(二)-2

 大学医学部と医療専門学校、それと看護学校が共用している図書館や教室などの多くは十年前に新たに設置されたこちらの先端医療センターの敷地にあるのだ。

 バスに乗っている間、見慣れた戸建ての建物やすすきなどが覆い茂る空き地や畑、林などの景色が流れていったが、拓弥には目に入ってこなかった。頭の中にあるのは翔太のことだけだった。翔太に会いたい。今どうしているのか……。電話してもいいのか……。

 しかし、彼と最後に会った時、拓弥は言われた。

「お互いの幸せのために、加島君のテスト期間が終わるまでは会わないようにしよう」


(続く)

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