(二)-15
最初は小走りだった。しかし、少しずつスピードを上げていった。走ると確かに気が紛れる気がしたのだが、肩から掛けた勉強道具の入ったトートバッグが、走る速さに合わせるようにリズミカルに拓弥の体をぶった。それは紛れる気を翔太の妄想へと引き戻そうとするかのようだった。
拓弥は県道の途中で曲がり、JR線の踏切を渡り、
部屋に入ると、きちんとメイクされたベッドの上に携帯や勉強道具を放り、すぐにトレーニングウェアに着替えた。そして部屋を出た。
(続く)
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