ミステイク
姿は見えないのに、声だけが聞こえる。
女性の声。
『ごめんねぇ。なんか、キミが ワガママ言うからさぁ。わたし、うっかり「いいよぉ〜」なんて、返事しちゃって』
何のことだが、彼には、さっぱり わからない。
『あれ? 違った? その顔は、不満?』
何に対しての不満だというのだ。
『あれ? あれ? きゃあーーー!』
叫ぶな、急に。
彼の不機嫌度が増していく。
ただでさえ、この状況に不満なのだ。
これ以上、ややこしくしてくれるな、
そんな思いだけが残る。
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