第6話 釈放
「お、これはこれはマルダさん、あんた、とうとう犯罪者だな」
「何言ってんの・・・」
「あー、うそうそ釈放だ、すぐ帰っていいぞ」武藤さんは笑った。
『そらみろ』という表情で私は若き熱血刑事、鈴木さんを見ました。
「えっ拘留なしですか釈放ですか?」彼は納得いかない様子でした。
「あーそうだ不法侵入は救護のための緊急対応、重傷者は自殺を図っていたんだ、いずれも検察は式を不起訴の判断になるなぁ、ついで無罪の証拠が出た。
おい鈴木、これ式さんの車の鍵だ駐車場から持ってきて正面に止めてきてくれ」
鍵には私の車のナンバーメモが貼られていました。
「わかりました、じゃ・・・」すごすごと鈴木さんは車を取りに行こうとしました。
「あーチョットまって鈴木さん腹減ってないか?
武藤さんも、もう
私は3千円差し出しました。
「・・・・・」
「あー、よいよい鈴木、買ってこい式さんの車で俺はハムサンドと筋子おにぎり、お茶だ、三千円分全部使ってこい」
「はあ・・・」キョトンとしている。
「鈴木さんの分もね買っていいからね、いってらっしゃーい」
「了解しました、では・・・行ってきます」
時刻は午前3時過ぎになっていました。
「武藤さんNのやつ、どんな状況なんですか」
「うん大丈夫だ、いま○○病院の治療室でバイタルは安定しているらしい、ただなぁ意識がイマイチで、ひょっとしたら障害が残るかもしれんそうだ」
『そうか助かったんだ・・・良かった・・・・』
「それで俺の無罪の証拠って何が出たんですか?」
「カメラ映像だ多分というかNの物だろうけど定点カメラが暗視モードで一部始終撮影していたのさ」
「そういえば台所のあたりに三脚あったもんな」
「それと通常のモードだがハンディカムも回ってたバッチリ救護活動写ってたよ」
「そうですか・・・」
「それだけじゃない、とんでもねぇもの写ってるぜ、シキ」
「ま、マジすかっ、それ見せてください、お願いします」
「いいけど見せると、お前、書くだろう・・・なんやかやと」
「ん、わかりました絶対書きません、見たい見たいすぅっ!」
私は身を乗り出して懇願しました。
「わかった待ってろ絶対ナイショだからな、じゃ持ってくる」
そう言って武藤さんは私の無罪の証拠映像を取りに行きました。
そして私は取調室の格子の間から指を入れ小さい窓を開け放ちました。
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