カンヴァス



 薄布が肌にそって流れ落ちると


 波打ちながら夕陽のように燃える赤が、彼女の白い背中で浮き立つ。


 赤しか描かない男の目には、飢えと渇きが絶え間なく滲み、幾度も筆を握る手が止まる。


 白いカンヴァスに喰らい付き、恥辱と血の赤で染まる様を夢想し、男の暗い欲望に小さな火が灯った。



 もう、止まらない。


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