第3話 

 質問は1つ浮かんだ事があった。それは私の衣服だ。リークに聞いた所、かつて母親が着ていた品が2つあるから、それを着ろと言われたのである。


「いいの?大事な品でしょう?」

「もうサイズが合わないから大丈夫だ」

「母親もここで暮らしているの?」

「いや、今はここから更に山奥の集落にいる」


 リークは1人で生活している事が判明した。確かに家の狭さは複数人で生活するよりも、1人での生活を想定しているようにも感じられる。


「じゃあ、いいのね?」

「いい」


 私専用になった寝室で服に着替えると、リークは先程私が着ていた服を後で補修すると言ってきた。


「出来るの?」

「出来る。よくしているから」

「そう…」


 勿論私は後宮での暮らしが長かった。まあ、着ていた服を直すのは侍女の仕事だったし、「モア」としても針自体持った記憶がおぼろげというのもあり、正直裁縫の自信はそんなに無い。


(うん、リークにさせた方が良いな)


 リークに服の補修を頼むと、リークは分かった。と言いつつも何か思いついたのか、そうだ。と話しかけてくる。


「お昼は?」

「あ…」


 そう言えばお腹が減ってきだした気がする。胃の中が少し、気持ち悪いようななんというか。


「お前も食うか?」

「何を作るの?」


 と、問うとリークは後をついてくるようにと私へ促す。ついて行った先には先程案内してもらった畑がある。


「にんじんを2本」

「取ればいいの?」

「ああ、これが良い」


 リークが指で指し示したにんじんを、私は根元からごっそりと抜いた。すると立派なにんじんが姿を現す。


「うん、良い感じだ。では家に戻るか」

「もういいの?」

「倉庫にも野菜を保管しているから」


 その後リークはキッチンの床下にある小さな倉庫から玉ねぎ2つを出し、にんじんを洗うと包丁で器用に皮を剥いていく。


「玉ねぎの皮を剥いてほしい」

「わ、わかったわ…」


 リークに教わりながら玉ねぎの皮を剥くと、リークはそれをざくざくと三日月状に切っていく。


「肉は…干し肉を使おう」


 手際良く調理を進めていくリークに私は、一体何を作るのかと質問してみる。


「カレーライスだな」

「カレーライス…!」


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