殻の中

カタチにできないものを

無理やり押し込もうとするから

溢れてしまったものは

悲鳴もあげられないまま霧散してしまう


そんなふうにして

知らずに失ったものを

昔、なんと呼んでいたんだっけ



整った綺麗で冷ややかな世界に

並んだつるりとした卵の中身は

知らん顔しながら腐っている

割られない限り

腐臭を漏らすこともなく



なんてまぁ

今日も世界は美しい



薄い殻だけで破滅を抱えながら

静かに腐っている

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