第3話:フォロワー1万人越えのライバー
竜宮城の乙姫という人が入室し、私は身構えた
何だろうこの人は
見た目はロングヘア-で髪を下ろした状態の前髪は深い緑、そして後ろ髪は少しエメラルドグリーンのように明るみがあり、瞳は水色で目の奥に光が宿っていないような薄暗い表情を浮かべている
黒い服を着ているが、前後で丈の長さに相違があり、白いお祭りのズボンのような、短パンを穿いた女性の姿がそこにはあった
背景は竜宮城の王妃が出てきそうな大きな貝殻のパールが映っている
竜宮城の乙姫:最近始められたばかりの方ですか?
そこは正直に言おうと思った
「はい、最近始めたばかりでまだ何も分からなくて。あの、プロフィール見させていただいたんですけど、フォロワーの数凄いですね!1万人超えですか?」
少しの間無言が続いた
竜宮城の乙姫:いえ、これくらい配信してたら普通に増えますよ。自分はもうかれこれこのアプリで4年は配信しておりますので
「めちゃくちゃベテランじゃないですか!」
ビックリしたのだ
そんなすごい人がなんで自分の配信枠に来たのだろうと思って
「あの、良かったら色々とお話しお伺い出来ませんか」
竜宮城の乙姫:構いませんよ、チャットではあれなんで、コラボ上がりますね
「え!?」
竜宮城の乙姫 がコラボ配信に参加しました
空から先ほど説明した緑色の髪の長い女性が降臨した
身長が・・・でかい!!私の1.5倍はあるんじゃないかと言うくらい見上げなければならなかった
「どうも初めましてこんばんは。良かったら仲良くしてください」
竜宮城の乙姫はそうボソボソとした低い声で話した
「あ、はい、よろしくお願いします」
私は既にこの段階で、異様な違和感を覚えた
(え・・・?声からしてこの人男性?しかも何歳ぐらいこの人・・・?いやこの落ち着きようと、かすれた声質からして、うちのお父さんと一緒ぐらい、いやそれ以上?たぶん50歳は越えてるかな?)
私はそう心の中でつぶやいた
「君さ、彼氏とかいるの?」
ストレートな質問がいきなり来た
「いや、私まだ学生なので、いません」
ちょっと答えづらい質問来たなって思った
「ふーん、まあ俺は別にどっちでもいいけどさ。とりあえず教えておいてあげようかなと思うのは、この世界長いことやってるけど、すぐいなくなる人多いから」
「そうなんですか?それは何故ですか?」
「さあね、興味ないから」
「そうですか・・・」
(何だろう?私のイメージでは、フォロワー1万人越えってなんかすごいオーラを感じるはずなんだけど、この人からは何も感じられないのは何でだろう。なんというか親父臭いというかなんというか。ただ何でこの人はこんなにフォロワーが多いのだろう。4年もやってるからと言ってたが、本当に長く配信してたらそんなにフォロワーがつくのだろうか?まあ一度この人の配信に行けば分かるか)
心の中で私はそう考えている間、また静まり返った
いや静まり返ったというか、この人なんか鼻息が荒い?
ふんー!ふんー!っていうなんか割れた音みたいなのが聞こえてくる
「あのー、私配信始めてまだ6日目なんですけど、人が全然来なくなってしまいました。これは何故なんでしょうか?」
竜宮城の乙姫さんに私は質問を投げかけた。
「ああ、このREALTYリアルティではね、ビギナー期間中はビギナー枠に掲載されて、初心者がデビューしやすいように設定されてるからね。それでおそらく多くの人が入室してくるんだよ。まあだいたいライブ配信始めて1週間もしないうちにビギナー枠は外れるけどね」
なるほど、ビギナー枠というのが存在していたのか!!
全然分からなかったけど、どうやら私は最初のうちそこに掲載されていたから、先ほどの大学生さんの話に出ていたポイント回収業者やビギナー狩りの人たちが大勢来てたのかと納得した
しかし気になるのは、何でこの人4年もこのアプリをやっているんだろう?
