ぽちなのにゃ。ご主人様が異世界に転生して悪役令嬢になっちゃったから助けに行くのにゃ。

KANZAKI ฅ^•ﻌ•^ฅ

第1話 ぽちなのにゃ


 はじめまして、にゃ。


 ぽち、なのにゃ。


 ぽち、というのは、ぽちの名前なのにゃ。


 だから、ぽちは、ぽちなのにゃ。


 ぽちは猫なのにゃ。


 まだ子猫なのにゃ。


 雨がいっぱい降ってる嵐の日にご主人様に拾われてご主人様のぽちになったのにゃ。


 それまで、ぽちは捨て猫だったのにゃ。


 ぱぱの顔もままの顔も知らない、ひとりぼっちだったのにゃ。


 ご主人様と出会った日、ぽちは、雨にいっぱい濡れて、風がびゅびゅー吹いてて怖くって、お腹もぺこぺこで、寒くて淋しくて悲しくて、にゃーにゃー泣いていたのにゃ。


 だけど、ご主人様がぽちを見つけてくれて、懐の中に入れて温めてくれたのにゃ。


「よしよし。もう大丈夫だよ」


 ご主人様は、そう言ってくれたのにゃ。


 ご主人様は、綺麗な人間の女の人なのにゃ。


 とってもいい匂いがしたのにゃ。


 それから、ぽちはご主人の家に一緒に帰って、温かいミルクをもらったのにゃ。


 ご主人様に抱っこされて、ミルクを飲んだのにゃ。


(まま、みたい)


 ぽちは、ままと会ったことも無いのに、なぜだかそう思ったのにゃ。


 そして、ふわふわのお布団の中でご主人様と一緒に寝たのにゃ。


 誰かと一緒に寝たのは、初めてだったのにゃ。


 ぽちは、なんだか甘えたい気持ちになって、ご主人様の体にくっついて、すりすりしたのにゃ。


そうしたら、ご主人様は「よしよし」って、ぽちの背中を優しく撫でてくれたにゃ。


 温かくて、優しくて、ぽちは嬉しくてにゃーにゃー鳴いたのにゃ。


 そして、ぽちは、ご主人様の飼い猫になったのにゃ。



 ぽちという名前をつけてくれたのも、ご主人様にゃ。


「ぽちっていう名前は、犬に付けられる名前の定番なんだけど、お前はなんか『ぽち』って感じなんだよねー」


 名前を付けてくれる時、ご主人様はそう言ってたにゃ。


 ぽちは、よくわからなかったから、首を傾げてにゃーって鳴いたにゃ。


「まぁ、ぽちの語源はフランス語の『petit』らしいし。間違いではないよね。お前、ちっこいもんね」


 ぽちは、よくわからなかったから、また、にゃーって鳴いたにゃ。


「うふふ。この名前気に入った?」


 ご主人様が頭の上に手を置いて、なでなでしてくれたにゃ。


 なでなでされると、嬉しくてふにゃんってなるにゃ。


「よし! お前の名前はぽちで決定!」


 ご主人様がそう宣言して、ぽちの名前はぽちに決まったのにゃ。


 難しいことはよくわからなかったけど、大事なことはご主人様がぽちに名前を付けてくれたってことにゃ!


 ご主人様がぽちをぽちっぽいと思ったから、ぽちの名前はぽちなのにゃ。


 ぽちは、ご主人様の飼い猫ぽちなのにゃ。



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