(二)-4
閲覧ブースに座り、拓弥は教科書とノートを広げていた。ペンを持つ右手は人差し指の側面でペンをくるくると回して忙しそうであったが、広げられたノートには、印刷されている罫線以外は何も描かれていなかった。
時々出るため息で頭の中の翔太のことをかき消そうとするが、目を通す教科書の文字列は全て瞳孔の中に飛び込んできても、脳神経までには届かなかった。
わずか二時間の間で出てきた三十二回目のため息で、拓弥は席を立った。
(続く)
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