Ep008 ネット恋愛編 名前を呼ばないで
彼女との関係が落ち着いてきたのか、また大量のLINEメッセージと頻繁に電話をするようになった。
私との寝落ち電話をする日も多くなった。 会ったこともない、でも毎日話す。不思議な関係。顔が見えないことで話しやすいのか、誰にも話したことのない過去の恋愛や思い出しくない過去の話、日々の悩みまで話をするようになった。私たちの関係は段々と深くなっていく。
彼女との電話は週末、私とは平日の毎日だった。オンライン授業の彼、在宅ワークの私は平日の日中は電話を繋げたままだった。私は話しながら家事をしたり仕事をしていた。
話さない時間でも電話は繋げたままだった。毎晩、寝落ち電話で眠くなるまで話し、彼の心地よい声を聴きながら眠りについた。あんなに夢中になっていた通話アプリはしなくなった。彼一人とだけ話していたいし話していた。
明らかに彼に惹かれていた。会ったこともない20歳の男の子に。私はこの感情を「推し」と称し誤魔化すことにした。推しとして好きならいいだろう。そう思った。
推しだったらいいやと私は「声が聴きたい」と好意を露骨に伝えるようになる。彼もそんな私に女の子を扱うようにちょっと強気な発言をするようになる。彼は私を名前で呼び捨てするようになった。それもときめく。
ー彼は私の推しー
推しというスタンスが私を大胆にさせた。「あなたの息遣いは私を官能的な気持ちにさせるね」と伝える。それを文章にしてと言われたの送る。
「彼の息遣いが聴こえる。私はそれを耳の細胞を全部使って呑み込み、逸る心を堰き止める。でも足りない。」「体は寝苦しく熱く、そして泣きたい気持ちになる。」とメッセージを送る。推しと称して恋に恋するかのような自分に酔った。
しかし、直ぐに20歳の男の子に推しとしても恋してるような自分に引いた。まずは名前を呼び捨てで呼ぶことを辞めるようにお願いする。名前は私にとって特別で呼び捨てで呼ばせたのは旦那と初めて人だけ。だから、呼び捨てで呼ばれると脳がバグるからと別の名前で読んで欲しいとお願いをした。
彼と毎日話し、名前を呼ばれて勘違いしてしまった自分を正すことにした。
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