第13話 ラティーニア参戦

西暦2030年5月6日 ラティーニア帝国 港湾都市バネス


 この日、港湾都市バネスにて、帝国軍に対する盛大な壮行会が執り行われていた。


「全く、ベーダは随分と調子に乗ったものだ」


 艦隊旗艦を務めるミサイル駆逐艦「デッラ・ペルネ」の艦橋にて、艦隊司令官のゴルズ中将は呟く。


 ベーダ大皇国はすでに、アドラ海上にあるラティーニアの友好国『シチリオ公国』にも侵攻しており、海上物流に影響を及ぼし始めている。そのアドラ海を実力で奪い取ろうとする姿勢に、皇帝は全力で対抗せよと命令を発していた。


 そのために動員される兵力は、精強そのものだった。海軍第1艦隊に属する駆逐艦4隻、フリゲート艦4隻、揚陸艦4隻が展開し、揚陸艦には第1海軍歩兵師団に属する戦闘団が乗艦している。空軍も支援を約束しており、何とか反撃は出来るだろう。


「さて、戦場へ向かうとするか」


 ゴルズ提督はそう呟きながら、帽子をかぶり直した。

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アルノシア公国戦記~アドラ海戦争~ 広瀬妟子 @hm80

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