竜の子に転生したらテイムされました!?

矢斗刃

1部 テイムされました!?

第1話 彼女との出会い

〝ここはどこ?〟

〝なんだ真っ暗?〟

辺りに向け手や足を伸ばす。

何か硬いものにあたって、罅が入ってうっすらと光が漏れた。

そこに手を押し当てこじ開ける。

ぱりぱり、あっなんか破るの面白いかもしれない。

だんだん周りが見えてきたような気がする。

うっすらと明るい光が射し込んでくる。

なんかぼやけているところから焦点が段々合ってくる。

ここはどこ?私は誰?みたいな状況かもしれない。

まぁ記憶はあるのだが・・・

そうしたら目の前に美少女がいた!!(タイプではないが・・・)

ベットの上で自分を持っている。

自分を持っている?結構体重あったと思うんだが?

目の前の少女は怪力少女か何かだろうか?

卵から孵ったみたいでその殻を片付けようとするメイドがいる。

卵?なぜそうやって認識したのか?状況がわからない?!意味不明と混乱している?!思考して情報が沢山流れ込んできて頭が痛いくらいだ。

「ぎゃお。」抗議の声を上げようとしてぎゃお?と言う声が漏れて疑問に感じる。

「テイム!!」美少女の可愛いようで凛としたような声が聞こえてきた。

中々響いていい声だと思う。

〝ピロリン〟あなたはテイムされましたw

ついでに異世界言語理解を修得しましたw

え、何が起こってるの?しかもなんか表示された文字さん笑ってない!

女の子が自分を持ち上げていたがやっぱり長時間は無理だったみたいで、それをサポートするようにメイドが一緒に抱いてくれている

「私の名前はクロエ。あなたの名前は・・・どうしよう?」と少し考えるしぐさをする。

「ぎゃおーー。」えっ?何が起こっているのかな?と声にならない声を出す。

「そうだねー。うーんと、テトにしよー!よろしくねー!」考えて名付けを行った満面の少女は笑顔だった。思わずドキッとしたのは仕方ないだろう。まぁおじさんだから年下過ぎる子はちょっとと思うが。

「ぎゃおぎゃお(よろしく?)」

なんか喋れてない。そういえばなんかおかしい?

なんで喋ってるはずなのにぎゃおしか言えないんだ?

なんでだと首を振りまくっている。

辺りを見れば知らない暗い部屋のようだ。灯りと言えば月明りと蝋燭の火が多少揺らめいているくらいだろうか?

「?」何か違和感がある。まるで昔の建物のような感じだ。

さらに自分を見れば手が変で、爪が三つ指が三っつ?足もそんな感じだ。

爪が太いのちょっと怖いかもしれないと思ったら爪が縮んでいく。

伸縮可能なのか?えっ何個の特殊能力?

ますます頭がこんがらがってきたぞ。

だらに全身が黒い鱗に覆われ、背中にも違和感があり小さい羽がついている。

動かそうと思ったらパタパタと動いている。

「げおおお。」急に見えている視界も270度くらいになり思わず酔いそうだった。

おいおいどうなってんだこれ!と自分にツッコミを入れてしまう。

少女は力が入らなくなってきたのか、テトをベットの布団の上に乗せた。

俺は思わず倒れそうになるが、何かが支えた?

それはしっぽだった。あっこれ動物とか、いやなんか違うなモンスターとかについている奴だと納得する。

しっぽを器用に使って何とか落ちそうになる身体を支える。

モンスター?そう思ってしっくりきている自分に首を傾ける。

何か嫌な予感がしたが、これはリアルすぎる夢かも、とりあえず二度寝しよう。

現実逃避するようにそう決めて前のめりにダイブして寝始める。

まるで生まれたばかりで疲れているようだ。その頭の上に手を乗せて少女が撫でた。

「うまくなでれないかもー?」と少女は言った。それはそうだろう身体が硬そうな甲羅のようなものだからだ。テトも撫でられている感覚があるのあろうか?そんな疑問を少女が浮かべる。

「甲殻類ってうまいのかなー?」とテイムしたはずのものを少し食べ物の目線で見てしまうクロエ。

「お嬢様、このことを奥様に報告してきます。」側で控えてた専属メイドのスミンが言う。

「ごほごほ。」と急に咳き込むクロエ。

「大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫。可愛い子って言ってね。わがまま言ってごめんとも。」

「かしこまりました。」とお辞儀して出て行こうとする。

「・・・それはあまりに危険な生物です。生まれた今のうちに殺すべきです。」メイドはドアノブに手をかけ、思わず言ってしまった。少女は少し考えて答えを返す。

「ごめんなさーいスミン。私の最初で最後のわがままなのー。」伸びている声からは信じられないくらいな真剣な声、でスミンの後姿を見つめる。

メイドのスミンは振り向いて言う。

「お嬢様!!!そんなこと言わないでください!!」

「・・・」

「屋敷の皆様も心配してます!きっと大丈夫ですから。」と思わず駆け寄って手を握る。スミンの目から涙が流れる。

「スミン。」二人の視線が合う。お嬢様は目をつむる。

「失礼しました。」

慌ててドアから出ていった。スミンに握らせなかった右手に吐いた血の跡がある。手が震えている。

「死にたくないよー死にたくない!」と思わず呟く。

「竜の子のテトー。」少女クロエはそう言ってテトを抱き枕にした。

なぜか固いはずのうろこは少し柔らかくなって抱きやすくなっていたりして、そのまま寝始める。


その寝顔は可愛い物だった(タイプではないが・・・)。

聞いちゃいけないことを聞いた気がする。

とりあえず聞かなかったことにしよう。いやまぁ無理があるか。

一体何がどうなっているんだろうか?まどろみの中、寝息を立てる少女を見ていた。

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