヤーはそれぞれの種族の国を周りあらゆる問題を解決しながら自分自身の謎を明かしていく……か。かなり王道な世界だな」


 どこかでみたこのことのあるよな設定が盛りだくさんだ。キャラクター欄のページに飛ぼうとすると画面の上にダウンロード完了の通知が来た。


 「ダウンロード終わったか。よし! 早速プレイしてみるか!」


 息こんでアプリのアイコンをタップするとすぐに【初ログイン感謝記念!! 1000連ガチャを回しますか?】という文字が表示された。


「あれ。もうガチャ回せるんだ。あ、でもここで回さなくてもチュートリアル終わった後に回せるんだ」


 少し悩んだが折角の謳い文句の1000連ガチャだし、最初のうちに回して快適にゲームを進行できるなら、損はないのだから引くことにした。


 【はい】の文字をタップしガチャ画面に進む。ガチャ画面にはアイコンになっている金髪と赤い鎧が特徴的な騎士の女の子の立ち絵が表示されているだけのかなりシンプルなものだった。


 「基本的には女の子キャラが多いらしいけど。どんな子がいるのか見れなかったし、とりあえずこのマリアって子が引けたらいいかな」


 1000連と書かれたおそらく特別仕様のアイコンをタップすると画面が切り替わり、虹色のクリスタルが砕け、光を放つ。


 画面いっぱいにガチャから排出されたアイテムやキャラクターが表示される。


 【R鉄の剣、R鉄の弾丸、R木の杖、SR土精の銃、R特殊携帯食料……】


 「多過ぎるだろ……。マリアは当たったのかも分かんないし」


 画面をスクロールしていくと、一つ気になるアイテムがあった。


 【■■ 異世界転移券】


 「異世界転移券? なんだこれレアリティのところが文字化けしてる?」


 気になって大きな切符の見た目をした異世界転移券のアイコンをタップしてみる。タップすると小ウィンドウが開いた。


 「このアイテムはゲームプレイ前に使用できる特殊アイテムです? ……ちょっと調べてみるか」


 友人からガチャで出て来たレアリティの高いアイテムなどを自慢されてきたが、異世界転移券なんて聞いたことがない。何か重要なアイテムだったらよくわからないまま使うのは不安なので異世界転移券をネットで調べた。


 「出てこない。半年間で情報が出てないレアアイテムなのか? そんなことある? うーん……まっ、使ってみればわかるだろ」


 使用するのアイコンをタップするとスマホが目を開けられないほど強く発光した。


 「うわっ! 」


 突然の強い光に目を瞑る。光が収まって来たと思いゆっくりと目を開けるとスマホを握っていたはずの手にはアイコンに描かれていた異世界転移券が握られていた。


 それの存在に気づくとパチンッと切符が切られる音がした。


 「へ……?」


 券を手放そうとした時には彰の体は白い光に包まれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る