第4話
カレーライスは主に軍の者がよく食べる代物ではある。大量に作れて、野菜肉炭水化物が取れてかつ暖かいという事がもあってか軍…特に海軍では人気の高いメニューである。
(懐かしいな)
毎年陸軍海軍のカレーコンテストが行われ、私も妃だった時は出席した記憶がある。
「スパイスはあるの?」
「ある。カレー粉もある」
いつの間にかリークは使い古された鍋に水と材料、スパイスとカレー粉を入れてかき混ぜていた。野菜の一部は別の鍋に入れている。
「これは?」
「夕食用だ。スープにしようと思う」
カレー粉とスパイスの匂いが鼻腔を刺激する。とても良い匂いだ。するとリークは火を見ておいてくれと私に言ってキッチンから出ていく。
「えっ…えっ!」
(火加減は…詳しい部分はわからないしなあ…)
…とりあえず釜戸も鍋にも何も触れずに、ただ様子を見る事にしたのだった。
それからリークが戻り火加減を見たり、お米の炊き方を教えて貰ったりしながらなんとかカレーライスが完成したのだった。
アンティーク風な大きなお皿に炊けた白米を盛り、その上にルーをかける。スプーンは後宮で使っていた銀製のものではなく木彫りのものだ。
(ごはんが進みそうな匂いだ)
私がじっとカレーライスを見つめていると、早速白米大盛りなカレーライスをかき込み始めているリークは食べないのか?と尋ねる。
「ああ、まさかカレーライスが食べれるとは思ってなくて」
「食べた事無いのか?」
「あるにはあるけど…」
「さあ食べろ、うまいぞ」
リークの自慢げな笑みに触発され、私はスプーンを掴むと、カレーのルーとご飯を小口サイズに掬い取る。
「じゃあ、頂きます…」
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