中編
「聖女検定? 何よそれ」
その言葉に、会場に集まった人たち、彼女の横にいる殿下ですら驚きの表情をしております。
「……呆れた。平民ですら知ってることですのに、そんなこともわかりませんの」
「ひどいっ! レオ様~。アイリス様がまたわたしを馬鹿にしました~」
イリーナ様の言葉に、殿下はかける言葉が見つからない様子。
私はそんな二人を無視して教皇陛下に確認することにしました。
「教皇猊下。イリーナ様という方は、聖女検定何段ですの?」
「ふむ……少し待て」
教皇猊下は空間魔法で教会に保管されている聖女検定保有者のリストを取り出すと、速読魔法でイリーナ様の名前を調べている。
「イリーナ……ないのう」
「まぁ! それじゃあ彼女は検定をお持ちでないのに、聖女の名を無断で使用したのですね?」
これはただの処刑じゃすまないわね。
「あんたたち二人だけで納得してるんじゃないわよ!」
「……聖女というのはですね。教会によって階級に分けられ厳しく管理されているの。それが聖女検定」
聖女検定は、教会が聖女を正しく判定し、任命するために作成されたもの。
平民も含めた全ての子供は、生まれたときに教会が魔力適性を測定され、聖属性の魔力持ちと判断されたときは聖女検定5級が与えられます。
その後取得できた聖魔法やその規模によって級位が上がり、段位を得られるようになって初めて教会より聖女と任命され、聖女を名乗ることを許されます。
ちなみに聖女検定5級~1級までは、聖女見習いと呼ばれ聖女を名乗ることは許されません。
教会はそれを管理し、各国の聖女の数のバランスが崩れないように、調整しております。
ゆえにどの国も、国王でさえ、教会に逆らうことは許されません。
「聖女見習いが聖女を名乗った場合の罰則は、犯罪奴隷落ちで終身教会の下女扱いでしたが、検定を持っていない人の場合は……」
「不死化処理をされ、神に許されるまで聖火炙りの刑じゃな」
「嘘……」
その言葉を聞いて、事の重大さに殿下とイリーナ様は気付いたのか、顔が青ざめてすでに死んだ表情をしている。
……今更遅いですわ。
「連れて行きなさい」
と教皇様の指示を受けた教会騎士の方々が、殿下たちを連れ出していく。
「いや、いやー! わたしは悪くない! すべてこの男のせいよ!!」
「アイリス、申し訳なかった! 君のことをちょっと困らせてやろうと思って。本当は君のことを愛している。だから私とやり直そう!」
などとお二人は苦しい言い訳をしていますが、もはや私にできることは何もありませんわ。
ご自身の行動が招いた結果……因果応報ですわ。
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