第32話 アナテマ

アナテマ開戦日、黒い手紙が神と代行者にむかって送られた。その手紙を開けるとアスターの映像が浮かび上がり話し始める。


「皆様、これよりアナテマを始めさせていただく前にもう一度ルール説明をさせてもらいます。その前に改めてご挨拶申し上げます。今回のアナテマの進行役兼監視役を務めることになりましたアスターと申します。わからない事や聞きたい事などありましたらいつでもお呼びください」


この時皆それぞれ違う反応をしながらアスターの話しに耳を傾けた。


「それではルールの確認をさせていただきます」


アスターがそう言うと封の中から黒い紙が一枚出てくる。


「この紙に書かれている内容は前回神々の皆様に送った時と同じですが、改めて私の口から説明させていただきます」


神々の中には自分さえ知っていれば問題ないと思っていそうなのが数名いそうなので念のため始まる前に確認することにした。


やはり代行者の数名はルールの存在を詳しく知らなかった。


アスターは天界から知っている者と知らない者が誰か顔を見てすぐわかった。代行者にちゃんと説明はするように言ったのにと頭が痛くなる。


やはり、ルール説明をすることにして正解だったと思うアスター。


アスターは紙に書いてある項目を上から順に読み上げていく。



 1.神同士の戦いは禁止

 2.代行者を三十三日以内に選出する

 3.神と代行者、どちらかが死ねばもう片方ま必ず死ぬ

 4.勝敗は当人達が納得した上なら問題ない

 5.神と代行者の殺し合い以外の殺しは一切禁止

 6.代行者以外の人間に協力を求めるのは有り

 7.人間同士の殺し合いはあり

 8.残り半数になった瞬間から神力で殺し合うのはあり(但し代行者がすること)



「この項目の内2はもう必要有りませんので消させていただきます」


二の内容を消し三から下の番号を一つずつあげる。


「そして、これから追加項目について説明させていただきます」


これからアナテマが始まると思っていたので追加項目という言葉に全員が反応する。


「追加項目は二つございます。一つ目はアナテマが開始されるまでその国から出ることを禁止させていただきます。その国から出ないのであれば移動して構いません。開始と同時に皆様が何処にいるのか国を赤くします」


例えばと映像を世界地図にその一つの国を赤くしてこのようにしてどの国にいるかを表示すると言う。


「開始後はその国を離れても構いません。合図が上がるまでその国にいてください」


王の考えそうな事だと十二神は同じことを思った。


「もう一つの追加項目は代行者のみ関係するものです。十二神の皆様にはこれは関係ありません」


代行者は自分達にと不思議に感じ、十二神は王の戯れか何かかと嫌な予感がする。


「二つ目は勝ち残った代行者一名のみどんな願いでも叶えるということです。神の代行者として命を懸け勝負するので勝利した神と同じく褒美を与えられるとお思いください」


褒美。その言葉に代行者達の目の色が変わる。


「例えば、億万長者になりたい。死んだ人間を生き返らしたい。不老不死ななりたい。神になりたい。何でも構いません。これは、勝者がどんな願いでもたった一つだけ叶えることができるという褒美のような項目です」


追加項目の内容をいい終わると紙にその項目が書きたされた。


アスターは代行者がどんな反応か興味本位で見てみると大体同じような反応でそんなものかとガッカリしたが、ある代行者を見て冷や汗が流れた。


まるで、自分の頭の中を見透かされた気分になり恐ろしく感じた。


「以上二つが新しく追加されたものです。質問等が無ければ開始させていただきますが、よろしいでしょうか」


全員に問い誰も質問が無いようなのだ開始しようと話を続ける。


「質問が無いようなのでこれよりアナテマを開始させていただきたいと思います。では、三十分後に開始の合図として上空に黄金の蓮の花火を打ち上げます。その瞬間から最後の一人が決まるまではこの闘いは終わりません。では、健闘をお祈りします」


アスターの映像が消えると黒い手紙は跡形もなく燃えて塵となった。




アスターは説明を終えると王の広間へと向う。


「王。もう間も無く始まります」


王にもうすぐ始まると報告しに行く。


暫く王と会話をした後合図を送るため一度王の広間から出て行く。





「只今よりアナテマを開始致します。それでは始めます」


アスターが開始の宣言をし終えると神力を使って人間界の空に放つ。


ドーン。


上空に黄金の蓮の花が浮かびすぐ消えた。


アスターはすぐにどの国に神と代行者がいるかを記した世界地図を黄金の蓮が消えた空に表示した。


それを見た代行者達は各々が殺し合いに向けて動き出した。




アスターはアナテマが始まった事を王に報告しに行くためもう一度王の広間へと向かう。


「王。先程アナテマが開始されました」


「そうか」


その後二神には長い沈黙が訪れたが王がアスターに質問しそれに答えた内容に満足した王は美しい笑みをむけた。


「やはり、そなたを選んで正解だったな」


アスターはこの時王と同じ事を考えていた。


アナテマは今回で終わると。


あの代行者は必ず王の期待に応える。


初めて会ったときからそうなるだろうと予感はしていたが、今日の表情を見て強く確信した。


あの代行者こそ王が求めていた者だと。

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神と人間の殺し合い 知恵舞桜 @laice

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