「なりたい自分」にまだなれていないのか?それとも趣味でやっているのかが分からない
そんなに長期間続けられるものなのかな?さっきのこの人の話だと、すぐみんないなくなるとは言ってたけど・・・。
リスナーAさんが入室しました
「あ、こんばんは。ただいまコラボ配信中です~」
私は新しく来た人に挨拶をした
すると、
リスナーA:うわ乙姫また初心者とコラボしてんじゃん。***から**
「ああごめん、もう俺抜けるわ」
「え?」
竜宮城の乙姫さんがコラボ配信から退出しました
「あ、ありがとうございました」
竜宮城の乙姫からのコメントは無く、そのまま立ち去ったみたいだった
さっきコメントしてくれたリスナーAという人もどうやらいないみたい
いつの間にか大学生さんもいなくなっていた
「今日はこれで配信終わっちゃうか」
配信終了ボタンを押して、私は配信を終わらせた。
「何だったんだろ・・・?それになんか***から**って書いてあったけど、なんだろあれ」
この時はまだ香奈梨は気づいていなかった
***が表示されるのは、不適切コメントをした時に文字化けするということに。
「馬鹿」とか「キモイ」とか「死ね」とか、あとは卑猥な発言は基本的に***と文字化けされる
次の日、配信をする前に枠周りを行った
他のビギナー配信者ってどういう配信してるんだろうと思い、自分と同じ配信者を見て回った
かにゃりーさんが入室しました
「いらっしゃいませ。来てくれてありがとう。君はもうここから抜け出せなくなる」
かにゃりー:え?
「聞いていればわかる。ではいくよ。んんん!」
そのライバーは喉を整えた
「初めましてかにゃりー、今日は私の配信によくお越しくださいました」
!!!!!!!!!!!
この声はwwwwwwwwwwwww
かにゃりー:あのwwwwwその声もしかしてフ〇ーザ様の声じゃないですか?笑
「私は声優学校いっておりまして、こういった声真似を行っております。他にもジョ〇ョに登場する承〇郎のモノマネも出来ます!ふぅ・・・、ヤレヤレだぜ!!」
かにゃりー:おおおおおお、あの是非ちょっと言ってほしい台詞あるんですけど?
「何でしょうか?」
ドラ〇ンボールに登場するフ〇ーザ様の口調でそう答えてくる。
かにゃりー:「私のフォロワーは53万人です」って言って欲しいです
「分かりました!!んんん!行きますよ!?私のフォロワーは、53万人です!ですがご安心ください、フルパワーであなたと戦う気はありませんので!」
似てるううううううううう!!
なんかめっちゃ感動した
いや~、やっぱり自分みたいな素人だけじゃなく、こういった声優学校に行ってる方とかもこういったVライバーをやっているんだなーと驚かされた
色々と枠周りをしていたらふと、おすすめ欄に昨日私とコラボをした竜宮城の乙姫がライブ配信をしていた
「そういえばこの人昨日来てくれたし、ちょっとお礼を言いに行くか」
目のマークが13ついているから、そこそこ人が来てるのかな?と思い、入室してみた
かにゃりーさんが入室しました
リスナーA:いい加減配信辞めろジジイ!!***だよ
リスナーB:フォローしてフォロワー返ってきたらすぐフォロー外すの辞めてくれない?迷惑
リスナーC:こいつまじで評判悪いよなwwww所詮フォロワーも数だけwww誰も支持されない
リスナーD:引退まだですか?
リスナーA:昨日もまたビギナー枠でこいつ可愛い声の女の子のとこで誰コラしてたよ
リスナーE:お前なんか誰も支持しないよ
・・・?。
何だこれ・・・?
この人昨日私とコラボした人だよね・・・?
恐る恐るプロフィールを見ると、フォロー数200、フォロワー数10,000越えであるから間違いない
フォロー外すってどういうこと?昨日確か入室した時私の事フォローしてくれたよね?
私は疑心暗鬼になり、フォロワー欄を見た
すると、昨日フォローしてくれたはずの竜宮城の乙姫という方からフォローが外されていた
この人は一体・・・?
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